事業内容
沿革・会社概要
株式会社ユーザベースは東京都渋谷区恵比寿に本社をおくインターネット企業。2008年に梅田優祐氏、稲垣裕介氏、新野良介氏が設立。企業・業界分析のためのオンライン情報プラットフォーム「SPEEDA」、ソーシャル機能を兼ね備えた経済ニュースプラットフォーム「NewsPicks」を展開。高い技術力を誇るエンジニア、多数の業界専門アナリスト、多様な編集部、創造性あふれるビジネスチームを有し、革新的な経済情報サービスの開発を目指す。
2009年5月に『SPEEDA』を、2013年7月には『NewsPicks』、2017年5月には『FORCAS』リリースする。2013年10月『SPEEDA』英語版の提供開始した。2014年2月に『NewsPicks』有料購読プランを開始する。2016年10月に東京証券取引所マザーズに株式上場を果たす。2018年7月、米国に拠点を置く新興Webメディア『Quartz』を買収し、グローバル展開を強化している。
事業内容
ユーザベースは、企業・業界分析を行うビジネスパーソンのためのオンライン情報プラットフォーム「SPEEDA」、ソーシャル経済メディア「NewsPicks」を主な事業として運営している。そのほか、米国発メディア「Quartz」やスタートアップ情報「INITIAL」、ABM支援ツール「FORCAS」といったサービスも展開する。
ユーザベースグループは、株式会社ユーザベース、子会社18社(国内子会社である株式会社ニューズピックス、株式会社NewsPicks Studios、株式会社アルファドライブ、株式会社INITIAL、株式会社FORCAS、株式会社UB Ventures、株式会社UBV Fund-I 投資事業有限責任組合、他2社)、海外子会社9社(Uzabase Asia Pacific Pte. Ltd.、Uzabase Hong Kong Limited、他7社)および関連会社1社(株式会社ミーミル)で構成される。
SPEEDAの事業内容・ビジネスモデル
「SPEEDA」は、企業・業界分析を行うすべてのビジネスパーソンのための法人向けオンライン情報プラットフォームである。金融機関・コンサルティングファーム・会計ファームのほか、事業会社を顧客とし、2019年12月末時点で世界15カ国に顧客が所在している。
世界200カ国以上をカバーした企業の財務、株価データ、560を超える業界の地域別の分析レポートのほか、統計データ、経済ニュース、M&A情報など、幅広いビジネス情報にワンストップでアクセスすることができる。
ユーザベースの自社アナリストによる独自コンテンツ「SPEEDAトレンド」では、テクノロジーの最新動向やビジネスモデルの変革など、最先端の情報がレポートなどで閲覧できる。
なお「SPEEDA」では、子会社が運営する、国内におけるスタートアップ企業のデータベース「INITIAL」やB2Bビジネスのマーケティングを支援するプラットフォーム「FORCAS」とのクロスセルも行っている。
サービスの特徴
世界の企業・業界情報の統合プラットフォーム:
世界200ヶ国以上、740万社以上の上場・未上場企業データの他、180万件以上のグローバルM&Aデータ、グローバル統計データなどの経済情報にワンストップでアクセスできる。また、SPEEDA専属アナリストによる560を超える業界の地域別分析レポートにより、業界の概要から市場、競争環境を短時間で把握することができる。
直観的なインターフェースによる操作性:
説明書が必要ない直観的な操作性により、必要とする世界中の企業・産業データを簡単に探すことができる。また、データはそのまま「SPEEDA」上で編集、加工できる他、ワンクリックでExcel、PowerPointやPDF等の必要な形式にダウンロードすることができる。
アナリストによる分析・リサーチ支援:
専門のコンサルタントや業界のアナリストに、より付加価値の高い分析、リサーチ業務を依頼することができる。テクノロジーと専門家の力を組み合わせることで、顧客のナレッジワークを幅広く支援する。
契約形態・ビジネスモデル
「SPEEDA」の契約単位はIDである、「SPEEDA」の主な収益源は、利用者から受領する「SPEEDA」の契約ID数に応じた月額定額利用料金である。この他、オプション機能の契約によって追加で発生する月額のオプション利用料金、他社の提供する企業のクレジットレポート(企業の信用情報に関するレポート)・業界レポートの購入に応じて課金されるレポート料金も「SPEEDA」の収入源となっている。
主な掲載情報・機能
