事業内容
沿革・会社概要
Booking Holdings Inc.(ブッキング・ホールディングス)は、米国コネチカット州ノーウォークに本社を置く、オンライン旅行プラットフォームのグローバル企業。1997年に設立され、「誰もが世界を簡単に体験できるようにする」ことをミッションとして、旅行予約を希望する消費者と世界中の旅行サービス提供者を結びつけている。ユーザーは、Booking Holdingsの複数のブランドを通じて、宿泊施設の予約、レンタカーの予約や空港タクシーの手配、ディナーの予約、フライト、ツアーパッケージ、アクティビティの予約などを行うことができる。
主要ブランド・サービス
Booking Holdingsは複数のブランドを運営する戦略を採用している。これにより、異なる消費者に異なる方法でサービスを提供すること、異なるマーケティング戦略や事業戦略を追求すること、実験やイノベーションを奨励すること、異なる市場に焦点を当てることなどが可能になると考えている。
サービスは、以下の6つの主要な消費者向けブランドを通じて提供されている。
『Booking.com』(ブッキング・ドット・コム)
『Booking.com』は、オランダに本社を置くオンライン宿泊施設予約の世界的ブランド。世界230以上の国と地域に、ホテル、モーテル、リゾート、一軒家やアパートなどの約258万の宿泊施設の宿泊予約サービスを提供している(2019年12月31日時点)。また、世界200以上の都市で、目的地内のツアーやアクティビティ、フライト、レンタカー、レストランの予約サービスも提供している。
『Rentalcars.com』(レンタカー・ドット・コム)
『Rentalcars.com』は、Booking.comの一部として運営されている、オンラインレンタカー予約サービスである。ユーザーは世界中の6万以上の場所でレンタカーを予約することができ、40以上の言語でカスタマーサポートを受けられる。また、世界中の850以上の空港で、タクシーとリムジンの事前予約サービスも提供している。
『KAYAK』(カヤック)
『KAYAK』は、コネチカット州スタンフォードに本社を置く、オンライン価格比較サービス(「メタ検索」)を提供する会社である。何百もの旅行サイトから、航空券や宿泊施設、レンタカーの予約を含む旅行の旅程や価格を一度に比較できるサービスを、60カ国以上で提供している。
『Priceline』(プライスライン)
『Priceline』は、コネチカット州ノーウォークに本社を置く、割引旅行予約サービス会社である。主に北米でオンライン旅行予約サービスを提供しており、ホテル、レンタカー、航空券の予約だけでなく、バケーションパッケージやクルーズも提供している。
『Agoda』(アゴダ)
『Agoda』は、シンガポールに本社を置く、アジア太平洋地域の消費者を対象としたオンライン宿泊予約サービスである。タイ・バンコクやその他の地域にも事業を展開しており、航空券や交通機関の予約サービスやアクティビティも提供している。
『OpenTable』(オープン・テーブル)
『OpenTable』は、カリフォルニア州サンフランシスコで事業を展開する、オンラインレストラン予約のブランドである。消費者向けのレストラン予約サービスと、レストラン向けの予約管理サービスを提供している。現在は主に米国で事業を展開しているが、国際的なサービスの拡大に向けて投資を続けている。
各ブランドは歴史的に独立して運営されており、その多くは特定のサービスや地域に焦点を当てていたが、ユーザーに最高かつ最も包括的なサービスを提供するために、ブランド間の連携、協力、相互依存性を高めている。ブランド間でリソースや技術革新を共有し、新サービスを共同開発し、主要市場での活動を調整することで、規模のメリットを最大化することを目論んでいる。
ビジネスモデル
Booking Holdingsは、消費者が旅行サービスをオンライン予約できるようにすることで、実質的にすべての収益を得ている。2019年12月31日に終了した会計年度において、Booking.comの宿泊予約サービスによる収益は、Booking Holdingsの連結収益の約90%を占めていた。
代理店収入(Agencyモデル)
代理店収入は、Booking Holdingsが仲介しない旅行関連の旅行予約手数料から得られる。Booking Holdingsは、旅行が完了した後に、旅行サービス提供者に手数料を請求する。
加盟店収入(Merchantモデル)
加盟店収入は、旅行関連の取引から得られるもので、Booking Holdingsが提供したサービスに対する旅行者からの支払いを予約時に行う。旅行予約手数料、クレジットカード処理リベート、顧客処理手数料、および旅行関連保険収入などが含まれている。ほとんどすべての加盟店収入は、旅行者が宿泊施設の予約やレンタカーの予約を行う取引から得ている。
その他収益
広告およびその他の収益は、KAYAKの、オンライン旅行会社(OTC)や旅行サービスプロバイダーへの紹介や広告掲載のために得た収益と、OpenTableのレストラン予約サービスやレストラン管理サービスのサブスクリプション料の収益から構成される。
成長戦略
Booking Holdingsは、ユーザーに最高の消費者体験を提供することが、将来の成功に不可欠であると考えている。そのために、オンラインユーザー体験の向上、サービス加盟事業者や支払いオプションの拡大、有益なコンテンツの充実に重点を置いている。
「コネクテッド・トリップ」
Booking Holdingsでは、「コネクテッド・トリップ」と呼ばれる複数の旅行要素をより統合的に提供していくことを、長期的な戦略として目指している。これは、技術革新とAIなどの新技術の活用により、発見、計画、予約、旅行サービス事業者間の旅程調整、自動スケジュール変更・予約など、旅行体験のあらゆる側面を簡素化し向上させるものである。
例えばフライトが遅延した場合、「コネクテッド・トリップ」は旅行者に注意を促すだけでなく、ホテルへの到着が遅れた場合の自動手配、ディナーの予約変更と他の宿泊者への通知、空港送迎のリスケジュール、遅い時間の乗り継ぎ便の検索などを行うことができる。
パートナーシップ
世界中の旅行会社やレストランは、Booking Holdingsのサービスに参加することで、効率的かつ費用対効果の高い方法で流通チャネル、需要、在庫の利用率を高めることができると考えている。
Booking Holdingsは、中国のDidiや東南アジアのGrabなどの大手配車サービスと戦略的な提携を結んでおり、一方の会社のユーザーは他方の会社のサービスを利用できるようになっている。例えば、東南アジアを旅行するBooking.comのユーザーは、Booking.comアプリを通じて、Grabが手配した配車を予約することができる。