今回取り上げるのは、2016年3月に台湾の電子機器メーカー、フォックスコンにより買収されたシャープです。
昨日発表された上期決算を見た限りでは、見事な復活を遂げたように見えます。
売上高は9197億円から1兆1152億円、営業利益は7900万円から405億円に増大。
経常利益と純利益はそれぞれ320億円、454億円のマイナスだったのが、411億円、347億円のプラスに転じています。
決算説明資料でも、純利益がリーマンショック以前の水準に回復したとドヤり気味に記してあります。
その中身は何がどのように変わったのでしょうか?決算短信と決算説明資料の中でわかる範囲で掘り下げてみたいと思います。
まずは売上原価と販管費が売上に対してどう変化したかをみてみます。
売上原価率は82%前後でほとんど変わらない一方(むしろ微増)、販管費が売上に対して18.3%から14.2%と4ポイントほど改善しています。
実際、絶対額で見ても、売上が増加したにも関わらず販管費は減少しています。
1680億円から1580億円へと、およそ100億円ほど減少しています。地道なコスト削減の結果として、利益率が改善したのではないかと考えられます。
次に、セグメント売上高を四半期ベースで6期分みてみます。
全体として増加傾向にあるという感じですが、特に大きく伸びているのは「アドバンスディスプレイシステム」で、前年同期の売上は1903億円でしたが、今期の2Qは2719億円と、800億円以上も売上が増加しています。
シャープの「アドバンスディスプレイシステム」事業とは、スマートフォン向け液晶、8K、車載、医療やインフラ向けのディスプレイ開発などを手がけているセグメントです。
営業利益の変化もみてみます。
なんということでしょう。
アドバンスディスプレイシステムは2017年2Qまでは四半期で78億円もの営業損失をだす事業だったのが、その後100億円前後の営業利益を稼ぎ出す事業へと変貌を遂げています。
フォックスコンがテコ入れしたのでしょうか。なんとも驚異的です。
次に、バランスシートを前年と比較してみます。まずはバランスシートの左側、資産の部です。
総資産は1兆7737億円から1兆8889億円へと1152億円増加しています。
そのうち顕著な変化が見られるのは、売掛金、たな卸資産、有形固定資産の3つです。
売掛金は3756億円から4790億円へと、1000億円以上増加。反対に、たな卸資産は2179億円から1861億円へと318億円減少しています。
また、有形固定資産は3496億円から4027億円へと、530億円ほど増加。
シャープの資産は1152億円増加していますが、どの源泉はどこから調達したのでしょうか。バランスシートの右側(負債と自己資本)の変化を見てみます。
流動負債は8016億円から8601億円へと600億円弱増加しています。長期借入金はどちらも4900億円前後であまり変わらないですね。
資本金・資本剰余金もほぼ変わらず、利益剰余金がマイナス1486億円からマイナス1137億円へと349億円ほど改善しています。