業界情報:
各業界のオリジナル業界レポートを閲覧することができる。560を超える業界のオリジナル業界レポートが格納されており、地域は、日本のみならず、中国、マレーシア、インドネシア、タイ、シンガポールなどアジア諸国を中心に世界各国をカバーしている。オリジナル業界レポートは、SPEEDAグループに在籍するアナリストによって執筆され、「SPEEDA」のみで提供されるオリジナルコンテンツ。業界レポートは、各業界の特徴などの定性情報、市場の伸びなどの定量情報、業界プレイヤー等について短時間で把握可能な内容になっている。また、当該オリジナル業界レポートに加え、当社提携先の作成する業界レポートを無料又は有料で取得することができる。
企業情報:
世界約200ヶ国以上の企業に関するデータを閲覧することができる。上場企業については、世界中の上場企業の内、99%以上の情報を格納しており、企業概要、財務データ、セグメント情報、役員情報、株主情報、株価データ、開示資料等が格納されている。また、未上場企業については、国内企業約140万社の会社概要、主要財務データ(一部レンジ表記)等を格納、海外企業は、アジアを中心に約730万社以上の企業概要、主要財務データ、役員情報、株主情報等を格納している。なお、「SPEEDA」に格納されている各種データは、SPEEDAグループ独自で作成したものに加え、外部のデータサプライヤーから有償提供されたものが含まれている。
M&A情報:
2000年以降の、世界のM&Aデータ180万件以上を格納している。M&Aデータには案件概要、案件の金額規模、当該案件にかかるアドバイザー、資金供給者等が含まれる。
ニュース情報:
日本語160媒体以上、英語2,100媒体以上のニュース情報を提供している。キーワードや企業を設定し、該当するニュースをメール通知する機能もある。
分析・検索機能:
企業の財務比較分析、株価分析、ヒストリカルマルチプル分析といった比較・時系列分析、有価証券報告書、その他の開示資料の全文検索、ニュース検索、レポート検索、企業のIRデータ、各国の統計情報の検索などが可能。
ファイル出力機能:
ワンクリックで業界データや企業情報をWord・Excel・PowerPoint・PDF形式等でダウンロードできる他、簡単な操作により、企業概要、財務諸表、業績推移のグラフ等の資料冊子を30秒程度で自動生成することができる。
その他オプション機能:
上記の標準データ・標準機能に加え、オプション申込みによって利用できるデータ・機能がある。主なオプション契約には、Excelに「SPEEDA」のデータを直接ダウンロードすることのできる「ExcelPlug-in」機能がある。
サポートデスク:
「SPEEDA」のサービス利用者は、当社のコンサルタントやアナリストによるサポートデスクを原則として契約料金の範囲内で利用することができる。当該サポートデスクは、利用方法の案内を行うのみならず、利用者からの依頼により、データ作成、リサーチ業務のサポートも行っている。
NewsPicksの事業内容・ビジネスモデル
「NewsPicks」はソーシャル機能も兼ね備えた経済ニュースメディアである。100以上の国内外のメディアが配信する経済ニュースをワンストップで読むことができる。また、「NewsPicks」独自の編集部が取材・編集したオリジナルコンテンツを提供している。「NewsPicks」は、ニュースを配信するプラットフォームおよびオリジナルコンテンツを提供するメディアとしての性格に加えて、ユーザー同士やユーザーと企業とのコミュニケーションの場を提供するコミュニティとしての性格も備えており、ソーシャル経済メディアとして独自のポジショニングを確立している。
サービスの特徴
スマートフォンに特化した経済ニュースのワンストッププラットフォーム:
100以上の国内外のメディア、専門メディアの配信ニュースを「NewsPicks」上においてワンストップで読むことができる。
ビジネスパーソンをつなぐソーシャル経済メディア:
「NewsPicks」を通じて、ユーザー同士のコミュニティが形成されている。ユーザーはニュースにコメントを投稿することができ(コメントを投稿するユーザーは「ピッカー」と呼ばれます)、気になるピッカーをフォローすることで、独自のタイムラインを作成することができる。また、NewsPicksアカデミアにおける各界著名人による講義イベントや、ピッカー同士のイベントなど、リアルな場でユーザー同士が交流できるイベントも開催されている。
編集部によるオリジナルコンテンツの提供:
