事業内容
沿革・会社概要
ゴールドマン・サックス・グループは米国ニューヨーク州に拠点を置く投資銀行および金融サービス・プロバイダー。1869年、ドイツ系ユダヤ人であるMarcus Goldman(マーカス・ゴールドマン)氏によって創業され、1882年にマーカスの義理の息子であったSamuel Sachs(サミュエル・サックス)氏が経営に参画した。1906年にはIPO業務の主要プレイヤーとなり、1956年にはフォードモーターのIPOに際して主要な引受業務を担った。2008年のサブプライム・ショックでは比較的損害の少なかった投資銀行とされる。2016年よりリテール事業の新たな取り組みとしてオンライン銀行『GS Bank』をローンチした。
事業内容
ゴールドマン・サックス・グループは世界を代表するグローバル金融グループ。企業、金融機関、政府機関、個人を含む充実した多様な顧客基盤に対して、投資銀行、証券、資産運用など幅広い金融サービスを提供している。30カ国以上にオフィスを構えており、従業員の46%がアメリカ大陸以外の地域に拠点を置いている。
ゴールドマン・サックスは「インベストメントバンキング」「グローバルマーケッツ」「アセットマネジメント」「コンシューマー&ウェルスマネジメント」の主要4部門体制で事業を展開している。
Investment Banking(インベストメントバンキング)部門
「インベストメントバンキング」部門は、ファイナンシャルアドバイザリー、株式・債券引受業務、法人向け融資業務から収益を得ている。
Global Markets(グローバルマーケッツ)部門
「Global Markets(グローバルマーケッツ)」部門は、債券、通貨・コモディティ、株式の仲介および融資活動から収益を得ている。
Asset Management(アセットマネジメント)部門
「Asset Management(アセットマネジメント)」部門は、管理手数料やその他の手数料、インセンティブフィー、株式投資、融資からの収益を得ている。
Consumer & Wealth Management(コンシューマー&ウェルスマネジメント)部門
「Consumer & Wealth Management(コンシューマー&ウェルスマネジメント)」部門は、ウェルスマネジメントとコンシューマーバンキングで構成されており、管理手数料やその他の手数料、インセンティブフィー、プライベートバンキングや融資、消費者向けサービスからの収益を生み出している。
インベストメントバンキング部門の事業内容・ビジネスモデル
「インベストメントバンキング」部門は、世界中の公的機関および民間企業に対してファイナンシャルアドバイザリーサービスを提供し、企業が事業を強化・成長させるための資金調達を支援し、法人顧客に資金を提供している。ゴールドマン・サックス・グループの目標は、機関投資家のお客様に当行のあらゆるリソースをシームレスに提供することであり、インベストメント・バンキングが最初の窓口となる。
Financial advisory(ファイナンシャルアドバイザリー)
「Financial advisory(ファイナンシャルアドバイザリー)」業務では、M&A、事業売却、買収防衛、事業再編、スピンオフ等の戦略的アドバイザリー業務を含むサービスを提供している。特に、大規模で複雑な取引の実行を支援しており、クロスボーダーのストラクチャリングを含む複数のサービスを提供している。また、クライアントの資産・負債エクスポージャーや資本の管理についても支援している。
Underwriting(引受)
「Underwriting(引受)」業務では、企業の資金調達活動を支援している。金融仲介業者として、投資家の資金と資金調達を必要とする公的機関および民間企業のニーズを一致させている。この引受業務には、国内取引やクロスボーダー取引、買収資金調達の公募や私募が含まれ、また幅広い種類の有価証券やローンなどの金融商品を引き受ける。
Corporate lending(法人向け融資)
「Corporate lending(法人向け融資)」業務では、法人顧客に対して、中堅企業向け融資、リレーションシップバンキング、買収資金調達などの融資を行っている。また、一部の法人顧客に対してトランザクションバンキングを提供している。
グローバルマーケッツ部門の事業内容・ビジネスモデル
