
今回取り上げるのは、インターネット銀行大手の住信SBIネット銀行だ。
長く続いてきた超低金利時代を脱することになり、ここ数年における日本の株式市場では最も追い風を受けた銘柄の一つ。2023年の上場直後と比べ、株価は三倍以上に膨らんだ。
住信SBIネット銀行は、すでに住宅ローン残高でメガバンクなどに次ぐ存在だ。そして住宅ローンは、変動金利による金利高の恩恵をもっとも大きく受けるカテゴリの一つと目される。今回は、そんな同社について紹介する。
住信SBIネット銀行が銀行免許を取得し、営業をスタートしたのは2007年。商号から伺えるように、住友信託銀行とSBIホールディングスが当初は50%ずつ株式を握って始まった。
インターネット専業銀行としては、かなりの後発だ。楽天銀行の前身である「イーバンク銀行」は2001年に銀行免許を取得し、開業。同じくネット専業の「ソニー銀行」も2001年に開業している。
ちなみに日本初のネット専業銀行は、現在の「PayPay銀行」。2000年10月に「ジャパンネット銀行」の名前で誕生。現ヤフオク!のオフィシャルバンクとして提供されるなど、大手ポータルサイトとしての強みを活かした。
そんな中で登場した住信SBIネット銀行が、早期から強みとしてきたのが「SBIハイブリッド預金」だった。SBI証券の口座と連動させられるもので、有価証券の売却代金などが自動的に住信SBIネット銀行へ入金される。ネット証券が当たり前になっていく中で、きわめて有効な打ち手だったことは想像に難くない。
住信SBIネット銀行は2023年に東証スタンダード市場へ新規上場。2022年にも上場承認を受けたが、ロシアによるウクライナ侵攻が起こって株式市場が下落し、上場を中止していた。
もっとも、2023年初旬もシリコンバレー銀行の破綻など、金融機関の信用不安が広がった時期だった。
同社が展開する事業は、大きく三つに分類されている。