事業内容
沿革・会社概要
Etsy, Inc.(以下、Etsy)は、2005年に設立された企業で、何百万人もの買い手と売り手をつなぐオンラインマーケットプレイス(オンライン市場)を運営する企業だ。特に、Etsyは手芸や古物、独自の工場生産といった商品を扱っているオンラインマーケットプレイスを運営している点が、Amazon.comのようなサイトとの違いとなっている。
Etsyのミッションは「取引を人間らしく」ということであり、テクノロジーの力を使って買い手と売り手の関係性を強化することによって、世界中の人々をつなげることにある。これは、オンライン市場であっても、買い手と売り手という一人ひとりの関係性を築くことで、商取引が行われるようにサポートすることをミッションとしているということであり、Etsyのオンラインマーケットプレイスは、売り当て側が一方的に商品を販売するというサイトデザインにはなっていない。買い手と売り手が価格交渉をしたり、質問したりということが容易にできることがEtsyの特徴となっている。取引の対象はアート、写真、衣料品、宝飾品、食品、風呂、美容製品、キルト、骨董品、玩具など多岐に渡っているが、「Etsyにしかない」という出品も多い。
売り手側は、販売を行うために利用者名と店名が必要で、利用者名を変更することは原則としてできない。売り手側の出店自体は無料であるが、商品一つに対し20セントの手数料がかかる。また、Etsyでは、自由に価格が設定できるものの、3.5%の手数料がかかる。売り手は、毎回取引のたびに手数料を支払うのではなく、月末にまとめて手数料を支払う。Etsyは、世界中の買い手と売り手をつなげるサービスを展開する企業であるため、世界中の会員が配送で困らないように、国際発送サービスも提供している。
買い手側は、検索フォームに特徴を入力するか、画面左側の商品種別である、アート、ホーム、ジュエリー、女性、男性、キッズ、ヴィンテージ、結婚式、工芸品、おすすめ、ギフトアイデア、モバイルアクセサリーといった項目から出品されている商品を閲覧することができる。気に入った商品があれば、売り手側が指定した金額で購入することができる。
Etsyは、2019年8月にはReverbを買収した。Reverbが運営するReverbマーケットプレイスは、新品、中古、ヴィンテージの音楽の売買に特化した世界的なオンラインマーケットプレイスであり、多数の楽器を販売している。この買収によって、これまではEtsyで取り扱ってこなかった商品も取り扱われるkとおとなった。その結果、世界中の買い手と売り手が集う活気あるコミュニティが誕生した。Reverbは、現在、Etsyの完全子会社となっており、この買収によって、Etsyはさらにマーケットを拡大することになった。Etsy, Inc.では、家具・ジュエリー・パーソナルアクセサリー・アパレル・クラフト用品・ペーパー&パーティー用品・ビューティー&パーソナルケアなども扱っているが、Reverbが加わったことで、中古楽器市場も取り扱うようになっている。
2019年12月31日現在、EtsyとReverbのマーケットプレイスでは、270万人のアクティブな売り手と4,640万人の買い手がいる。米国・英国・カナダ・ドイツ・オーストラリア・フランスの6つの主要な地域市場に投資を行っており、この地域は、買い手と売り手の両方が最も集中している地域であることから、今後も、これらの市場への投資を継続していくことを予定している。
2019年12月31日現在、約 6,600万点のアイテムは、Etsyのマーケットプレイスの小売カテゴリーで販売されている。2019年、Etsyは約50億ドルの商品総売上を生み出した。そのうち約58%がモバイルデバイスによる購入によるものであったことから、Etsyのほとんどがモバイルアプリを使ってEtsyの商品を購入していることがわかる。
Etsyの収益源は多様化しており、マーケットプレイス活動や、販売者に提供するその他のオプションサービスをミックスして、販売者がより多くの売上を上げ、販売者の規模を拡大できるように支援しつつ、事業を展開している。
事業内容・サービス内容
Etsyの主要なマーケットプレイスは「Etsy.com」だ。Etsy.comは、ユニークでクリエイティブな商品が揃うウェブサイトであり、起業家(売り手)と、特別なもの・自分のセンスを反映したもの、など珍しいものを探している消費者(買い手)を結びつける。
買い手は、売り手側によってキュレーションされたアイテムを一つ一つ閲覧し、気に入ったものを購入する。Etsyは、1年を通して起こる特別な購入の機会や、日常的なアイテムを提供するために、潜在的な買い手をEtsyに引き付けることに注力している。
たとえば、Etsyは、多くの小売カテゴリーやショッピングの機会を通じて購買意欲を刺激することができるようにEtsy.comをデザインしており、買い手側とのエンゲージメントを深めることができるような工夫をしている。Etsy.comには、個人のスタイルを反映したアイテムや、思いやりや気配りを感じさせるギフト、創造性や楽しさを表現したお祝いの品など、Etsyでしか購入できないものが多くならんでいる。これこそがEtsyの魅力だ。買い手は、他では手に入らないアイテムが提供されているからこそ、何度もEtsyを利用するようになる。実際、2019年のEtsyを利用した買い手を対象とした調査では、88%の買い手がEtsyには、他では手に入らないアイテムがあると答えている。