Shopify Inc.【SHOP】 NYSE

ショピファイはカナダ オンタリオ州オタワに本社をおくテクノロジー企業。2004年9月にTobias Lütkeなどによって創業された。Lütke氏は2008年まではCTO(最高技術責任者)であったが、2008年以降はCEO(最高経営責任者)を務めている。2015年5月にニューヨーク証券取引所に上場。中小企業に向けたクラウドベースのEコマースプラットフォームを提供している。

Shopify Inc.【SHOP】 NYSE

ショピファイはカナダ オンタリオ州オタワに本社をおくテクノロジー企業。2004年9月にTobias Lütkeなどによって創業された。Lütke氏は2008年まではCTO(最高技術責任者)であったが、2008年以降はCEO(最高経営責任者)を務めている。2015年5月にニューヨーク証券取引所に上場。中小企業に向けたクラウドベースのEコマースプラットフォームを提供している。

事業内容

沿革・会社概要

Shopify Inc.(ショッピファイ)はカナダのオンタリオ州に本社をおくECプラットフォーム企業。中小企業に向けたクラウドベースのEコマースプラットフォーム『Shopify』を提供している。

2004年9月にTobias Lütkeなどによって創業。Lütke氏は2008年まではCTO(最高技術責任者)であったが、2008年以降はCEO(最高経営責任者)を務めている。2015年5月にニューヨーク証券取引所に上場。

事業内容

Shopify Inc.(ショッピファイ)では、中小企業を中心にオンラインショップ作成ツール『Shopify』を提供している。AmazonやeBayなどのECプラットフォームと異なり、出品者にとって柔軟なカスタマイズができる。売上はプラットフォーム利用料である「Subscription solutions」と決済手数料を含む「Merchant solutions」から構成されている。

Subscription solutions

主に当社のプラットフォームへのサブスクリプションの販売を通じてサブスクリプションソリューションの収益を生み出しています。 また、生成します 関連するサブスクリプションソリューションは、カスタムテーマとアプリの販売およびドメイン名の登録からの収益です。

加盟店のニーズを満たすように、さまざまなサービスと価格レベルを提供している。加盟店の事業が拡大しても、Shopify プラットフォームを離れずにECサイトを拡張することができる。ほとんどの加盟店はベーシックプランとShopifyプランに加入しているが、GMVの大部分はアドバンストプランとShopifyPlusプランに加入している加盟店からのものになっている。Shopify Plus加盟店としては「Allbirds」「Gymshark」「Nestle」「Staples」などが挙げられる。

サブスクリプションプランの期間は通常1か月だが、Shopify Plusプランでは年間または複数年のサブスクリプション期間がある。また、キャンセルの通知が事前に提供されない限り、サブスクリプション条件は自動的に更新される。

サブスクリプション料金は、サブスクリプション期間の長さに関係なく、該当するサブスクリプション期間の開始時に支払われる。ただし、Shopify Plusサブスクリプション契約は、評価可能な基準(ratable basis)に戻づいて後払いで支払われる。サブスクリプション料金は返金不可です。

Merchant solutions

サブスクリプションを通じて提供されるソリューションを強化するマーチャントソリューションとして、決済代行、配送とフルフィルメント、運転資金の確保など、加盟店が一般的に必要とする幅広い機能を展開している。主に、決済代行サービス『ShopifyPayments』からの支払い処理手数料からマーチャントソリューションの収益を生み出している。

Shopify Paymentsからの支払い処理料金に加えて、トランザクション料金、Shopify ShippingとFulfillment、Shopify Capital、パートナーからの紹介料金、POS(point-of-sale)ハードウェアおよび6 RiverSystemsからのマーチャントソリューション収益も含まれている。

トビアス・ルケの若年時代

2004年、後にShopify創業者となるトビアス・ルケはカナダでスノーボートを販売するネットショップ『Snowdevil』を立ち上げた。その様子は現在もデモサイトとして公開されている。

Snowdevil

このときに開発したオンライン通販サイトをツール化して外販しはじめたのがShopifyだ。Shopifyは「簡単にECサイトを作れるサービス」として、他に類を見ない成長を遂げることとなる。

トビアス・ルケは1980年にドイツで生まれた。6歳のときにコモドール64を与えられ、11歳になるまでには自分でゲームをプレイしたり、ゲームのコードを書き換えてオリジナルのゲームを自作したりして遊んでいたという。あまりに夢中になるので両親は心配し、精神分析医に連れて行ったほど。

大学には進学せず、プログラマーの養成プログラムに参加した。大手IT企業シーメンスに入社し、見習いプログラマとして働き始めるも、プログラミング言語「Java」に抵抗感を感じ、燃え尽きてしまう。

コンピューターとゲーム以外に、トビアスが夢中になったもの。それがスノーボードだった。シーメンスで燃え尽きた彼はカナダのウィスラーに旅行。そこでオタワ出身のフィオナ・マキーン(Fiona McKean)と恋に落ち、結婚。カナダに帰化することになった。

Shopifyの始まり

トビアスから見れば、当時のEC構築ツールは良いものとは言えなかった。共同創業者となるスコット・レイク氏と話してスノーボード販売サイトを立ち上げようとする際、必然的にウェブサイトを自作することになったのだ。

Javaに抵抗を感じたトビアスが見ほれたのが当時まだ登場して間もない「Ruby on Rails」だ。一時はRailsのコア開発者の一人にもなるなど、かなりの入れ込みようだった。トビアスはSnowdevilの開発で作ったコンポーネント(クレジットカードの処理方法など)を公開すると、Railsコミュニティで知名度を高めた。

