事業内容
NetEaseの沿革・会社概要
NetEase(網易、ネットイース)は中国に拠点を置くインターネット企業。1997年6月、データベースソフトを開発する米国企業「Sybase」出身の丁磊(ディン・レイ、William Ding)によって創業された。1997年中頃から検索ポータル『163.com』の提供を開始し、1998年初旬にはウェブ上での無料電子メールのリリースした(メールアドレスのドメインも163.com)。1998年半ばには、ソフトウェア開発会社からインターネット技術会社へとビジネスモデルを変更し、NetEaseのウェブサイトの開発を開始。1999年半ばには広告営業チームを設置してサイト上での広告販売を行うとともに、オンラインプラットフォームやショッピングモールなどのオンラインサービスをローンチした。
2000年にNASDAQ上場を果たした後は、オンラインゲーム、ワイヤレス付加価値(VAS)サービス、プレミアムメールサービスなどの有料サブスクリプションやオンラインエンターテイメントサービスにも事業を拡大している。NetEaseは2015年1月に初のeコマースサービス『Kaola』を開始し、中国最大の越境ECプラットフォームに成長した(2019年9月にAlibabaへ20億ドルで売却)。NetEaseはまた、2016年4月にODMモデルを採用した中国国内向けeコマースサイト『Yanxuan』を開始した。
音楽ストリーミング『NetEase Cloud Music』やオンライン教育『Youdao』といった新規サービスも次々と展開しており、中国有数のインターネット企業として存在感を放っている。
NetEaseの事業内容・提供サービス
NetEase(網易、ネットイース)は世界中でオンラインゲーム事業を展開しており、人気の高いタイトルの豊富なポートフォリオを開発・運営している。現在、140を超えるモバイルゲームやPCゲームを幅広いジャンルで提供しており、成長を続けるゲーマーコミュニティの多様なニーズに応えている。
NetEaseはゲーム事業のほか、ユーザーインサイトと実行ノウハウを活用し、音楽ストリーミングやプライベートレーベルのeコマースからインターネットメディア、メールサービスなどに至るまで、さらにはインテリジェントラーニングをはじめとする新規事業のパイプラインを創出している。
2019年12月31日時点で、NetEaseのメール登録ユーザー数は約10億人、『NetEase Cloud Music』の登録ユーザー数は8億人を超えている。また、2019年の『Youdao』平均月間アクティブユーザー数(MAU)は1億人を突破した。
オンラインゲームの事業内容・ビジネスモデル
NetEaseのゲーム商品・サービスは、自社開発のモバイルゲームやPCゲームに加え、世界的に有名なデベロッパーからのライセンスを受けたゲームで構成されている。NetEaseは、モバイルゲームのトレンドをいち早くキャッチした世界的な企業として、ここ数年でモバイルゲームのラインナップを大幅に拡充してきた。同時に、NetEaseの主力タイトルは、継続的な長寿命化とユーザーロイヤリティにより、オンラインゲーム事業を支え続けている。また、中国国内市場でのリーダーとしての地位を確固たるものにする一方で、日本、東南アジア、米国、その他の国際市場での発売により、グローバルに事業を拡大している。
PCゲーム
NetEaseは2001年12月、PCベースのMMORPG『Westward Journey Online』」をローンチしてオンラインゲーム事業に参入した。その後、2002年8月に『Westward Journey Online II』を、2004年1月にはオリジナルPCベースMMORPGとして2作目となる『Fantasy Westward Journey』の提供を開始した。いずれののゲームシリーズも、過去20年以上にわたってコンテンツのアップデートやプレイモードの革新を続けてきた結果、現在もなおゲーマーからの人気を維持している。
PCゲームのプレイヤーは、プリペイドポイントを購入することで、ゲームのプレイ時間やバーチャルアイテム、特殊能力やコスチューム、武器などのアクセサリーなど、プレイ体験を高める有料サービスを利用することができる。定期的に新しいバーチャルアイテムやその他の有料サービスを導入するとともに、プレイヤーのフィードバックや市場動向などをもとにバーチャルアイテムの機能変更を重ねることでエンゲージメントを高めている。
主要タイトル:
Game | Genre | Date of Launch (Major Upgrade) |
---|---|---|
New Westward Journey Online II (a comprehensive upgrade of Westward Journey Online II) | 2D MMORPG, classical Chinese setting | August 2002 (September 2013) |
Fantasy Westward Journey Online (previously known as Fantasy Westward Journey II) | 2D MMORPG, classical Chinese setting | January 2004 (July 2013) |
Tianxia III | 3D MMORPG, classical Chinese setting | October 2011 |
New Ghost (a new version of Ghost II) | 2.5D MMORPG, classical Chinese setting | April 2012 (September 2015) |
Justice | 3D MMORPG, classical Chinese setting | June 2018 |
モバイルゲーム
NetEaseはゲーム収益の面で世界最大級のモバイルゲームプロバイダーの1つであり、2019年12月31日時点で、自社開発およびライセンスを受けたMMORPG、コレクティブカードゲーム(CCG)、一人称視点シューティングゲーム、バトルアリーナゲーム、シミュレーションゲーム(SLG)など、様々なジャンルのモバイルゲーム100本以上を発売している。2019年のオンラインゲームサービス売上のうち、モバイルゲームからの収益が71.4%を占めている。