独自の編集部が取材・編集し、社会性の高いテーマやビジネスに示唆を与えるストーリーを深堀し、オリジナルコンテンツを作成、提供している。
主な機能
「Pick(ピック)」・コメント機能:
ユーザーは、「NewsPicks」上のニュースを「Pick」することができる。「Pick」したニュースは、ユーザーごとに蓄積され、ユーザーは過去に「Pick」したニュースを「NewsPicks」上でいつでも見ることができる。また、ユーザーは「Pick」したニュースにコメントを投稿することができ、投稿されたコメントは「NewsPicks」上に公開される。ユーザーは、「NewsPicks」上のニュースについて、ニュースの内容のみならず、当該ニュースに寄せられた専門家、著名人等のコメントを合わせて読むことでより多角的にニュースを読み解いたり、アイデア発想に役立てたりすることができる。
ユーザーのフォロー機能:
ユーザーは、「NewsPicks」を利用する他のユーザーをフォローすることができる。「NewsPicks」内の「タイムライン」というページには、自分がフォローした他のユーザーが「Pick」したニュースが配信される。これにより、タイムラインは、ユーザーのフォローする専門家、著名人、友人・知人等の「Pick」するニュースで構成されることとなり、ユーザーは好みのニュースを自分に配信させることが可能となる。
記事投稿機能:
ユーザーは、「NewsPicks」に自らニュース記事を投稿することができる。インターネット上に公開されているニュースのURLを「NewsPicks」上の投稿ページに入力することにより、「NewsPicks」上で他のユーザーにニュースを共有することができる。
検索機能:
ユーザーは、「NewsPicks」内のニュース記事、ユーザーコメント、ユーザー名を検索することができます。これにより、過去のニュース検索や、コメントからのキーワード検索、他のユーザーの検索をすることが可能となっています。また、Web版では、「SPEEDA」との連携により、「SPEEDA」に格納されている財務データや統計情報などの経済データもワンストップで検索することができる。
課金形態・ビジネスモデル
なお、「NewsPicks」の収入源は、有料課金ユーザーから受領する月額利用料、「NewsPicks」上に掲載する広告に関して広告主から得る広告収入、「NewsPicks」上に掲載する採用情報に関して募集企業から得る採用記事に関する報酬、「NewsPicks」を活用した組織活性化・人材育成といった課題解決ソリューションの提供(NewsPicks for Business)によりクライアントから得る報酬などである。
有料課金ユーザー向けサービス:
有料課金ユーザー向けサービスは、プレミアム会員向け及びアカデミア会員向けがある。プレミアム会員は「NewsPicks」オリジナル記事や海外の有料媒体の記事等が閲覧でき、アカデミア会員はプレミアム会員のサービス内容に加え、各界著名人による特別講義の受講、「NewsPicks」選定のアカデミア書籍(毎月1冊)の提供、オンラインでの動画講義(MOOC)等を受けることができる。なお、プレミアム会員は月額1,500円(年割プランは月額1,250円、学割プランは月額500円)、アカデミア会員は月額5,000円。※2019年11月以降、AppleStore/GooglePlay経由でプレミアムプランを新規にお申込みされた方は、月額1,600円となる。
法人向けブランド広告サービス:
「ブランドアカウント」は、広告主が、「NewsPicks」内に企業の公式アカウントを開設することができ、ユーザーが当該アカウントをフォローすれば、広告主は当該ユーザーに、Web上で発信する自社コンテンツを配信することができるサービス。
「ブランドストーリー」では、広告主と当社が共同で企画制作した記事、又は広告主の依頼に従い当社が企画制作した記事を、「NewsPicks」において配信するサービス。
「ブランドカテゴリー」は、「NewsPicks」内の「テクノロジー」、「ビジネス」、「政治・経済」といったニュースカテゴリーと並列に、広告主のブランド向上、イメージ浸透などの目的に沿ったカテゴリーを新たに設け、当該カテゴリー自体を広告主が協賛するサービス。 カテゴリー名称の横又は下に、広告主の名称が併記される。
「ブランドパネル」は、「NewsPicks」内のニュースの表示枠を用いて、広告主の広告を表示するサービス。
リクルーティング広告サービス:
