Netflixは世界最大級のストリーミング配信サービスを運営する企業。
1997年にDVDのレンタルサービス会社として開始し、2007年よりストリーミング配信をスタート。現在は190以上の国で8600万人の会員に利用されている。
また、近年稀に見る「大化け株」の一つとしても有名で、2007年頃の株価は3ドルから4ドル前後だったのが、現在は120ドル。30倍以上に跳ね上がっている。ネットバブル崩壊直後の2002年ごろには一株0.5ドルを割ったときもあったので、仮にその時から保有し続けていたら240倍である。ベンチャー投資かよ。
すっかり「成長株」の仲間入りをしてしまったNetflixであるが、現在の経営状況について調べてみたい。
まずは2015年のアニュアルレポートから。
全体の売上高は67.8億ドル(前年比+23%)、純利益は1.2億ドル(前年比-55%)。利益率は1%か。売上規模自体はFacebook(2016年度70億ドル)と同じくらいの水準だが、同社の利益率30%超えとはだいぶ事情が異なるようだ。
やはり映画やドラマの版権にお金がかかるんだろうか。あるいは自主制作ドラマのコストがでかいのか、海外展開に莫大な投資が必要だったのかもしれない。
次に、セグメント毎の売上を見てみよう。
「Domestic Streaming Segment」は国内のストリーミング事業だから、事業の中核だ。年末時点で4300万人の有料会員がおり、売上は41億ドル。国内だけで売上の60%をしめている。
次に「International Streaming Segment」は海外だな。有料会員数は2700万人。売上は19.5億ドル。全体の28%。
まだ売上の合計が100%にならない。残り12%はなんだろう。
「Domestic DVD Segment」という項目があった。これはストリーミングを始める前からやっているNetflixにとって最初の事業だ。今だに6.4億ドルの売上があるらしい。大したものだ。
次にコスト。
「Cost of revenues(売上原価)」がもっとも大きく45億ドル。この時点ですでに売上の67%を占めている。おそらく映像のライセンスなどだと思われる。
「Marketing」が8.2億ドル。「Technology and development」が6.5億ドル。これは面白い。同じインターネット企業で赤字を脱しきれないTwitterの「Technology and development」は8億ドルだった。つまり、NetflixはTwitter(売上22億ドル)の3倍以上の売上を有していながら開発コストはTwitter社より安いのだ。その他、「General and administrative」が4億ドル。
またその次に、「Contractual Obligations」という項目がある。そのうち「Streaming content obligations」が10億ドル。ストリーミングで使用するコンテンツへの債務ということだが、これって費用とは別の債務契約ということかな。「Contractual Obligations 」全体だと15億ドル。
まだまだ掘り下げないとわからないが、やはりNetflixのビジネスモデルは「コンテンツの仕入れ」に莫大な費用がかかる構造をしていて、開発費などを上手く抑え、8600万人という莫大な量の有料会員を抱えることでなんとか利益を出す、というモデルのようだ。なかなかハードモードである。