コロナでも高評価の「M&A仲介」3社のビジネスモデルと戦略の違いが面白い

新型コロナウイルスの感染拡大は国内外の経済活動に大きな影響をもたらした。そんな中、意外にも堅調な業績を見せているのが「M&A仲介」の領域だ。

基本的にはネガティブ影響が大きい。譲渡価格の低下により売り手側が案件を先送りしたり、買い手側の買収余力がなくなってしまう懸念がある。

オフラインでの営業やセミナーが有力な案件獲得チャネルであるケースも多く、コロナ禍では難しくなった。そもそも「会社を売る」プロセスをリモートで完結させるのは現実的ではない。

その一方で、プラスの側面も存在する。

特に中小企業の場合、事業の存続が難しくなったら会社を畳むか売却する以外の選択肢はない。買い手にとってはチャンスとも言え、一部の企業は買収活動を積極化するだろう。

国内では「日本M&Aセンター」「M&Aキャピタルパートナーズ」「ストライク」の三社が上場し、それぞれ堅調な業績を上げてきた。日本M&Aセンターは時価総額1兆円を超えた。

決してマイナス影響も小さくなかったM&A仲介だが、株式市場での期待感は高まっている。その背景には、中長期的な業界見通しの明るさもある。

今回は、これら三社がコロナ禍の影響をどう受けたのか確認した上で、各社のビジネスモデルと戦略、今後の展望などについて整理していきたい。

M&A仲介のビジネスモデル

まずは「M&A仲介」の一般的なビジネスモデルについておさらいしよう。すでにご存知の方は、このセクションを飛ばして各論に進んで欲しい。

一般的なM&A仲介のビジネスモデルを図解すると、上のような形に整理できる。売り手と買い手の案件情報を蓄積し、両者をマッチングさせることで手数料を受け取るというのが基本だ。

そのため、M&A仲介事業者は「案件情報を集める」「マッチングのファシリテーションをする」という主な2つのオペレーションが必要になる。

M&A仲介事業が成長する背景には、経営者の高齢化による「後継者問題」がある。後述するが、中小企業経営者の年齢分布のピークは69歳になった。

昔のように家族が継いでくれるケースは減り、親族外による承継は全体の3分の2に増えた。企業数は10年で83万社も減少し、今後も全国規模での中小企業再編が進んでいくのは確かだ。

時価総額1兆円の「日本M&Aセンター」

これらの三社がやっていることの根本は変わらない。しかし、具体的な戦略には大きな違いがある。

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