「NewsPicks」を利用するユーザーに対して、広告主である企業が採用活動を行うことが可能となるサービス。具体的には、企業が「NewsPicks」上に採用したい職種に関連する記事や採用情報を掲載し、記事又は採用情報を閲覧したユーザーが、興味を持った採用情報に対して年収等の詳細情報を登録することで、企業からスカウトメールを受け取ることができる仕組みを提供している。
法人向けソリューションサービス:
人材育成・組織風土活性化・新規事業開発に課題を持つ企業に対して、「NewsPicks」を活用した企業向けソリューション(NewsPicksforBusiness)を提供している。具体的には、社内コミュニケーションの活性化やインナーブランディング等を容易にする社内メディアの提供、現在日本経済で注目されているトピックスやテーマについて、従業員の意識レベル・知識レベルの向上を図るクローズドな研修プログラムの提供、また、社内起業家の育成と事業創出をサポートするサービスを提供している。
Quartzの事業内容・ビジネスモデル
「Quartz」は、グローバル市場向けの経済ニュースメディア。世界4大陸に約100人のジャーナリストを抱えるグローバルな取材ネットワークを持ち、自社のジャーナリスト・編集部門が取材・編集したコンテンツを提供している。
北米を中心に、約2,000万人の読者基盤を持ち、2019年11月より日本市場においても購読コンテンツを配信している。。モバイルテクノロジーとジャーナリズムを組みあわせたメディアとして、iPhoneやAndroidに対応しているアプリ版と、PCからご利用いただけるWeb版を展開している。
サービスの特徴
ビジネスリーダーを中心とした読者層:
約2,000万人の読者のうち、グローバルビジネスリーダーが主要な読者となっている。市場分析を行うコムスコア社が提供するComscore Indexによると、「Quartz」はC-suiteと呼ばれる若手ビジネスリーダーに最も支持されているメディアとしての評価を獲得しており、経済ニュースに関心の高いビジネスリーダーを購読者として有している。
経験豊かなジャーナリストによる独自取材コンテンツ:
ニューヨーク、ロンドン、香港、ニューデリーなど世界各地に拠点があり、30言語に対応した取材ネットワークを有している。ブルームバークやエコノミスト、ワシントンポストなど、世界的な経済メディア出身の経済ジャーナリストが多数在籍しており、徹底した取材に基づいた、独自のコンテンツを提供する。
優れたクリエイティブによるブランドコンテンツ:
「Quartz」は企業・製品・サービスのブランド醸成を目的とした優れたクリエイティブ・ブランドコンテンツを強みとしている。様々な業界の大手企業を顧客に抱え、広告主と当社が共同で企画作成した記事、または広告主の依頼に従い当社が企画制作したブランドコンテンツを「Quartz」において配信するサービスを提供している。
ビジネスモデル
「Quartz」の主な収益源は有料課金ユーザーから受領する月額利用料、「Quartz」上に掲載する広告に関して広告主から得る広告収入である。
INITIAL、FORCAS、その他の事業内容・ビジネスモデル
その他事業には、「INITIAL」と「FORCAS」の2つのサービスが含まれる。
INITIAL
「INITIAL」は、国内のスタートアップ企業に関する資金調達情報、関連ニュース、類似企業の検索などができるオンライン情報サービスである。「SPEEDA」と同じく、金融機関・コンサルティングファーム・会計ファームのほか、事業会社を顧客とする法人向けサービスである。
国内15,000社以上のスタートアップ企業に関する様々な公開情報を情報源にしており、各種ニュースのほか、スタートアップ企業やベンチャーキャピタルなどの公式ウェブサイト・プレスリリース、登記簿、官報などのから、ユーザベースグループにおいてデータの収集・蓄積を行っている。月額の定額利用料でサービスを提供している。
業種や技術、シリーズ情報など、スタートアップを検索・分析するためのさまざまな情報を付与している。「INITIAL」に蓄積された豊富な資金調達データをもとに、スタートアップ企業の成長フェーズを『INITIALシリーズ』として「INITIAL」独自で定義している。また、独自スコアリングにより、類似するスタートアップを自動リストアップし、比較が可能。
さらに、「INITIAL」では独自取材・データを活用した資金調達・IPO分析記事やレポートや、起業家・投資家へのインタビュー記事をオリジナルコンテンツとして作成しており、データだけにとどまらない、スタートアップのリアルな情報を提供している。