NetEaseの最も人気のあるモバイルゲームの大半は自社開発のゲームである。『Fantasy Westward Journey』や『Westward Journey Online』など、自社開発のフラッグシップMMORPGのモバイル版を発売している。NetEaseのモバイルゲームは、中国の主要なAndroidおよびiOSベースのアプリケーションストアとの提携や、NetEase独自の配信チャネルを通じて配信している。モバイルゲーム事業ではバーチャルアイテム販売も収益源としており、アバター、スキル、特典などのゲーム内消耗品、機能や機能などを提供している。
主要タイトル:
Game | Genre | Date of Initial Launch |
---|---|---|
Mobile Version of Fantasy Westward Journey II | Turn-based MMORPG | July 2013 |
Mini Westward Journey | CCG | April 2014 |
Battle to the West | CCG & MOBA | October 2014 |
Fantasy Westward Journey mobile game | Turn-based MMORPG | March 2015 |
Westward Journey Online mobile game | Turn-based MMORPG | September 2015 |
Invincible | SLG | October 2015 |
The mobile version of New Ghost | Real-time MMORPG | May 2016 |
Onmyoji | CCG & RPG | September 2016 |
Knives Out | Battle Arena | November 2017 |
Rules of Survival | Battle Arena | November 2017 |
All About Jianghu | Real-time MMORPG | January 2018 |
Identity V | Battle Arena | April 2018 |
Ancient Nocturne | CCG & RPG | September 2018 |
Life-After | Cooperative Survival RPG | November 2018 |
Xuan Yuan Sword: Dragon Upon the Cloud | MMORPG | October 2019 |
Fantasy Westward Journey 3D | 3D MMORPG | December 2019 |
ライセンスゲーム
NetEaseは自社開発のモバイルゲームやPCゲームに加え、BlizzardやMicrosoftなどの海外ゲーム開発会社からライセンスを受けたゲームも提供している。2017年、2018年、2019年の売上に占めるライセンスゲームの割合は、それぞれ8.8%、7.5%、7.5%であった。
オンライン教育『有道(Youdao)』の事業内容・ビジネスモデル
NetEaseは2006年、オンライン教育サービス『有道(Youdao)』を設立した。2007年にはフラッグシップサービス『Youdao Dictionary』をローンチし、MAU(月間アクティブユーザー数)ベースで中国でトップの言語アプリとなっている。Youdaoはローンチから急成長を続け、2019年10月にニューヨーク証券取引所へ上場を果たした。 Youdaoは『Dictionary』」を軸に大規模なユーザーベースを獲得し、就学前、K-12、大学生だけでなく、大人の学習者の生涯学習ニーズに対応した幅広い製品やサービスへと拡大している。
Online Knowledge Tools
『Youdao Dictionary』
2007年に発売された『Youdao Dictionary』最初の主要製品であり、フラッグシップのオンライン言語ツールとして提供されている。2019年12月31日現在、108の言語で3,000万以上のエントリを提供しており、5,190万MAUに到達している。
『Youdao Cloudnote』
NetEaseは中国を代表するノート作成ツール『Youdao Cloudnote』を提供している。ユーザーがいつでもどこでもアイデアやインスピレーションをメモするための包括的な機能を備える。ユーザーは、手書きの文字をデジタル化してユーザーの『Youdao Cloudnote』アカウントに保存する『Youdao Cloud Pen』をCloudnoteと一緒に使用することもできる。
その他のオンライン辞書と翻訳ツール:
NetEaseは『Youdao Dictionary』の他にも、カメラや音声翻訳を介して30以上の言語でビジネスやレジャー向けの翻訳ニーズをサポートする『Youdao Translation』、インドやインドネシアなどの海外市場で提供しているオンライン辞書と翻訳アプリ『U-Dictionary』、K-12向けに中国語と英語の翻訳サービスを提供するスマートツール『Youdao Kids' Dictionary』などを提供している。
Learning Services
Online Courses:NetEaseは様々な年齢層の多様な学習ニーズに対応するために、包括的なオンラインコースを開発した。現在、NetEaseのオンラインコースは『Youdao Premium Courses』『NetEase Cloud Classroom』『China University MOOC』で構成されている。
Interactive Learning Apps:
NetEaseほぼすべての年齢層に幅広いインタラクティブ学習アプリを提供している。豊富なゲーミフィケーション機能や、ユーザーや学生がソーシャルメディアを通じて学習の進捗状況を友人と共有できるソーシャル機能などを特徴とし、これらのアプリを通じて楽しく効果的な学習体験を提供することに力を入れている。現在の主要なインタラクティブ学習アプリには、『Youdao Math』『Youdao Fun Reading』『Youdao Vocabulary Builder』ある。
