中国のオンライン旅行会社、Ctripの2017年3Q決算が発表されました。
ハイライト
・四半期売上高は79億元(1359億円、YoY+42%)
・粗利益率は83%(前年同期は78%、前四半期は82%)
・営業利益率は17%(前年同期は8%)
CEOのJane Sun氏のコメント
「プロダクトやサービス、テクノロジーに対して行ってきた投資により、私たちの顧客やサプライチェーンの協業者たちの比類なきバリュー・プロポジションは強められている。顧客中心主義がコアバリューであり、私たちは勤勉にそれを維持し続ける。(The investments we've made in products, services and technologies cement an unrivaled value proposition for our customers and supply chain partners. Customer-centricity is a core value and we will continue to diligently uphold it.)」
エグゼクティブ・チェアマンのJames Liang氏
「Ctripの基礎は旅行のイノベーションと、一貫した体験、最高級のサービスを24時間提供すること(Ctrip's foundation is based on travel innovation, one-stop experience and best in class 24/7 service)」
「この数年かけての我々の成長は、素晴らしいものであるが、まだ旅行分野全体の事業機会の表層に触れているだけにすぎない。私たちの成功に満ちたトラックレコードと、高い探究心や革新性を維持する能力により、競争における”堀”はさらに確固たるものになるだろう(The growth we've delivered through the years has been tremendous yet we're still only touching the tip of the whole travel opportunity. Our successful track record and our ability to stay inquisitive and innovative will further solidify our competitive moat.)」
CtripはOTA(オンライン旅行代理店)事業を主に展開していますが、営業利益率が8%から17%へと大きく改善しています。内訳はどのようになっているのでしょうか?
収益の内訳やコスト構造などをみていきます。
直近3ヶ月間の売上79億円(1359億円)のうち、34億元(585億円)が交通チケット(Transportation ticketing)、28億元(482億円)が宿泊所予約(Accommodation reservation)、10億元(177億円)がパッケージツアー(Packaged-tour)となっています。
比率でも見てみます。
売上比率で見ると、交通チケットが43%、宿泊所予約が35%、パッケージツアーが13%となっています。
Ctripの利益率の推移を見ます。
粗利率(Gross profit)は77.8%から83.5%、営業利益(Income from operations)は8%から17.2%へと大きく向上しています。
次に、営業コストについてみてみます。Ctripは営業利益率が前年同期比から2倍以上に増大しています。費用の内訳はどうなっているのでしょうか?
営業費用を対売上比率でみてみます。
売上原価率(Cost of revenue)が22.1%から16.5%、製品開発費(Product development)が33.1%から27.7%に改善しています。
一方、セールス・マーケティング費(Sales and marketing)は27%から30%に増大しています。
売上原価率と製品開発費の2つが売上に対して削減されていることがわかりました。
続いて、資産の内訳をみてみます。
総資産は1632億元(2.8兆円)とかなり大きくなっています。
その中で多くの割合を占めているのがのれん(Goodwill)で、562億元(9671億円)とかなりの規模にのぼっています。Ctripはかなり積極的にM&Aによる会社買収を行ってきたようです(今度まとめたい)。
現金同等物は183億元(3149億円)、投資は短期(Short-term investment)が270億元(4646億円)、中長期(Investments)が226億元(3889億円)となっています。
Ctripのバランスシートは総資産が3兆円近くとかなり大きく膨らんでいますが、どのようにして調達してきたのでしょうか。
負債・自己資本の内訳をみてみます。
資本剰余金(Additional paid-in capital)が709億元(1.2兆円)と、かなり大きくなっています。長期借入金(Long-term debt)も336億元(5782億円)あります。
株式と借入金を用いて資金を調達してきたことがわかります。