Netflix 4Q22決算:売上再加速に向けた「二つの打ち手」とは
Netflix, Inc.

Netflixが現地時間1月19日、2022年本決算を発表。売上成長率は前年比1.9%増と鈍化し、前四半期比では減少。有料会員数は2億3,075万人(同4%増)に拡大した。

ここ数年で、Netflixの事業フェーズは大きく変化した。かつて成長企業の一つだった同社は、今後は成熟した企業として収益成長が求められる。その一方で市場環境は厳しく、競合他社との熾烈な競争が続く。

2022年10〜12月の営業利益は7%となり、ここ数年でもっとも低い水準に落ち込んだ。ところが同社は、2023年にも営業利益率をさらに高める計画であるという。

今回の記事では、Netflixの決算会見を丁寧に見ていきながら、同社が取り組む打ち手と環境変化について解説する。

新たな共同CEO、グレッグ・ピーターズ

まず重要なのが経営体制の変更だ。創業経営者のリード・ヘイスティングスが会長職に退き、テッド・サランドスに続いてグレッグ・ピーターズが共同CEOの座に座る。

ピーターズは、同社のウォッチャーならお馴染みの経営メンバーの一人。2008年にストリーミング事業及びパートナーシップ周りの責任者として入社し、2017年からはプロダクト責任者(CPO)。2020年からはCOOを兼任した。

左からサランドス、ヘイスティングス、ピーターズ(Netflix)

Netflixが日本に上陸する際(2015年)には日本法人の社長も務めた。60歳前後のヘイスティングスやサランドスと比べ一回り若く、これから経営者としての活躍が長く期待される。

2020年にCCO(コンテンツ責任者)だったサランドスを共同CEOに昇進させ、Netflixはツートップ体制になった。それからの二年半も、ヘイスティングスは多くの権限委譲を進めてきたという

世間から疑いを向けられる中、オリジナルコンテンツへの大胆な投資を推進してきたのがサランドスだ。海外への製作拡大にも特筆すべき手腕を見せた。

そして、ビジネス面で実力を発揮してきたのがピーターズである。パートナーシップから広告事業の立ち上げ、パーソナライズの深化からHRの再構築に至るまで、その活動は多岐にわたる。現在は、Netflixが新たに注力するゲーム関連の取り組みにも取り組む。

ヘイスティングス自身は今後、サランドスとピーターズが率いる新経営陣の補佐役に徹する。個人的には慈善事業により多くの時間を割き、Netflixの株価が順調に行くかを(大株主として)注視すると明言した。

中南米で検証を進めた「ペイドシェアリング」

売上成長を再加速させるため、Netflixが取り組む打ち手は主に二つある。一つは「ペイドシェアリング」、もう一つが「広告付きプラン」だ。

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