テレビ局5社を比較した上で「Abema TV」について考える

年間で200億円の赤字を掘ると言ってたサイバーエージェントが手がける「Abema TV」ですが、最近また攻めていますね。

例えば、「稲垣・草なぎ・香取3人でインターネットはじめます『72時間ホンネテレビ』」や安倍総理大臣が『徹の部屋』への出演、プロレスの興行主であるDDTプロレスリングの買収などなど。


個人的に、このサイバーエージェントの動きはとても面白いなと思います。

これまで、コンテンツを持っている会社(芸能事務所など)と放送する会社(テレビ局)と広告枠を作って売る人(広告代理店)は、しっかり分離されており、テレビ局は毎年13%程度の手数料を広告代理店に支払ってきました。

しかし、ネット広告代理店であるサイバーエージェントがネットテレビまでやることで、この広告代理店への手数料がなくなり、かつ、ネットでやることでテレビ局が総務省に支払っている電波料もかかりません。

また、サイバーエージェントが子会社で持っているアドテクを使うことでネットテレビの広告はこれまでのテレビと異なるほどに精度が高まることで、ポテンシャルはさらに大きくなると思います。

そこにさらに、コンテンツを持っている会社であるプロレスの興行主まで買収することで、番組制作費の削減ができますし、コンテンツを使った新たな事業を起こすことができます。

また、サイバーエージェントの子会社にはCygamesやサムザップなどのゲームコンテンツを持っている会社も抱えています。


っとなると、コンテンツから広告代理店まで一貫して保有した会社、すなわち、「消費者」の声を直に反映できるメディアカンパニーが生まれる気がするのです。


とこれまでは定性的なもので語ってきましたが、そもそものテレビについて知らないといけません。

そこで今回は、テレビ局5社についてまとめた上で、「Abema TV」について考えてみようと思います。


では、テレビ局5社について比較します。

まず、売上構成で比較します。

セグメントについては、比較しやすいようにある程度私の方で統合をしています。

一見売上で見るとフジメディアホールディングスが一番大きく見えますが、本業であるテレビだけの売上で見ると、日本テレビが一番大きくなっています。


次に、利益の構成を比較します。

すると、日本テレビが圧倒的に利益を上げており、それについでテレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジメディアの順となっており、フジテレビが一番稼げなくなっています。


次に事業ごとの利益率を比較します。(見にくくてすみません…)

まず、不動産がいかに利益率が高いかがわかりますね…(フジメディアは低いですが…)

テレビでは圧倒的に日本テレビが圧倒的に高く、テレビ東京、テレビ朝日、TBS、フジメディアの順番にとなっています。

フジメディアの場合、テレビ以外の事業が弱く正直多角化する必要があるのか?と疑問を持ちます。


次に、売上総利益率を比較します。

日本テレビが一番大きく、ついでTBS、テレビ東京、フジメディア、テレビ朝日となっています。

次に営業利益率を比較します。

日本テレビがもっとも高く、次いでテレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジメディアの順番になっています。


次に販売費及び一般管理費を比較します。  

比較しやすくするために、有価証券報告書上でメインの費用と掲載されている代理店手数料、人件費、退職給付、その他の費用に分けて比較します。 フジメディアはテレビ以外の売上が大きいため、その他の比率が高くなっています。


次に制作費を比較します。

制作費が一番かかっているのがTBSであり、ついで日本テレビ、テレビ朝日、フジメディア、テレビ東京の順番に並んでいます。


次に、テレビ事業に対する制作費の比率を比較します。

一番効率良くテレビ作れているのが日本テレビとなっています。


次に、代理店手数料をテレビ事業に対する代理店手数料を比較します。

すると、フジメディアが一番高く、ついでテレビ朝日、日本テレビ、テレビ東京、TBSの順となっており、平均で12.91%となっています。


ここからは、「AbemaTV」について考えて見ます。

「Abema TV」には、広告と月額課金です。

まず、広告の市場について見ます。

TV・新聞・雑誌は下落傾向にありますが、インターネットについては右肩上がりとなっています。


インターネット広告の中でも、PC広告は縮小しつつある一方で、スマートフォン向け広告は伸びています。


そのスマートフォン向け広告市場でサイバーエージェントは、シェア21%を誇っています。



また、動画広告市場は、年率25%成長していく領域であり、その動画広告市場においてサイバーエージェントは19%のシェアを誇っています。

これで、「スマホ」 ×「 動画広告」のポテンシャルとサイバーエージェントの「ネット広告市場における強さ」がわかります。


次に、動画の課金について見ます。

まず有料動画配信サービスの利用者はすでに1160万人が利用しているとされており、今後も10%以上の成長が見込まれています。

参考になるのが、フジメディアが手がける「FOD」がUU300~400万人ほどいて課金者が80万人、WOWOWが手がける「WOWOW」が782億円の売上を上げていることです。





と個人的には楽観的です。

ではここで最後に、動画メディアマップを貼っておきます。