FORCAS
「FORCAS」は、B2B領域でサービス展開する企業のAccount Based Marketing(ABM)の実行を支援するマーケティングプラットフォームである。ユーザーが保有する顧客データとユーザベースグループが「SPEEDA」事業において蓄積してきた企業属性情報(所属業界、従業員規模などの企業の定性・定量的特徴)を組み合わせ、既存顧客の特徴を自動的に分析する。そして、ユーザーにとって営業成約確度の高い潜在顧客を具体的にリストアップし、データ分析ドリブンなマーケティング戦略策定を支援する。月額の定額利用料でサービスを提供している。
ユーザーが保有する既存顧客のデータを「FORCAS」に取り込むことで、業界、シナリオ、地域、売上、従業員数などを自動的に分析し、成約確度が高いと予測される見込み顧客を特定して、当社が保有する143万社以上の企業データの中から、独自のスコアを付与したターゲットリストを自動作成する。作成したリストは、Excel形式データでダウンロードが可能。
また、「FORCAS」では企業の業種、活動状況や課題、導入している外部サービスなど多様な切り口から、企業リストを作成することもできる。外部サービスは、各企業のWebサイトに設置されているウェブサービスタグの情報を収集することにより、マーケティングオートメーション、eコマース系ツール、ウェブ広告など、1,100種類以上の利用サービスデータを取得している。さまざまな仮説を立てて、ターゲット企業を特定することができる。
顧客管理システムや営業ターゲットリスト、請求情報、名刺データなど、社内に点在する顧客情報と「FORCAS」が持つ豊富な企業情報、そして強力な名寄せエンジンによって、精度の高い顧客データ統合を実現し、顧客データの名寄せ業務の負担を大きく軽減する。
経営方針
ユーザベースグループは、「経済情報で、世界を変える」をミッションに掲げ、世界中の経済情報を人とテクノロジーの力で整理・分析・創出することで、人々の生産性を高め、創造性を開放し、世界中の意思決定を支えるプラットフォームを作りあげることを目指している。
中長期的な経営戦略
ユーザベースグループは、ミッションの実現のため、B2B・B2Cのあらゆるシーンでビジネスパーソンの意思決定を支えるサービスを開発・提供している。
サブスクリプション売上の最大化を経営の最重要方針として掲げ、事業を超えるシナジーを創出させるべく「SPEEDA」「FORCAS」「INITIAL」といった国内のB2B SaaSサービスを一気通貫で統括する経営体制を取っている。
この経営体制により、サービスごとの連携を強化し、機能とコンテンツの拡充により顧客単価の向上や新たなサービス開発を目指している。また、組織感連携も強化することで、営業やカスタマーサクセス、開発体制の効率化と強化を実施し、「SPEEDA」事業と「その他」事業のさらなる拡大を目指す。
「NewsPicks」事業においては、動画事業や法人向けサービスを通じて無料・有料会員数の増加を目指し、国内の事業基盤を固め、経済メディアの枠を超えて、企業がリクルーティングやブランドプラットフォームとしても活用できる経済インフラとしての役割を拡大させていく方針だ。
米国を中心に展開する「Quartz」事業においても、広告事業で収益をあげながら、有料課金事業へ積極的な先行投資を実行することで、有料課金事業を第二の収益の柱へと成長させることを目指している。
また「SPEEDA」事業、「その他」事業、「NewsPicks」事業、「Quartz」事業の各々の自前でのさらなる成長施策に加え、新規事業の立ち上げや、資本・業務提携などを通じて、経済情報のプラットフォームを提供する企業として、企業価値のさらなる拡大を図っていくとしている。
対処すべき課題
Quartz事業における有料課金事業の拡大
2018年11月より開始した有料課金事業は堅調に立ち上がっているが、米国ビジネスを成長させる上では有料課金事業のさらなる拡大が重要であるとし、2019年10月に経営体制を変更した。
経営体制の刷新後、webサイトとアプリをリニューアルし、UI/UXを統一することでユーザーの操作性を高めてきた。また、英国や日本などでもローカル版サービスをリリース。2020年1月には日米両国で新編集長を採用し、有料課金事業拡大のための体制強化を図っている。
国内事業の収益基盤の強化及び加速