「グローバルマーケッツ」部門は、金融商品の売買、資金の調達、リスク管理を行う顧客にサービスを提供している。債券、株式、通貨、コモディティ商品の市場を作り、世界中の主要な証券取引所、オプション取引所、先物取引所で市場を形成することで、顧客の取引を円滑にしている。
「グローバルマーケッツ」部門は、マーケットメーカーとして世界中の顧客に対しあらゆる資産クラスや市場における数千もの金融商品の価格を提供している。買い手や売り手が見つからない場合、直接顧客と取引をすることや、他の取引相手に顧客を紹介することがある。市場の流動性を提供し、価格発見において重要な役割を果たすことで、資本市場全体の効率化に貢献している。
「グローバルマーケッツ」部門は、「FICC(Fixed Income, Currencies and Commoditie)」と「Equities(エクイティ)」で構成され、「FICC」は仲介と融資活動によって、「エクイティ」は仲介と財務活動によって収益を生み出している。
また、グローバルな営業部門を通じて、注文の受理や、投資調査、トレーディングアイデア、市場情報、分析を顧客に配信している。顧客とは『Marquee』と呼ばれるプラットフォーム上においても接点をもち、市場情報やリスク分析、独自データ、複数の資産クラスにわたる取引執行を提供している。
マーケットメイキング
マーケットメイキング活動に関連して、(i)顧客の需要に対応して、あるいは顧客の需要を見越して、通常は短期間のマーケットメイキングポジションを保有し、(ii)これらのマーケットメイキング活動から生じるリスクエクスポージャーを積極的に管理するためのポジション(以下、総称して「棚卸資産」という)を保有している。「棚卸資産」を公正価値で計上し、評価の変動は純収益に反映している。顧客は、主に専門的な市場参加者である機関であり、その最終的な顧客には、個人投資家の老後のための投資、保険の購入、余剰現金の預金口座への積み立てなどが含まれている。
アセットマネジメント部門の事業内容・ビジネスモデル
「アセットマネジメント」部門は、顧客の金融資産の保全と成長を支援するための投資サービスを提供している。これらのサービスは、機関投資家や、他の販売会社を通じて世界中の投資家に提供している。
株式、債券、オルタナティブ投資など、幅広い投資戦略と資産クラスにわたって資産を管理している。オルタナティブ投資には、主にヘッジファンド、クレジットファンド、プライベートエクイティ、不動産、通貨、コモディティ、アセットアロケーション戦略が含まる。
また、顧客の投資ニーズに対応するためカスタマイズされた投資顧問サービスも提供している。これらのサービスは、顧客の目的を特定し、ポートフォリオの構築、継続的な資産配分、リスク管理、投資の実現までを一貫して行う。社内独自のサービスだけでなく、第三者の運用会社を活用したサービスも提供している。
アセットマネジメント部門の収益は「Management and Other Fees(管理手数料)」「Incentive Fees(インセンティブ、成果報酬)」「Equity Investments(エクイティ投資)」「Lending(融資、債権投資)」で構成されている。
コンシューマー&ウェルスマネジメント部門の事業内容・ビジネスモデル
「コンシューマー&ウェルスマネジメント」は、ファイナンシャルプランニング、投資管理、預金取立、融資を含む幅広いウェルスアドバイザリーおよびバンキングサービスを提供することで、顧客の財務目標の達成を支援する。
Wealth Management(ウェルスマネジメント)
「Wealth Management(ウェルスマネジメント)」業務では、世界中の個人、家族、ファミリー・オフィス、財団や基金に対し、ウェルスアドバイザリーサービスを提供している。所得と負債の管理、賃金と諸給付の分析、信託と財産の構造化、税金の最適化、慈善寄付、資産保護などを含むパーソナライズされたプランを提供している。また、カスタマイズされた投資顧問サービスを提供し、世界の主要な市場を網羅した証券およびデリバティブ商品のストラクチャリングと執行を行っている。
ゴールドマン・サックスは、幅広いオープン・アーキテクチャの投資プラットフォームとグローバルな執行能力を活用して、顧客の投資目標の達成を支援している。さらに、金融資産と非金融資産への投資資金の調達や、キャッシュフローのタイミングギャップの解消、流動性と柔軟性の提供などのニーズに対応するため、様々な預金代替手段やローンを提供している。
