沿革・会社概要

Vipshop Holdings Limited（唯品会）は中国のeコマース企業。2008年にEric Ya Shen氏が創業した。2008年8月に中国で「Vipshop Information」を設立して事業を開始し、海外からの投資を促進するため2010年8月にケイマン諸島のオフショア持株会社である「Vipshop Holdings Limited」、2010年10月には「Vipshop Holdings Limited」を設立した。2010年10月には、香港に100％子会社の「Vipshop International Holdings Limited（Vipshop HK）」を設立したほか、2011年1月にはVipshop HKが中国に100％出資子会社「Vipshop China」を設立している。Vipshop Chinaはモバイルアクティブ顧客やモバイルサービスの拡大に伴って2012年に「Guangzhou Pinwei Software」を設立し、モバイル製品やソリューションに特化した研究開発センターを立ち上げている。同年、ニューヨーク証券取引所へ株式上場を果たした。2017年にはJD.comから約2億5,870万ドル、Tencent約6億ドルの出資を受けた。

Vipshopのeコマースは「ブランド品のオンラインディスカウント」を特徴とする。高品質で人気のあるブランド品を、小売価格から大幅な割引価格で中国全土の消費者に提供している。従来のオンライン・マーケットプレイスや大規模なマルチカテゴリーのオンライン小売業者と比較して、Vipshopは「第3のeコマースモデル」を構築している。ブランド商品の特別価格や大幅な割引を提供することで、中国におけるオンラインディスカウント小売モデルの先駆者となり、顧客やブランドパートナーから信頼されるエキスパートとしての地位を確立している。

サービス内容

Vipshop Holdings Limited（唯品会）は、ブランド品のオンラインディスカウント小売事業を展開している。オンラインプラットフォームを中心としたフラッシュセールを通じて、中国の消費者に高品質なブランド商品を提供している。2019年12月31日現在、登録会員数は約3億7800万人、累計顧客数は約1億7100万人で、国内外の人気ブランド31,000以上の商品をプロモーションし、販売している。

なお、フラッシュセールとは、電子商取引とディスカウントセールの利点を組み合わせたオンライン小売の形態で、限られた数量の商品やサービスを期間限定でオンラインで販売するもの。

Vipshop（唯品会）のビジネス・オペレーション

Vipshopのビジネスモデルは、顧客に独自のオンラインショッピング体験を提供している。毎日、人気ブランドの商品を厳選し、期間限定で数量限定の激安価格で販売するセールイベントを開催しており、顧客に「ワクワク・ドキドキ（thrill and excitement）」を届ける。私Vipshopは、マーチャンダイジングの専門知識を駆使して、中国でライフスタイルの向上を求める価値観の高い顧客を中心に、日々のセールイベントのブランド構成や商品構成を選択することができる。Vipshopは、高い顧客満足度とロイヤルティを持つ顧客基盤を構築し、口コミによる新規顧客の獲得を可能にしている。お客様の大半はVipshopの製品を複数回購入している。リピーター顧客の総数は、2017年、2018年、2019年にそれぞれ4,120万人、4,610万人、5,050万人で、同期間のアクティブ顧客総数の71.3％、76.1％、79.7％を占めた。リピーター顧客からの注文は、同期間における総注文数のそれぞれ95.1％、96.6％、97.6％を支えた。

Vipshopは中国で人気のある国内外のブランドのオンラインフラッシュセール・チャネルとして選ばれている。短期間で大量の在庫を収益化し、ブランドや製品に対する消費者の認知度を高め、中国全土の潜在的な顧客にリーチし、顧客データの分析や在庫管理に対する需要を満たすことができることから、多くのブランドがVipshopのプラットフォームとサービスを活用している。Vipshopのプラットフォーム上で製品を宣伝・販売したブランドのうち、実質的にすべてのブランドがVipshopにおける追加販売機会を求めてプラットフォームを再び利用する。

Vipshopは通常、ほとんどの製品の売れ残り商品をブランドパートナーに返品する権利を持っている。Vipshopの物流オペレーションと在庫管理システムは、Vipshopオンラインプラットフォーム上での頻繁なセールイベントをサポートし、大量の在庫回転を処理するために特別に設計されている。また、全国の配送業者と連携し、信頼性の高いタイムリーな配送を実現している。さらに、消費者金融とサプライヤー金融サービスを提供し、顧客のショッピング体験の向上とサプライヤーとの協力関係を強化している。Vipshopはフラッシュセールイベントのピーク時におけるトラフィック急増をサポートするためITインフラストラクチャを開発してきた。Vipshopの効率的な運用管理システムと堅牢なITインフラストラクチャを組み合わせることで、Vipshopの継続的な成長のための強固な基盤を国畜している。

Vipshop（唯品会）の「フラッシュセール・モデル」

フラッシュセールは、中国のブランド意識の高い消費者が高品質の商品を大幅な割引価格で購入するのに適したサービスといえる。Vipshopのフラッシュセール・モデルでは、ブランド商品を数量限定で販売している。Vipshopはマーチャンダイジングの専門知識に基づき、毎日開催するセールイベントのブランド構成と商品構成を最適化している。2019年12月31日現在、「アパレル（女性・男性・子供向け）」「ハンドバッグ」「靴」「化粧品」「マザー＆ベビーケア製品」「家電製品」「ホームグッズ」「その他のライフスタイル製品」など、国内外の人気ブランド3万1,000以上から多様な商品を提供している。中国全土の様々な購買力を持つ消費者の幅広い層にアピールできるよう、有名で人気のある中堅から高級ブランドや商品を厳選している。Vipshopオンラインプラットフォームから高品質の商品を購入する顧客の信頼を獲得するため、Vipshopの商品には限定的な商品品質保険を提供している。

