コンビニエンスストア大手3社の2023年2月期1Q(2022年3〜5月)決算が出そろった。四半期純利益の合計は前年同期比32%増の約815億円となり、1Qとして過去最高を記録した。
セブン&アイ・ホールディングスの米コンビニ買収による底上げ効果が大きいものの、ローソンもチケット販売や金融事業が堅調で利益を伸ばしている。ファミリーマートは減益となったが、既存店売上高の伸び率は最も高かった。
業績と重要なKPI(評価指標)から、各社の運営状況を比較する。
3社が14日までに、3〜5月期の連結決算を公表した。ファミマは伊藤忠商事によるM&Aで2020年11月に上場廃止となり、以後は自社サイトで業績概況を公表している。
純利益の成長はセブン&アイが最も大きく、51%増の650億円と1Qとして過去最高。2021年5月に米コンビニ「Speedway」を210億ドル(当時約2兆2000億円)で買収し、利益総額を押し上げた。
海外コンビニの事業利益は262%増の439億円となり、2%減の592億円だった国内コンビニに迫りつつある。スーパー(営業利益ベースで40%減)や金融(同12%減)など、その他の事業は軒並み減益だった。
ただ今期から会計処理の異なる「収益認識に関する会計基準」を適用しており、「国内コンビニ、百貨店・専門店事業の従来基準の営業利益はそれぞれ増加している」(セブン&アイの丸山好道取締役)。
ローソンも売上高が41%増の2377億円となり、前年同期(9%増)と比較して大幅に伸びた。増収効果で純利益も42%増の80億2900万円に拡大した。
特にチケット販売などエンタテインメントの事業利益が231%増、ATMの金融が101%増となり、全体の増益を下支えした。国内コンビニも23%増えた。
ゴールデンウィーク(GW)の行動制限が3年ぶりに解除されるなど、スポーツ観戦やライブイベントの参加機会が広がった恩恵を受けた。「人流回復とともに増える需要を取り込むべく、案件獲得に注力した」(ローソン)といい、チケット取扱高は12%増の808億円となった。
ファミマは売上高が12%減の1109億円、純利益が37%減の84億8100万円で減収減益。台湾事業の株式を2020年7月に一部譲渡し、全体を押し下げた。
また水道・光熱費の高騰を受けて、フランチャイズチェーン(FC)加盟店への支援金を増やした。販促費も前倒し、事業利益ベースで23億円の減益要因になったという。