事業内容
沿革・会社概要
オンキヨーホームエンターテインメント株式会社は大阪府東大阪市に本社を置く音響機器メーカー。1946年、松下電器産業出身の五代武氏によって大阪電気音響社の名称で創業された。1971年、傘下ブランドを商標の『オンキヨー(Onkyo)』に統一。2010年にオンキヨー株式会社は単独株式移転の方法により設立され、大阪証券取引所JASDAQ(現東京証券取引所JASDAQ)に上場。2020年10月1日より、商号をオンキヨー株式会社からオンキヨーホームエンターテイメント株式会社に変更している。デジタルオーディオ勃興期、ピュアオーディオ衰退期を生き延びた数少ない日本の音響メーカーの1社である。
事業内容
オンキヨーグループは子会社11社、関連会社5社により構成され、AV事業やデジタルライフ事業のほか、OEM事業も展開している・
AV事業
オーディオ・ビジュアル関連製品を販売。事業主体はオンキヨー、オンキヨー&パイオニア株式会社、オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパン株式会社、ONKYO ASIA ELECTRONICS SDN.BHD.Pioneer&OnkyoMarketingAsiaLtd.(オンキヨーアジアエレクトロニクス)安橋(上海)商貿有限公司(アンティァォ)、S&O ELECTRONICS(MALAYSIA)SDN.BHD.(エスアンドオーエレクトロニクス)。
デジタルライフ事業
電話機、ヘッドホン関連製品、音楽配信等のコンテンツ、食事トレーニングアプリを提供。 主な事業主体は、オンキヨー、オンキヨー&パイオニア、オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパン、オンキヨースポーツ株式会社、Pioneer&Onkyo U.S.A.Corporation(パイオニアアンドオンキヨーユーエスエー)、Pioneer&Onkyo Marketing Asia Ltd.(パイオニアアンドオンキヨーアジア)
OEM事業
車載用スピーカー、家電用スピーカー、スピーカー部品、アンプ等オーディオ製品、オーディオ・パソコン製品等のカスタマーサポート及び修理を提供。主な事業主体は、オンキヨー、ONKYO ASIA ELECTRONICS SDN.BHD.、Pioneer&Onkyo Marketing Asia Ltd.、Pioneer&Onkyo Europe GmbH(パイオニアアンドオンキヨーヨーロッパ)、安橋(上海)商貿有限公司、上海安橋電子有限公司(シャンハイアンティァォデンシ)、広州安橋音響有限公司(コウシュウアンティァォオンキョウ)、Minda Onkyo India Private Limited(ミンダオンキヨーインディア)、FLEXI ACOUSTIC SDN.BHD.(フレキシアコウスティック)
その他
PC及びその他IT関連サービスを提供。ティアックオンキヨーソリューションズ(株)、Moneual Onkyo Lifestyle Inc.(モネユアルオンキヨー)
経営方針
オンキヨーは経営理念(ビジョン)として「VALUE CREATION」を掲げる。オンキヨーは創業以来、人類の共通語ともいえる音楽の理想的な再生装置の開発を目指してきた。長年のものづくりで培ってきた技術やノウハウに“新しい何かを加えるこ(+SomethingNEW)”で、新たな価値提案を行い、驚きと感動を提供していくことを目標とし、下記の「経営方針」の達成に向けて真剣な取り組みを続ける。
1つ目は、世界の市場で最高水準の品質と性能を維持し、心の琴線に触れる商品・サービスを提供し続けること。2つ目は環境との共生、調和をスローガンとし、広く社会から信頼される企業活動を行うこと。3つ目はグループ全体で経営効率の向上を図り、利益を創出することで、企業価値の向上に努めること。
経営環境
2020年3月期におけるグローバル経済は、米国や国内では雇用環境の改善や堅調な個人消費を背景に緩やかな回復基調が続いていた。しかし米中間の貿易摩擦の長期化による金融資本市場への影響や、中国や欧州の政治・経済の不確実性などに加え、年度末の新型コロナウイルス感染症が各国に広がるなど、世界経済に大きな減速要因も多くみられる。
このような事業環境の下、オンキヨーは、2018年10月に欧州子会社の事業譲渡、2019年3月には国内子会社2社の譲渡を行い、構造改革による経営の効率化を進めてきた。また、今後オンキヨーグループの経営成績を回復させ、再び成長路線へ事業活動を戻すため、これまでの方針を変更する。固定費の削減し、営業債務の支払い遅延が解消して、従来から強みのあったビジネスに注力できるようにする。利益を確保できる体制が整ったホームAV事業を中核事業化し、OEM事業、その他事業のさらなる成長を目的として、これらの事業を分社化する。そして資本調達やその株式の一部売却など将来的な資本提携等に向け、外部との協議・交渉を進める。
