事業内容
沿革・会社概要
NantHealth, Inc.は、米国カリフォルニア州カルバーシティに本社を置く、ヘルスケアテクノロジー企業である。2010年に設立され、2016年に株式上場した。統合臨床プラットフォームを通じて科学と技術を融合させ、医療現場での健康情報の提供を行う。
事業内容・ソリューション
NantHealthのソリューションは、ヘルスケアを提供するための統合モデルを構成しており、独自の分子プロファイリングソリューション、SaaSプラットフォーム、バリューベースの医療ケアとエビデンスに基づいた臨床実践を可能にしている。
癌ケアソリューション
『GPS Cancer』は、腫瘍および正常生殖細胞サンプルのDNA配列とRNA配列を統合した包括的な分子プロファイルであり、腫瘍医は患者の癌のユニークな分子特徴についての洞察を得ることができ、個別化された治療戦略を知ることができる。
『GPS Cancer』プロファイルの結果は、現在行われている臨床試験を含め、効果が期待できる癌治療法や、癌が抵抗性を示す可能性のある治療法についての洞察を腫瘍医に提供することができる。
患者の腫瘍サンプルを正常サンプルと比較して全ゲノム・エクソームシークエンシングを行うと、腫瘍DNAに特異的な分子変化が明らかになり、その後RNAシークエンシングを行うと、患者の腫瘍のDNAで同定された変化が確認される。そして、特定の変化を含む腫瘍に効果がある可能性のある薬剤を特定する。
医療提供者ソリューション
『NaviNet』と『Eviti Advisor』で構成されるNantHealthの医療提供者ソリューションソフトウェアは、NantHealthのシステムで利用可能なデータを活用して、場所を超えた患者中心のケアを可能にする。
意思決定支援ソリューション『Eviti』は、最適な治療計画を確保するための重要な要素であるエビデンスに基づいた臨床意思決定支援を提供している。『Eviti』はSaaSベースの臨床意思決定支援ソリューションであり、臨床コンテンツ、メディケア診療報酬からの治療費データ、治療毒性データを一元管理している。これにより、医師は、癌治療の最新の進歩を容易に把握することができる。
『Eviti』は通常、医療保険会社に会員ごとに月単位で販売されている。これらの医療保険会社はソリューションのスポンサーとなり、癌専門医とそのスタッフに無料で『Eviti』を提供している。
保険会社ソリューション
『NaviNet Open』と『Eviti Connect』を含む保険会社ソリューションは、臨床行為と介護者への日常的なアクセスを確立し、NantHealthのシステム上で利用可能なデータを活用して、全体的な管理コストの削減と価値に対する保険支払いを促進する。
『NaviNet Open』は、大手の保険会社・医療提供者連携プラットフォームであり、医療計画と医療提供者間のコミュニケーションを強化し、業務効率の向上、コストの削減、医療提供者の満足度の向上、拡大を可能にしている。
『NaviNet Open』は、重要な管理・臨床情報をリアルタイムで医療提供者に提供するため、医療提供者は複数の医療計画をまたいで迅速かつ容易にコミュニケーションをとることができる。
経営戦略
NantHealthは、精密医療・データ・SaaSソリューションを通じて、医療提供者・保険会社・製薬会社・患者に実用的な情報を提供することで、医療エコシステム全体で臨床成果と経済性の向上を促進している。
NantHealthの製品ポートフォリオは、分子解析の最新技術『GPS Cancer』とリアルタイムの保険会社・医療提供者連携プラットフォーム『NaviNet』と『Eviti』で構成されている。NantHealthは、2019年に在宅医療サービス事業を売却、2020年2月「コネクテッドケア」事業を売却した。
NantHealthは、SaaSサブスクリプション料、ソフトウェアライセンス、メンテナンス、ハードウェア販売、サポートサービス、プロフェッショナルサービス、レポーティングサービス、分子解析サービスから収益を得ている。
NantHealthは、ビッグデータと自動化されたインテリジェンス技術を中核事業に統合し、新しい製品やサービスを提供するために投資を行っている。
NantHealthの目標は、癌などの重篤な疾患の発見と治療方法を変革する、エビデンスに基づいた個別化医療のリーディングカンパニーになることである。保険会社と医療提供者の連携を促進し、利用可能なデータと知識を活用して、重要な疾患の患者の臨床成果を改善し、より効果的な治療の決定を行うことを目指している。