今、自動車業界は「100年に一度」と言われる変革期を迎えています。
そこでポイントとなるのが次世代型自動車、中でも本稿のテーマである電気自動車(EV)の普及です。
しかし、普通に走る分には、ガソリン自動車でも全く問題がありません。
今回のエントリでは、これから普及が加速するとされる「電気自動車」について、そもそもなぜ普及すると言われているのか、その背景について整理したいと思います。
1972年、ローマクラブが発表した『成長の限界(Limits to Growth)』というレポートが、世界に衝撃を与えました。
「人が指数関数的に増えるのに対し、地球の資源は有限である」ことに着目、2030年までに経済破綻や人口減少が始まり、人類の衰退が始まると予測したのです。
ほどなくして石油ショックが起こり、「石油はいずれなくなってしまうのでは?」ともささやかれ始めました。
前後しますが、1956年にM.K.ハバート教授が「ピークオイル」という考え方を提唱しています。
予測モデルでは、アメリカの主要な石油生産量が1970年前後にピークに達し、その後は減少に転ずるとされました。
しかし実際には、技術革新や油田の発見などにより、世界の石油生産量は維持されてきました。
今日の石油産業 2018によれば、人類に残された原油の量(可採年数)は、2017年の計算では残り58年。
今の大人たちにとっては「自分が生きている間は大丈夫そう」ではあるものの、だからオッケーという話でもありません。
化石燃料を掘っただけCO2排出量が増えるのは事実ですし、「持続可能ではない」というだけでも、後の世代のために問題を解決しておくのが大人というものです。
それでも、石油の「量」が危急の問題ではない、というのもまた事実。
そんな中で現在、電気自動車の普及を促進しているのは、むしろ「政治的・経済的な思惑」です。