また、北京時間（CST：Chinese Standard Time）の午前10時と午後8時の1日2回、日替わりのセールイベントを開催しており、その日の人気商品を売り切れる前に購入したいという消費者のニーズに応え、2時間後には来場者が急増している。また、顧客にお得な商品をより多く購入してもらうために、カテゴリーに応じて同一商品の購入を制限している。ショッピングカート内の未払いの商品は、20分後に自動的に利用可能な商品プールに戻される。その結果、顧客は限られた時間内に迅速に購入の意思決定をしなければならず、「宝探し」に似たスリルを生み出している。

Vipshop（唯品会）のオンラインプラットフォーム

Vipshopのオンラインプラットフォームでは、中国国内の様々な年齢層や所得レベルの顧客に対し、ブランド品を気軽に買い物できるよう、厳選された商品やサービスを提供している。Vipshopオンラインプラットフォームは、モバイルアプリやvip.comウェブサイト、Vipshop WeChatミニプログラムで構成されている。

現在、Vipshopアプリは、登録会員数や毎日のユニークビジター数、月間ユニークビジター数でVipshopオンラインプラットフォームのトップポータルとなっている。2011年にiOSやAndroidを含む主要なモバイルOS向けにVipshopアプリの提供を開始して以来、Vipshopアプリは定期的にバージョンアップし、新機能追加や著名人を起用することで、ブランドとVipshopアプリのプロモーションを行っている。Vipshopのビッグデータ・ビジネスインテリジェンスシステムとクラウドコンピューティングインフラの支援を受け、ユーザーにパーソナライズされたレコメンド、在庫切れ商品のよりスマートでタイムリーな補充、より効率的なインターフェイスを提供し、ユーザーのショッピング体験を向上させるために、Vipshopアプリの機能を拡張してきた。2019年12月31日現在、Vipshopアプリユーザーからの収益は、収益全体の90％以上を占めている。2019年には、出資を受けるテンセントが運営する「WeChat」アプリを介して、ユーザーが直接Vipshopのプラットフォームにアクセスできるようにする「Vipshop WeChatミニプログラム」を開始した。

Vipshopオンラインプラットフォームの特徴

Browsing：Vipshopのプラットフォームへの訪問者は誰でもVipshopが開催するセールイベントを閲覧・閲覧することができる（セールイベントに参加するには会員登録（無料）が必要）。Vipshopのプラットフォームでは毎日のセールごとに様々なブランドや商品を紹介している。それぞれのブランドについて、ユーザーは短いフラッシュアニメーションを見ることができ、特定のブランドの背景情報を受け取ることができる。また、各商品の説明文や独自の写真を多角的に表示している。また、人気の高い商品の販売イベントを事前にプレビューすることも可能。商品を「女性」「男性」「子供」「アウトドア」「ライフスタイル」「アクセサリー」などのカテゴリーに分類し、顧客が興味のある商品を簡単に見つけられるようにしている。

Daily Sales Events：Vipshopでは北京時間（CST）の午前10時と午後8時の1日2回、それぞれ新しいセールイベントを通常1週間に3日間以上開催している。各商品は数量限定で販売され、在庫がなくなるまで販売される。Vipshopではブランドと製品のバランスのとれた多様なミックスを提供するために、毎日のセールイベントを事前に計画している。

Ordering：Vipshopのプラットフォーム上で製品を注文するには、顧客はボタンをクリックするだけで、仮想ショッピングカートにアイテムを追加することができる。また、リピーター顧客は、Vipshop会員アカウントにログインした後、好みのチェックアウトオプションを利用できる。また、リピーター顧客は、Vipshopメンバーズアカウントを利用すると、希望のチェックアウトオプションにアクセスすることができる。また、買い物中や注文後のサービス時間帯には、オンラインまたは電話でカスタマーサービス担当者に連絡できる。

顧客のブランドや商品に対する多様なニーズに応えるため、Vipshopオンラインプラットフォーム上に様々なチャネルを開設した。具体的には、化粧品・スキンケアブランドのチャネル「Vipshop Beauty」、家具・ベッド・バス・キッチン・家電製品のチャネル「Vipshop Home」、マザー＆ベビー用品のチャネル「Vipshop Kids」、海外ブランド商品の直接購入チャネル「Vipshop International」、消費者金融のチャネル「Vipshop Finance」を運営している。また、通常のフラッシュセールに加えて、最も優れた商品やお得な情報を提供するブランドは、通常のセールよりも割引率が高いことで知られている「Fengqiang」と「Kuaiqiang」の2つの主要なトラフィックチャネルに参加できる。これらのチャネルを導入することで、ブランドは在庫をより効率的に収益化するための選択肢を増やすことができる。

Vipshopはオンラインプラットフォームに加え、オンライン事業を補完するために中国で一部のオフライン店舗を運営している。2019年12月31日現在、オフライン店舗「Vipmaxx」は約200店舗、Vipshopのオフライン店舗は約300店舗となっている。さらに、2019年7月、中国のオフライン・アウトレット運営業界のリーディングカンパニー「Shan Shan Outlets」を買収し、中国におけるオフライン・アウトレット事業でのプレゼンスを獲得した。2019年のオフライン店舗を通じた売上高はごくわずかであったが、顧客開拓と購買体験の向上において重要な役割を果たしている。