コロナ感染拡大に伴うワークスタイルの変化で大きな恩恵を受けているのがスイスの「Logitech(ロジテック)」だ。
ロジテックはPC周辺機器やゲーミング・デバイス等を販売するグローバルブランドで、日本では「ロジクール」の名称で知られる。
一時は低迷していたロジテックだが、2015年以降は株価がうなぎのぼりとなり、今年に入ってさらなる上昇を遂げた。3月の下落時からの4か月だけでの2倍以上となっている。
足元で追い風になっているのがリモートワークによる需要増だ。今回はロジテックの創業から低迷期、そして復活に至るまでを特集する。
ロジテックの創業者はスタンフォード大出身のダニエル・ボレル氏ら3名だ。コンピュータサイエンス専攻でザッパコスタ氏と出会い、当初はワープロを開発していた。
1981年にエンジニアのマリーニ氏が加わってリコーの印刷ソフト開発を受注、スイスでロジテックを創業した。翌年にはリコーの研究拠点があるシリコバレーにもオフィスを設立した。
新たな事業アイディアを検討していたロジテックは、地元スイスの大学でのPCマウスの研究から着想し、自社製マウスの開発を始める。
1982年には初のハードウェア製品「P4」を展示会(Comdex)でお披露目し、Apollo Computerに500台を出荷した。1984年にはHPとの年間2万5,000台に及ぶOEM契約を獲得するなど、大きな飛躍を遂げている。
1985年には「Logitech C7」を投入して個人向け製品としても知名度が高まった。Appleマッキントッシュとも契約し、大きく市場シェアを伸ばしている。
その後もロジテックはトラックボールや無線式、光学式など革新的な製品を次々と開発し、マウス最大手の地位を確立した。
1988年にスイス証券取引所へ、1997年にはNASDAQへ上場を果たす。その後はM&Aを活用しながらWebカメラやオーディオ分野にも参入した。事業を多角化しながら、マウス以外でも市場シェア拡大を目指した。
ロジテックは世界トップのPC周辺機器メーカーとして業界を牽引し、2008年にはマウスの累計生産数が10億台を突破した。