ユーザベースグループは、中長期的な成長を実現させるため、国内既存事業のより一層の強化を必要であるとし、中でも重要になるものとして、「SPEEDA事業の契約ID数の増加」と「NewsPicks事業における有料会員数の増加による、サブスクリプション売上の拡大」をあげている。
そのため、効果的なプロモーション活動を通じて認知度を上げるとともに、継続的な機能・利便性・ユーザーインターフェースの向上・改善、コンテンツの一層の魅力の向上、動画コンテンツの強化、法人向けサービスの強化を行っていく方針だ。
事業を超えたシナジーの創出
ユーザベースグループは、2018年5月よりバーチャルホールディングス(仮想持株会社)化することで、SPEEDA・NewsPicks・INITIAL(旧 entrepedia)・FORCAS・UB Venturesなど、事業単位で迅速に意思決定ができる体制を実現し、「自走できる組織」であることを1つの強みとして成長してきた。
2020年12月期より「SPEEDA」「FORCAS」「INITIAL」といった国内のB2B SaaS事業を一気通貫で統括する経営体制へと変更したことで、サービスごとの連携を今まで以上に強化師、機能とコンテンツの拡充によるSaaS事業としての顧客単価の向上や、新たなサービス開発を目指していくとしている。また、組織間連携も強化することで、営業やカスタマーサクセス、開発体制の効率化と強化を実施し、さらなる事業の拡大を目指す方針を示している。
優秀な人材の確保
「経済情報で、世界を変える」という当社グループのミッションをグローバルで実現するためには、優秀な人材の確保が必要不可欠とし、ユーザベースグループにおいては、「7つのルール」というコアバリューを掲げており、当該ミッションとバリューに共感する優秀な人材の確保に努めている。また、国内のみならず海外においても人材採用は重要な経営課題であり、今後グローバル展開を加速させるためにも、引き続き、人材の採用に注力している。
情報管理体制の強化
ユーザベースグループが運営する事業においては、顧客情報、個人情報を多く取り扱っており、これらの情報管理体制の一層の強化が重要となっている。個人情報保護方針及びインサイダー取引の未然防止を含む社内規程の整備並びに規程の運用の徹底、社内研修の実施を通じて、これらの情報については厳正に管理しているが、引き続き関連社内システムの一層のセキュリティ強化、社内研修の更なる整備等を図り、情報管理のための体制を強化している。
システムの安定的な稼働
ユーザベースグループの運営するサービスはインターネットを利用したサービスであり、システムの安定的な稼働が不可欠。かかる課題に対処するため、利用者の増加、取扱いデータ容量拡大に対応するためのシステム投資、メンテナンス投資及び運用監視体制強化を引き続き計画的に行っている。また、データのバックアップ体制強化のためのシステム投資についても計画的に行っている。
迅速な意思決定を行うための組織体制の強化
組織が拡大しても、引き続き高い成長力を維持していくためには、効率的かつ迅速に経営意思決定を行う必要がある。具体的には、経営上の重要な意思決定を迅速に行うために必要な、主要なKPI(KeyPerformanceIndicator:重要業績評価指標)や財務数値を社内においてタイムリーに把握できる体制・仕組みを構築している。また、内部牽制体制とのバランスを図りながら、意思決定を迅速に行うため役職員への適切な権限付与を整備することを重要視している。
内部管理体制の強化
継続的にユーザベースグループが成長を遂げていくためには、経営上のリスクを適切に把握し、当該リスクを適切にコントロールするための体制強化や、未然の不正防止や業務の適正性を確保するための内部統制システムの強化が重要な課題だ。具体的には、代表取締役及び監査等委員会直属の内部監査部門が、内部監査規程に基づき内部監査を実施している。内部監査の結果は、被監査部門にフィードバックされるとともに、代表取締役及び監査等委員会に報告される。
ユーザベースグループは、コーポレート・ガバナンスの一層の充実という観点から、2019年3月28日開催の第11回定時株主総会の決議に基づき、監査等委員会設置会社に移行した。監査等委員会は社外取締役3名で構成されている。各監査等委員取締役が取締役会等に積極的に参加し、高い専門的見地から取締役の意思決定・業務執行について適宜意見を述べることにより、取締役会への監査・監督機能の一層の強化を図っている。監査等委員取締役、内部監査部門及び会計監査人による会合を定期的に開催することにより、監査・監督機能がより有効・適切に機能するよう努めている。