(前編の続き)
Netflixは、かつて絶対的な王者だったBlockbuster社と泥沼の競争を繰り広げました。
そして2008年、オンラインDVDレンタル市場において白旗を上げさせることに成功。
しかしその頃、CEOのリード・ヘイスティングスは既に「その次」を考えていました。
時はさかのぼって2006年、ヘイスティングスは公開されたばかりのYouTubeを使ってみてこう思ったそうです。
「ストリーミングサービスを作る時代がきた」と悟ったヘイスティングスは、2007年にはNetflixのオンライン・ストリーミング版を公開。
当初はジリジリとしか利用が伸びませんでしたが、時間の経過とともにインターネットの帯域(ネットワークの”太さ”)が拡大することは分かっていました。
来るべき「ストリーミング大時代」を予見し、かなり早い段階で既存のオンラインDVDレンタルとは相反する事業を立ち上げたわけです。
ところがストリーミング事業を立ち上げるのも、これまた簡単なものではありませんでした。
DVDレンタル事業とは異なり、全ての映画コンテンツに関して「ライセンス契約」を結ばなければならないのです。
しかもそのライセンス料は非常に高額でした。
Netflixはまず、映画業界の「底辺」にあるコンテンツから配信を開始しました。
誰もが忘れているような古い作品や、あまり人気のないコンテンツからスタートしたのです。
全くヒットしていない1990年の映画を2007年にオンラインで観られるようにしても、人気が出るわけがありません。
ヘイスティングスは、ここでも大胆な戦略をとります。
当初、ストリーミングサービスを「完全無料」で提供したのです。