事業内容
クラレは、多岐にわたる事業セグメントを持つグローバル企業です。主要な事業セグメントには、「ビニルアセテート」、「イソプレン」、「機能材料」、「繊維」、「トレーディング」、「その他」が含まれます。これらのセグメントを通じて、クラレは様々な製品とサービスを提供しています。
「ビニルアセテート」セグメントでは、ポバール(PVA)樹脂・フィルム、EVOH樹脂<エバール>・フィルムなどの製造・販売を行っています。北米、欧州、アジアの各地域で、関連会社を通じてこれらの製品が提供されています。
「イソプレン」セグメントでは、イソプレン系化学品・ファインケミカル、耐熱性ポリアミド樹脂<ジェネスタ>、熱可塑性エラストマー<セプトン>などの製造・販売を手掛けています。特に、クラレアメリカ社は<セプトン>等の製造・販売を行っています。
「機能材料」セグメントでは、メタクリル樹脂及び樹脂加工品、炭素材料、中空糸水処理膜などの製造・販売を展開しています。また、クラレノリタケデンタル㈱は歯科材料の製造・販売、Calgon Carbon Corporationは活性炭及び水処理機器の製造・販売を行っています。
「繊維」セグメントでは、ビニロン、人工皮革<クラリーノ>の製造・販売を行っており、アジア地域での販売も強化しています。クラレクラフレックス㈱は乾式不織布<クラフレックス>の製造・加工・販売を、クラレファスニング㈱は面ファスナー<マジックテープ>の製造・販売をそれぞれ担当しています。
「トレーディング」セグメントでは、クラレトレーディング㈱がポリエステル長繊維等のクラレグループ製品及び他社品の販売を行っています。
「その他」セグメントでは、液晶ポリマーフィルムの製造・販売、ゴム・樹脂加工品の製造・販売、各種プラントの設計・施工、生産付帯業務・物流サービスの受託など、多様な事業を展開しています。
これらのセグメントを通じて、クラレは世界各地で幅広い製品とサービスを提供し、多様な産業に貢献しています。
経営方針
クラレは、2026年度の創立100周年に向けて、長期ビジョン「Kuraray Vision 2026」を掲げています。このビジョンの下、同社は「独自の技術に新たな要素を取り込み、顧客、社会、地球に貢献し、持続的に成長するスペシャリティ化学企業」を目指しています。2022年度から始まった5年間の中期経営計画「PASSION 2026」では、サステナビリティの機会としての捉え方、イノベーションのためのネットワーキング、そして人と組織のトランスフォーメーションという3つの挑戦を設定しています。
クラレは、サステナビリティを重要な経営戦略の一つと位置づけ、気候変動への対応を含むサステナビリティ中期計画を策定しています。具体的には、2030年までに自社での温室効果ガス(GHG)排出量を2019年度比30%削減し、2050年にはカーボンネットゼロを目指すという長期目標を掲げています。また、多様性とインクルージョンの推進にも力を入れており、2030年度までに女性、外国人、中途採用者の管理職に占める割合を25%に到達させることを目標としています。
これらの取り組みを通じて、クラレは事業ポートフォリオの高度化を図り、持続可能な成長を目指しています。2023年度は、イソプレン タイ拠点、水溶性ポバールフィルム ポーランド新工場、米国での活性炭製造設備などの立ち上げを確実に行い、成長事業への重点的な資源配分を進めています。同社は、創立100周年となる2026年度に向けて、スペシャリティ化学企業としての持続的な成長を追求し続ける方針です。