事業内容
ispaceは、「Expand our planet. Expand our future.」をビジョンに掲げ、人類の生活圏を宇宙に広げることを目指す次世代の民間宇宙企業です。同社グループは、ispace EUROPE S.A.(ルクセンブルク)、ispace technologies U.S., inc.(米国)、株式会社ispace Japan(日本)を含む4社で構成されています。主な事業モデルとして、自社開発中のランダーとローバーを用いたペイロードサービス、データサービス、パートナーシップサービスを提供しています。
ペイロードサービスでは、顧客の荷物を月まで輸送するサービスを提供し、技術的なアドバイスや調整、月面到着後の実験やデータ通信等のサービスも含まれます。データサービスでは、将来的に顧客が自身のペイロードを用いてデータ収集を行い、その結果を地球へ送り返すサービスを提供予定です。パートナーシップサービスでは、同社グループの活動をコンテンツとして利用する権利や広告媒体上でのロゴマークの露出、データ利用権等を販売しています。
ispaceは、ランダーとローバーの開発において、段階的プロジェクト計画法に準拠したシステムエンジニアリング活動を行い、高い品質を保ちながら効率的な開発を目指しています。また、外部の専門プレーヤーとの協力も積極的に行っており、推進システムや着陸制御システムの開発において、エアバスから分離独立したAriane Group社や、ドレイパー研究所などの協力を得ています。
長期ビジョンとしては、「Moon Valley 2040」の実現を目指しており、月を人類が宇宙内で活動する上でのエネルギー補給基地として活用し、地球と月が一つのエコシステムとなるエネルギー経済圏を創出することを目標にしています。これには、月の水資源やその他の資源の商業的価値に着目し、低価格・高頻度な月面輸送プラットフォームの構築や、月面資源のデータマッピングなどが含まれます。
経営方針
ispaceは、「Expand our planet. Expand our future.」をビジョンに掲げ、地球と月を一つのエコシステムとすることで、月に新たな経済圏を創出することを目指しています。同社は、民間月面探査の先駆者として、持続的な成長と企業価値の最大化を追求しています。そのために、品質向上サイクルの実現、ミッションリスクへの備え、継続的なミッション資金の確保、政府宇宙機関及び民間企業の双方をターゲットとした顧客基盤の拡大、中長期的な売上拡大及び収益性の改善を経営戦略の柱としています。
品質向上サイクルの実現に向け、ispaceはローバー及びランダーの開発を進めており、民間企業ならではの柔軟な品質向上サイクルを回すことを目指しています。これには、COTS品の利用や、失敗に対する許容度を高く設定することで、開発コストの低減と実証機会の増加を図っています。
ミッションリスクへの備えとして、SpaceX社のファルコン9ロケットを利用した打上げ計画や、損害保険の締結を通じて、財務的リスクを軽減しています。
継続的なミッション資金の確保に関しては、シリーズAからCの増資、金融機関からの借入、東京証券取引所グロース市場への上場を通じた資金調達を実施しています。
顧客基盤の拡大においては、政府宇宙機関と民間企業の双方をターゲットに、ペイロードサービス、データサービス、パートナーシップサービスを提供しています。また、MOUやI-PSAの締結を通じて、将来的なペイロードサービスの受注につなげることを見込んでいます。
中長期的な売上拡大及び収益性の改善に向けては、ミッション4以降、年2回から3回のミッションを実施し、ペイロードサイズの増大とミッションの高頻度化を計画しています。これにより、ペイロードサービスからの売上を拡大し、コスト削減を実施することで収益性の向上を目指しています。