「キャッシュレス化」の必要性が叫ばれる現代。
その始まりが「クレジットカード」だというのは、決して言い過ぎではないと思います。
今や世界で何十億枚も流通し、VISAだけでも決済ボリューム(Payments Volume)は8.2兆ドル(2018)。
日本のGDPが5兆ドル弱(2017)ですから、それよりも大きな金額です。
すっかり世界の決済インフラとなったクレジットカードは、どのようにして始まったのでしょうか。
世界で最初のクレジットカードと言われているのが、アメリカの「ダイナーズクラブ」です。
一般には1950年、実業家のフランク・マクナマラが、ニューヨークのレストランに行った際に財布を忘れ、恥ずかしい思いをしたのがきっかけと言われています。
「財布を忘れたくらいで信用が疑われるのは困る」ということで、合理的な決済手段を考案。
グルメ仲間と「ダイナーズ・クラブ」を立ち上げ、それがクレジットカードの誕生に繋がる、というストーリーです。
この話は、創業当時のダイナーズ・クラブの広報係による新聞記者向けの「作り話」であり、現実とは本質的に異なる、とも言われています。
そもそも「クレジット」という概念は、決して真新しいものではありません。文明と同じくらい古くから利用されてきました。
今回は、アメリカで「クレジットカード」がどのように定着したのか、20世紀のアメリカを中心にひもといて見たいと思います。
近代的な「クレジット」の概念は、18世紀後半のイギリスで生まれたと言われています。
ところが、消費者によるクレジット利用は批判にさらされ、なかなか一般に普及しませんでした。「ツケ」に心理的な恐怖があったのかもしれません。
その間に、新興国であるアメリカでは、この新しいアイデアがすぐに馴染みました。最初に普及したのが、クレジットカードの前身とも言える「ハウスカード」です。