ウェルスマネジメント業務の収益は、「Management and Other Fees(管理手数料)」「Incentive Fees(インセンティブ、成果報酬)」「Private banking and lending(プライベートバンキングおよび融資)」で構成されている。
Consumer Banking(コンシューマーバンキング)
「Consumer Banking(コンシューマーバンキング)」は、消費者向け事業であり、商品やサービスの購入資金を調達するために、オンライン融資プラットフォームである『Marcus』やクレジットカードを通じて無担保ローンを発行している。また、主に 『GS Bank USA』 と『Goldman Sachs International Bank(GSIB)』を通じて、『Marcus』から預金を受け入れている。
「コンシューマーバンキング」の収益は、『Marcus』やクレジットカードの貸出業務を通じて消費者に貸付された無担保ローンから得られる利息収入と、消費者預金に配分された利息収入で構成されている。
ビジネスモデル別の売上構成
ゴールドマン・サックスの総収益は「Total non-interest revenues(非金利売上)」と「Net interest income(純利息収入)」によって構成されている。
純利息収入は、主に平均残高の増加の影響を反映したトレーディング資産および貸付金に関連する受取利息、および平均残高の減少の影響で一部相殺された金利上昇の影響を反映した担保付契約に関連する受取利息を含めた「Interest income(受取利息)」から、金利上昇の影響や平均残高の増加を反映して預金関連を中心とした支払利息や、金利上昇の影響を反映して担保付融資関連を中心とした支払利息といった「Interest expense(支払利息)」を差し引いた値として算出される。
各部門の事業活動を通じた非金利売上については、「Investment banking( 投資銀行業務)」「Investment management(資産運用収益)」「Commissions and fees(手数料)」「Market making(マーケットメイキング)」その他取引に付随する収益としてそれぞれ開示している。
Investment banking( 投資銀行業務)
「Investment banking( 投資銀行業務)」は、ファイナンシャル・アドバイザリー業務および引受業務からの収益(純利息を除く)で構成されている。これらの業務は「インベストメントバンキング」部門に含まれる。従来、投資銀行業務に計上されていた顧客アドバイザリー業務および引受業務に関連する「デリバティブ取引からの収益」は、「Market making(マーケットメイキング)」収益に計上されている(過去分については遡及修正済み)。
Investment management(資産運用収益)
「Investment management(資産運用収益)」は、主要な資産クラスを網羅した資産運用サービスを多様な資産運用顧客に提供することによる収益(純利息を除く)、および資産運用サービス、ウェルスアドバイザリーサービス、およびウェルスマネジメント顧客向けの特定の取引サー ビスを提供することによる収益(「コンシューマー&ウェルスマネジメント」部門に含まれる)から構成されている。
Commissions and fees(手数料)
「Commissions and fees(手数料)」は、世界の主要な株式、オプション、先物取引所での顧客取引の執行および清算、および店頭取引からの収入で構成されている。これらの活動は、「グローバルマーケッツ」部門および「コンシューマー&ウェルスマネジメント」部門に含まれる。
Market making(マーケットメイキング)
「Market making(マーケットメイキング)」は、金利商品、クレジット商品、住宅ローン、通貨、コモディティ、株式商品のマーケットメイキングに関連する顧客の執行活動からの収益(純利息を除く)で構成されている。これらの活動は、「グローバルマーケッツ」部門に含まれる。
Other principal transactions(その他取引収益)
「Other principal transactions(その他取引収益)」は、連結投資(「アセットマネジメント」部門に含まれる)に係る収益を含む株式投資活動からの収益(純利 益を除く)と、貸出活動(主要4部門のいずれにも含まれる)から構成されている。