苦境続く「鳥貴族」が回復傾向に、決算から見る現状と成長戦略
焼き鳥チェーン大手の鳥貴族ホールディングスが2022年7月期の決算を発表した。コロナ感染の状況に客足を大きく左右され、増収は確保したものの営業損益は2期連続で赤字に沈んだ。
ただ、既存店は回復傾向にあり今期(2023年7月期)の売上高がコロナ前(2019年7月期)の9割近くに復調する見通しを示している。
主力の「鳥貴族」の再成長に向け、新規出店も再開。地方都市など未進出エリアの開拓にも乗り出す。同業の買収も行い客層や出店地域の相互補完による売上拡大も狙う。
今回の記事では、決算から見る足元の状況と今後の成長戦略を紹介する。
2022年7月期の通期決算は、売上高が前年比30%増の202億8800万円だった。営業時間短縮や酒類提供自粛などのマイナス影響はあったが、外食機会の増加で客足は復調傾向にある。5月から6月にかけては期初の計画に近い形で推移したが、7月のコロナ感染「第7波」の影響を受け売上高が目減りし、業績予想比では未達(99.3%)となった。
同社は従業員の待遇改善を目的に、4月末に全品327円(税込)から350円への値上げを実施した。価格改定と同時にグループ正社員のベースアップも行なっている。(平均3.1%の昇給)
2017年の価格改定は急激な客離れにつながったが、今回は「値上げの前後で客数に大きな変化は見られない」(大倉忠司社長)と説明する。材料費などのコスト高は食品・外食産業全体で喫緊の課題となっており、各社が値上げに踏み切っていることも相まって、消費者の一定の理解を得られたようだ。