電子楽器メーカー「ローランド」再上場へ:混迷のMBOから直近の状況まで
ローランド

2020年11月11日、電子楽器メーカー「ローランド」の再上場が東証によって承認された。具体的な市場はまだ決まっていない。

ローランドは1972年に大阪で設立され、1989年に大証2部、1998年には東証2部に上場。1999年には両市場1部に指定された。

2008年3月期、ローランドは売上を1,086億円の大台に乗せた。しかし、その後は業績が急激に悪化し、2010年3月期には最終赤字に転落。

世界的な金融危機によって消費が落ち込み、高額な上位モデルが売れなくなって売上は25%も減少した。4年連続の最終赤字となり、2014年に経営陣による買収(MBO)によって上場廃止となった。

それから5年強が経過し、ローランドは再び上場する運びとなった。時価総額は、先日の「雪国まいたけ」を超えて、2020年最大となる可能性がある。

今回は、世界的に有名な国産楽器メーカーの1つであるローランドがどんな会社なのかについて、足元の業績とともに改めてご紹介したい。

創業者、梯郁太郎

ローランドの創業者は、故・梯郁太郎氏。亡くなったのは2017年と、かなり最近のことだ。

1930年に大阪で生まれ、戦後の1947年、16歳のときに宮崎で時計店を開業。時計の修理を始める。音楽とメカが大好きで、趣味でラジオを作ったりもしていたらしい。

1953年には大阪に戻り、電器店を開業。徐々に規模を拡大すると、やがて電子オルガンの開発にも着手する。1960年代にはリズム楽器の領域にも取り組み、1967年に自動リズム楽器「リズムエースFR-1」を開発。

自ら創業した「エース電子工業」を退社し、1972年に新たに設立したのがローランドだ。以来、リズム楽器からシンセサイザー、電子ピアノまで様々な電子楽器を生み出していく。

梯氏は、電子楽器の世界共通企画「MIDI」の制定(1983年発表)に尽力したことなどでグラミー賞も受賞している。ローランド製品はヒップホップやクラブミュージック、ポップスなど幅広いカテゴリーに影響を与えた。

波乱を呼んだ2014年のMBO

MBOをめぐっては、梯氏と現社長・三木純一氏との間で激しい対立があった。

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