事業内容
沿革・企業概要
HyreCar(ハイレカー)は、米国カリフォルニア州に本社を置く、カーシェアリングサービスの企業。2014年11月設立。HyreCarのサービスでは、車の所有者が自分の車を使っていない時に貸出をしたり、車を持っていない人が車の所有者が車を使っていない間にレンタルをすることができる。
特徴的なのは、レンタルをする相手がUber Technologies Inc.や、Lyft, Inc. 等の運転手ということである。HyreCarは、レンタル時の取引手数料、損害保険料のほか、紹介料、延滞料等から収益を生み出している。
サービス・強み
HyreCarは、車のオーナーとドライバーがそれぞれ何故自社のサービスを選んでくれているかについて、自社のサービスを以下のように整理している。
1.車のオーナーがHyreCarを選ぶ理由
米国では、自家用車の使用時間は1日当たり5%にも満たないことが判明しており、カーシェアリングサービス自体に需要がある。その中でHyreCarを選ぶ理由は以下である。
1-1.不労所得の獲得:
オーナーはHyreCarに登録していることで、使わない自家用車を貸し出すことができるため、安定した副収入を不労所得として得ることが出来る。
1-2.充実した賠償責任保険:
HyreCarを利用する際は、自動的にオーナー・ドライバー双方が保険に入ることとなっている。このことから、オーナーとしては安心して車を預けることが可能となる。
1-3.ドライバーになるための厳しい水準:
HyreCarのドライバーになるためには、厳しいバックグラウンドチェック(採用時調査のことで、身元が安心できるかどうか確かめるもの)に合格する必要がある。また、ほとんどのドライバーが、審査が厳しいと言われるUberとLyftのバックグラウンドチェックにも合格している。
2.ドライバーがHyreCarを選ぶ理由
2-1.市場が魅力的であること:
運転手としての能力を磨くことで、更なる収入増が見込まれる。
2-2.従量課金制:
ドライバーは、実際に走った分だけマージンを支払うこととなっており、例えば走行量が少ない月にも高額な月額料を取られるといった心配をする必要がない。
2-3.利便性:
HyreCarは地図機能を内包しているため、近くにいる車のオーナーからすぐに車を受け取ることが出来る。ドライバーとして登録してから実際に運転を始めるまでの時間は平均して48時間となっている。
2-4.価格の透明性と信頼:
HyreCarの審査は適切に行われ、当初説明した料金以外がドライバーに請求されることはない。
2-5.カスタマーエクスペリエンス(顧客体験):
ゲーミフィケーション(ゲームのようなデザインにして、利用者のモチベーションを上げること)を適用することで、ドライバーの興味を惹きつけることができる。
ビジネスモデル・成長戦略
HyreCarは、カリフォルニア州ロサンゼルスにある本社を拠点として活動している。独自の技術プラットフォームにより、企業規模に比べて少ない従業員で業務を遂行することが可能となっている。組織としては、大きく管理部門・販売およびマーケティング部門・研究開発の3部門に分かれており。少ない従業員数ながら、米国の50州全てにサービスを提供している。
販売およびマーケティングは、将来の収益性と会社の成長にとって不可欠であるとHyreCarは述べている。HyreCarのサービスは、原則、車のオーナーとドライバー間で直接貸し借りが行われるという性質を持ってはいるものの、使い始めたばかりのユーザは使い勝手が良く分かっていない。そこで、HyreCarの販売・マーケティング部門がサポートをすることによって、ユーザーの定着率を高めている。事実、初期にサポートを受けたユーザーは、長くサービスを使用する傾向が出ている。
また、営業のチームメンバーを、ドライバーチームとオーナーチームに分けることで、よりユーザに特化したサービスを提供することが可能となった。ドライバーチームは合計16の販売代理店を持っており、メンバーがドライバーに対してテレアポを大量に行うことにより販売促進を行っている。
オーナーチームには、販売代理店を持っており、地域ごとにさらにチームに分かれている。オーナーチームは、車の所有者に対してテレアポを行い、車を使っていない時間に貸し出しをしないか提案している。
企業規模の拡大に伴って業務効率が向上しているため、更なる人員の追加は2020年時点では積極的に行わないというのがHyreCarの考えである。