Enterprise Services:
NetEaseはエンタープライズ向けにクラウドベースのサービス・プラットフォームを展開している。サードパーティのアプリ開発者・スマートデバイスブランド等は、NetEaseの高度な光学式文字認識(OCR)機能とニューラル機械翻訳(NMT)エンジンにアクセスし、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)を介してアプリやデバイス、サービスに組み込むことができる。さらに、「Higher Education Press」との提携により、大学・教育機関がオンラインコースを構築するためのクラウドベースのプラットフォームを提供するとともに、さまざまな技術サポートサービスも提供している。
その他新規サービスの事業内容・ビジネスモデル
音楽ストリーミング『NetEase Cloud Music』
2013年4月、NetEaseは音楽ストリーミングプラットフォーム『NetEase Cloud Music』の提供を開始した。以来、『NetEase Cloud Music』は、提供する音楽の質と種類の多さにおいて、差別化されたプレミアムなリスニング体験を提供することに注力してきた。優れたユーザー体験を提供することを追求してきたことが、非常に忠実でアクティブなユーザーベースにつながっている。2019年12月31日時点で、『NetEase Cloud Music』の登録ユーザー数は8億人を超えている。
『NetEase Cloud Music』には多くのインディペンデントミュージシャンが在籍しており、ビッグデータ・アナリティクスを用いた新進アーティストの発掘とプロモーションに注力している。2019年12月31日時点の独立系ミュージシャン在籍数は10万人以上、2019年には2,700億回以上の楽曲が再生された。さらに、ミュージシャンには、作品のプロモーションやマネタイズのためのツールやソリューションを提供している。
NetEaseはサブライセンスコンテンツを活用し、音楽提供の多様化とさらなる充実を図っている。『NetEase Cloud Music』は、基本的なサービスは無料である一方で、一部の拡張機能は有料で利用できるフリーミアム型のビジネスモデルで運営されている。音楽再生、ダウンロード、検索サービスの提供に加え、楽曲レビュー、過去の再生記録に基づく楽曲リストのレコメンド、地理的位置の特定などの音楽ソーシャル機能も特徴とする。
2019年8月には新たなコミュニティモジュール『Cloud Village』を追加し、音楽を中心とした個人的な表現の議論、創造、共有を育む音楽コミュニティをさらに発展させた。NetEaseは2018年にライブストリーミングアプリ『Look Live Streaming』を立ち上げ、独立系ミュージシャンが音楽の才能を披露したり、オーディエンスと直接交流したりするための追加プラットフォームを提供している。ファンはライブパフォーマンス中にコメントを残したり、アーティストにバーチャルギフトを送ったりすることができる。2020年初頭には、中国全土の大規模な聴衆に向けて50組以上のアーティストのパフォーマンスをライブストリーミングで配信するオンライン音楽フェスティバルを開催した。
eコマース『网易严选(Yanxuan)』
NetEaseのeコマース・プラットフォームである『网易严选(Yanxuan)』では、主に中国のODMメーカーから仕入れた家電、食品、アパレル、家庭用品、キッチン用品、その他の雑貨などのプライベートブランド製品を販売している。NetEaseは「Quality Products, for Quality Life」をスローガンに、優れた品質とデザイン性を備えた厳選された日常生活用品を提供することで、消費者の質の高い生活をサポートしている。
『Yanxuan』のODMモデルでは、中国の厳選されたメーカーと提携し、製品の設計・製造を行い、顧客に直接販売している。ODMモデルでは、代理店や小売店などのブランドプレミアムやチャネルの中間業者を排除することで、より低コストで高品質な商品を提供することができる。『Yanxuan』はオンラインプラットフォームに加えて、杭州と上海に探検型のオフラインストアを展開している。
その他新規事業(Other Innovative Services)
NetEaseはインターネットメディアサービス『NetEase Media』、電子メールサービス『NetEase Mail』、ゲーム放送を中心としたライブストリーミングプラットフォーム『CC Live streaming』、決済プラットフォーム『NetEase Pay』など、革新的なサービスを幅広く提供している。
『NetEase Media』
NetEaseのインターネットメディアプラットフォームは、コンテンツの提供とユーザーエクスペリエンスに強い革新性を持つブランドとしてユーザーから支持を集めている。『NetEase News App』 は、ニュース、情報、人気スポーツイベント、業界フォーラム、有名人のクローズアップ、テクノロジーやファッションのトレンド、オンラインエンターテイメントなどを網羅したコンテンツチャンネルを、さまざまなモバイルデバイスを介して中国の一般の人々に提供している。
『NetEase Mail』
NetEaseは1997年から電子メールを提供している。2019年12月31日時点で10億人以上の個人・法人ユーザーに無料・有料の電子メールサービスを提供しており、登録ユーザー数では中国最大級の電子メールサービスプロバイダー。
『Web Portal(163.com)』
NetEaseのメインホームページ(www.163.com)は、ユーザーがオンラインゲームや電子メール、eコマース、ビデオ・音楽ストリーミング、電子書籍、その他のウェブサイトやモバイルアプリケーションなど、NetEaseの他のオンラインサービスに便利にアクセスするためのワンストップゲートウェイとしての役割を果たしている。