目標とする経営指標
キャッシュ・フローの最大化を目指して経営を進め、当面の目標として有利子負債から現金及び現金同等物を控除したネットデットをゼロとすることを目標とする。
中長期的な経営戦略
主力事業をとりまく外部環境及び市場は、ここ数年で激変しており、もはや独自技術に頼った自社生産・自社販売という従来の製造業の経営活動のみでは、変化と競争の激しい世界市場では生き残ることが困難。このような状況により、オンキヨーグループはホームAV事業を譲渡することを方針としてきた。これまで、複数の候補先と詳細な協議を行い、譲渡合意書を締結し、譲渡の対価をもって支払い遅延を大きく解消することを目指してきた。
しかし利益を確保できる体制が整ったホームAVを中核事業化し、その他事業のさらなる成長を目的として分社化し、資本調達や将来的な資本提携等に向け、外部との協議・交渉を進める方針に変更している。
ホームAV事業
ホームAV事業では、最大市場のアメリカにおいて、新しくVOXXグループを販売代理店とする合意ができた。これにより、早期の代金回収で安定的な商品供給を実現した。また、米国内の量販店、専門店と強固な関係をすでに築いているVOXXグループの販売網による将来の売上拡大が見込まれる。
さらに構造改革の実施により大幅に固定費の削減が実現したことにより、今後は、外部への譲渡を模索することを止め、オンキヨーの中核事業と位置づけ、経営成績回復の柱とするべく事業戦略を推進する。
加えて、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う、在宅エンターテイメントやテレワーク環境構築ニーズの増加に対応する。Withコロナ時代に向けた新しい価値提案を行うことにより、利益ある成長を目指す。
デジタルライフ事業
デジタルライフ事業では、ワイヤレスイヤホンに代表される高付加価値製品や、補聴器や集音器をラインナップする聴こえサポート商品、人気アニメやファッションとのコラボレーションモデル等の販売強化に取り組む。
加えてゲーミングをはじめとする新規分野へのビジネス展開や、ショールーム「ONKYO BASE」とのクロスマーケティングを駆使した幅広い顧客層に対してのブランド発信を進める。
OEM事業
OEM事業では、インド合弁会社を核としたグローバル販売拡大の体制を確立し、市場開拓・拡大を推進する。
車載スピーカーや『Sound by Onkyo』などのサブブランドを付したテレビ用スピーカーを成長軌道に乗せ、加振器と音声技術の優位性を活かしたAI/IoT化するクルマ・商業設備・生活用品・家電製品等へのソリューション開発に取り組む。それにより中長期的な事業の拡大を図る。
優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
グローバル経済はより複雑な市場構造へと変化し、国内市場も少子高齢化や生活ニーズの多様化等を背景に、一段と変化の激しさが増してきている。さらに新型コロナウイルス感染症の拡大により、厳しい経済状況が続くことが見込まれ、収束までの期間が長期化した場合、世界経済が更に下振れするリスクも懸念される。
環境が大きく変化する中、事業構造改革や経営資源の最適化によって、各事業セグメントにおける設計・生産・販売プロセスを常に適正な体制に刷新し続け、市場規模の変化に応じた体制を構築していくことが重要な課題。ホームAV事業に関わる国内従業員の人員削減及び役職ポスト数の見直しによる組織のスリム化、さらに開発機種削減による開発費の削減、拠点集約による固定費の削減を行ってきた。販売管理費の削減を目的とした合理化策を策定したことは、その重要課題に対する実践的な取り組み。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、在宅エンターテイメントやテレワーク環境構築ニーズが増加している。オンキヨーグループでは、在宅シアターやテレワークライフスタイルオーディオの提案を行う等、新しい生活様式に応じた提案を行っていくことが、継続して取り組むべき重要課題と認識している。さらに、AIやIoTの次世代の世界は、住宅、家電、クルマなど、その活用分野が広がっている。従来取り組んでこなかった分野に技術の強みを結び付け、また多様な企業とコラボレーションを進めてオンキヨーの技術も磨き、既成概念に捉われない新たな価値提案を進める。