世界最大のオフプライスチェーン「TJX」の事業戦略が面白い
今回ご紹介するのは、アパレル販売を主力とする米国の小売企業「TJX Companies」だ。「オフプライス」業態における世界最大手チェーンである。
事業モデルは一見シンプルだ。小売店やメーカーがさばききれない在庫を買い取り、消費者に安く販売する。コロナ禍ではアパレル企業の倒産や縮小が相次いだが、業界への逆風がプラスに転じた業態の一つだ。
昨年度は店舗休業の影響で減収となったが、それまで業績は堅調な拡大を続けてきた。通期売上高は321億ドルで、『ZARA』を展開するInditex(204億ユーロ≒240億ドル)やファーストリテイリング(2兆88億円≒180億ドル)を大幅に上回る。
『タケオキクチ』を展開するアパレル大手ワールドや『ドン・キホーテ』のパン・パシフィック・インターナショナルHDなど、日本でもオフプライス事業に進出する企業が増えてきた。今回の記事では、この業態の代表格「TJX」の戦略について整理していきたい。
そもそも「オフプライス」とはどのような業態を意味するのだろうか。日本でよく耳にする「アウトレット」業態とは異なる概念だ。