今回は、インドの巨大IT企業「インフォシス」についてまとめたいと思います。
インフォシスは、1981年にインドの「Maharashtra」という地域で設立されました。
(範囲広い)
当初の社名は「Infosys Consultants Private Limited」でしたが、1992年には株式の国内上場に先立ち、社名を「Infosys Technologies Private Limited」に変更。
1994年には、インドのIT都市として知られる「バンガロール」に本社を移転しています。
1999年には年間売上が1億ドルを超え、アメリカのナスダックにも株式を上場。
その翌年には売上2億ドル、2001年には4億ドルと売上は倍々ゲームで増えていき、2004年には10億ドルを突破。
その後も目が醒めるような勢いで成長を続け、2008年にはグローバルダウ(The Global Dow)の構成銘柄として選出されています。
2017/3期の売上は100億ドルを突破しています。
このエントリでは、インフォシスの決算数値について見ていきたいと思います。
インフォシスの事業は、ざっくり言えば、「海外向けのITコンサル&アウトソーシング受託」です。
インドは欧米諸国と比べると人件費が安いため、数多くのIT人材を安く採用することができます。
実際、売上のほとんどは北米やヨーロッパなど、インド国外になっています。
直近の数字を見ると、北米の売上が63億ドルと最も大きく、ヨーロッパが23億ドルの売上で、インドは3億ドル程度に過ぎません。
割合でも見てみましょう。
インド国内の売上比率は3%に過ぎません。
直近では北米が62%、ヨーロッパが23%ほどを占めていますが、昔と比べると北米の比率が低下していることがわかります。
事業領域ごとの売上比率を見てみましょう。
金融サービスが27%と最も大きく、エネルギーや通信サービス(Energy & utilities, Communication and Services)が22.5%と続いています。
ただ、ジャンルにそれほど偏りはなく、文字通りあらゆる産業を顧客としていることが伺えます。
顧客数は1,191社にまで及んでいます。
従業員数は126か国に20万人以上いるそうです。
続いて、財政状態についてチェックしてみます。
資産の内訳
総資産は128億ドルに達し、そのうち35億ドルが現金同等物、15億ドルが短期投資となっています。
全体の構成としては、流動資産が83億ドルと大きく、IT企業らしさを感じます。
買収による「のれん(Goodwill)」は6億ドルにも満たないことから、あまり買収に積極的ではないことが伺えます。
負債・自己資本
資産の源泉である負債と自己資本を見ると、利益剰余金(Retained earnings)が122億ドルと膨大な規模となっています。
長期借入金はなし。
キャッシュフロー
営業キャッシュフローは20億ドルに達しています。
2017/3期の投資キャッシュフローが大きなマイナスになっていますが、これは設備投資ではなく、金融商品への投資です。
財務活動としては、10億ドルほどの配当金を支払っています。
フリーキャッシュフロー
フリーキャッシュフローは15億ドルを超えています。
総資産128億ドル、売上100億ドル程度でフリーキャッシュフロー15億ドルですから、IT企業らしく、収益性はかなり高いと言えます。
企業価値(EV)
今現在のインフォシスの時価総額は386億ドル。
借入金はなく、現金同等物が35億ドルあることから、EV(企業価値)は351億ドルと計算できます。
これから毎年15億ドルのフリーキャッシュフローを稼ぐと考えると、EV/FCF倍率は23.4倍。
高成長にも関わらず、意外にも一般的な水準です。インフォシスは、その高成長の割に、あまり過剰な期待はされていないと言えそうです。
今回は、かなりざっくりとインフォフィスの事業数値を追ってみました。
次回は、インフォシスの競合である「Wipro」グループもチェックしながら、インドITの構造を整理してみたいと思います。