小売の中でも今尚成長を続けているドラッグストア業界を比較!(売上首位のウエルシアとは?)

昨今、総合スーパーや百貨店が衰退を続ける中、コンビニとともに成長しているのがドラッグストアです。

成長している理由は、規制緩和が進んでいるもののまだまだ参入障壁があるため新規参入が難しく、医薬品や化粧品の利益率が高いためです。また、医薬品や化粧品で利益を確保しつつ、食品を安売りすることも行なっていることなどが考えられます。

一方で、コンビニのように寡占化がまだされていないため、再編を見込んだM&Aも続々と発生していいます。


そこで今回は、ドラッグストアの7社を比較してみます。(調剤専業は含みません。)


ドラッグストア7社の紹介

・マツモトキヨシホールディングス

マツモトキヨシホールディングスは、万年ドラッグストア業界で売上トップを走り続けましたが、合併によって肥大化したウエルシアホールディングスとツルハホールディングスに2017年は抜かれてしまいました。

マツモトキヨシは元々、駅前型の高効率な店舗の運営に強みを持っていました。

2008年に茂木薬品商会、2009年にミドリ薬品、2010年に中島ファミリー薬局とミドリ薬品とラブドラッグス、012年にイタヤマ・メディコとモリスリテールとダルマ薬局、2013年に杉浦薬品を買収しています。


・ウエルシアホールディングス

ウエルシアホールディングスは、イオンが元々大株主となっていた企業が相次いで合併して誕生した会社です。

2008年にウエルシア関東と高田薬局が合併して誕生し、2008年に寺島薬局、2009年にイレブン、2014年にたタキヤとシミズ薬品とCFSコーポレーションを買収しています。


・ツルハホールディングス

ツルハホールディングスは、北海道に拠点を置いており、ドミナント方式で拡大してきました。大株主にイオンが入っています。

利益率の高いプライベートブランドに強みを持っているほか、調剤も強化しています。

時価総額が7つのドラッグストアの中で最も高くなっています。

2000年にドラッグトマト、2001年にリバース、2002にポテトカンパニー、2003年に薬の寺田から5店舗、2004年にエバラドラッグから5店舗と三光グループから8店舗、2007年に信陽堂薬局の11店舗とくすりの福太郎、2008年にウイングとスパーク、2009年にウェルネス湖北と仁天堂とサクラドラッグとセベラルから5店舗、2011年ウイング、2013年にウエダ薬局とハーティウォンツかもめから15店舗と、2015年にレデイ薬局と共栄ファーマシーから5店舗を買収しています。(なんとなく店舗の買収が多い気がします)


・スギホールディングス

スギホールディングスは、愛知に拠点を置いており、元々イオンが大株主としてかつて入っていましたが、2006年に解消しています。

2007年にジャパンと飯塚薬品を子会社化しています。


・コスモス薬品

コスモス薬品は、九州に拠点を置いており、他社と比較して食品の比率が高いです。

7社の中でも2番目の成長率の高さを誇りますが、大きなM&Aはこれまで行ってきていません。


・サンドラッグ

サンドラッグは、東京に拠点を置いています。

2008年にビーアンドエッチアメミヤ、2009年に星光堂薬局とダイレックス、2011年にサンドラッグ東海を買収しています。


・ココカラファイン

ココカラファインは、大阪に拠点を置いているセガミメディクスと東京に拠点を置いているセイジョーと合併して誕生しました。

その後も、2010年にアライドハーツ・ホールディングスといわいのドラッグ、2011年にメディカルインデックスとスズラン、2012年にコダマ、2013年に光慈堂と岩崎宏健堂、2017年に東邦調剤と古志薬局とシニアコスモスを買収しています。

また、他社と比較して多角化を進めており、医薬品開発のSOファーマ、介護の元気と山本サービスと愛安住を買収しています。


時価総額

まず、時価総額を見てみます。

ツルハホールディングスが最も高く、それに続いてサンドラッグ、コスモス薬品、ウエルシアHD、マツモトキヨシ、スギHD、ココカラファインの順に並んでいます。


ドラッグストアの売上推移

ここで、7社の売上推移をみてみます。

ウエルシアHDの2015年度は6ヶ月決算だっため売上が減っています。

長らく一位だったマツモトキヨシHDが、ウエルシアHDやとルハHDに抜かれてしまいました。

全社のデータが集まる2009年と比較して、最も成長したのがウエルシアHDが3.13倍になっており、コスモス薬品が2.8倍、ツルハHDが2.29倍、サンドラッグが2.27倍、ココカラファインが2.2倍、スギHDが1.58倍、マツモトキヨシHDが1.36倍になっています。


ドラッグストアの経常利益率の推移

一見同じに見えるドラッグストアですが、会社によって経常利益率が異なります。

ツルハHDが利益率を上昇させています。これは、利益率の高い調剤とPB商品の売上比率が高まっているからです。


ドラッグストアの店舗数の推移

次に、店舗数の推移を見て見ます。

基本的にはM&Aによって店舗数を増やしているため、角度が急なところが幾度もありますが、コスモス薬品はあまりなく、店舗数は最下位ながら順調に伸ばしています。(すごい)


ドラッグストアの1店舗あたり売上の推移

次に1店舗あたりの売上を見て見ます。

サンドラッグが2006年以降下がっているものの、この6年くらいは上昇傾向にあります。

また、7社の中でコスモス薬品の売上だけが大きくなっており、少ない店舗数でも存在感を出しています。


いかがでしたでしょうか。

M&Aによって各社肥大化しており、この流れは今後も無視ができないと思われます。

そんな中でも、M&Aにこだわらず着実に成長してきているのがコスモス薬品であり、個人的には注目していきたいなと思いました。(なんとなく家電量販店のヤマダ電機やUSのウォルマートのように、元々はトップではなかったが最終的にダントツトップになった企業と同じ素質を持っている気がする)

一方、M&Aの文脈でいうと、イオンの出資しているウエルシアHDとツルハHDがどうなるのか。


ECにおける医薬品の販売が許可されたものの、手間の多さから正直普及には疑問を抱かざるを得ず、まだまだリアル店舗の伸びは期待できます。

今後ともドラッグストア業界をみていきたいと思います。