こうした成功体験の中、二人が考えたのが「このソフトウェア自体も販売できるのではないか?」というアイデアだ。

その後、トビアスは1年半もの時間を開発に費やす。2006年、ようやく正式リリースにこぎつけたのが「Shopify」だ。

Shopifyはすぐに8,000ドルの売上をあげ、食っていくことには困らなかった。2008年には6万ドル規模まで拡大。それでも、スタートアップとして急成長を目指す決心はつかずにいた。

カナダのベンチャー投資家は当時それほど積極的ではなかった。シリコンバレーでも一斉を風靡していたのは「Web2.0」だ。Eコマースをやっていると聞くと、多くの投資家が興味を失ったという。

詳細:スノーボード通販サイトから汎用ツールへ!Shopifyの歴史と創業者トビアス・ルケ氏の半生

ビジネスモデル

Shopifyが提供するのは、主にSMB(中小企業)を対象にしたオンラインショップ作成ツールだ。

14日間の無料体験を利用だが、その後は月額29ドルからの定期課金の支払いも必要となる。さらに、商品が売れた際には金額に応じた手数料も支払うことになる。

AmazonやeBayをはじめとする巨大なプラットフォームでは、ネットショップを出すというよりは「出品」ができるにすぎない。そのショップの個性を出すなどといったことはほぼ不可能な構造になっている。それに比べ、Shopifyで作ったECサイトの方がはるかに柔軟なカスタマイズが可能だ。

もっとも、Shopify自体にはもともと集客機能はなかった。そのため、Shopifyを使ってネットショップを開始した場合、マーケティング活動については出店者が自ら進めていく必要があった。

こうした特性も、振り返ってみればShopifyの成長に優位に働いたと言えるかもしれない。Shopifyで成功しやすいのは、一定のファンがすでにいる既存店舗や有名人、インフルエンサーなどの人たちだ。彼らの多くは集客自体に困りはしないが、より自らの個性を表現できるオリジナルのネットショップが必要だった。

2019年末時点において、Shopifyには100万を超える利用事業者がおり、その事業展開地域は175か国にまたがっている。そのうちアメリカ合衆国は52%を占め、英国が7%、カナダ6%、それ以外が29%という構成だ。

参考:2019年Annual Report

Shopify側に入ってくる収入ははじめは決済手数料が中心で、その後はキャッシュフロー安定化のために月額課金が中心となり、そして近年は再び決済高が非常に成長していることで、月額課金を上回るようになった。

Shopify売上コホート

Shopifyのプラットフォームとしての強さは、上の一枚のスライドからも見て取れる。2016年に参加した事業者はその後も売上を拡大し、2017年に参加した事業者も、2018年、2019年に参入したものについても同様のことが言える。いわば「インターネットショッピング」というカテゴリが伸び続ける限り、成長を続けられるモデルといっても過言ではない。

Shopifyの優位は、Shopify以上に魅力的なEC支援プラットフォームが出るまでは続くはずだ。しかし、現実には急成長しているという事実をバックにShopifyはさらなる事業改善に向けた投資を進めており、今となっては参入障壁はとても高いと言える。

Shopify Fulfillment Network

Shopifyがこのところ注力している施策の一つが、物流ネットワークへの投資だ。その名も「Shopify Fulfillment Network」という。

Shopify Fulfillment Network

これを開始したのは2019年6月のこと。Amazonなどの巨大プラットフォームと比べたShopifyの弱点は、「超効率的な物流システムを持たないこと」とも言える。Amazonは、直販のスケールメリットを生かして物流に多大に投資し、即日・翌日配送などスピードの追求によって消費者の支持を勝ち得た。

一方のShopifyは事業者が世界中に散らばっており、同じような物流投資は難しかった。そこで彼らがとったのは、自社で物流設備をもつのではなく、サードパーティの物流倉庫に委託してネットワーク化するという仕組みだ。

Shopify自身は在庫をスマートに管理するためのソフトウェアを開発しており、2019年9月には倉庫支援ツールを提供する「6 River Systems」を買収した。このような投資によって、ShopifyがECプラットフォームとしての存在感を強化していくことになるかが、今後数年の注目ポイントの一つだ。


参照 FORM 40-F(提出日:2020年2月12日)

特集記事

経営方針

・2006年創業。本社はカナダのオタワ

・創業者はTobias Lütke(トビアス・リュトケ、ルケ)とScott Lake(スコット・レイク)

・Shopifyの歴史はこの2人が出会うところから始まる。

Tobias Luetkeとは?

リュトケはドイツ出身のプログラマー。Ruby on Railsのコア開発メンバーにも一時期なっており、オープソースコミュニティでは有名に。Rubyと出会う前はComputec Media(ドイツのネットメディア)など様々な企業とプロジェクトを手がけていた。

6歳の時にコンピュータをもらって以来、コンピュータの世界に没頭。11〜12歳の頃にはゲームのコードを書き直したり、ゲームを自作したり、パソコンのハードウエアを書き換え始めるようになる。学校はやめて、Koblenzer Carl-Benz-Schoolの養成プログラムに参加。シーメンスで修行を積み、プロのプログラマーになった。

ただ、「ドライすぎる」プログラミングには燃え尽きる。人間味のある小売業への転向を目指した。

趣味のスノボでカナダへ小旅行している時、カナダ人のFiona Mckeanと出会い、カナダ帰化を決意、02年に移住。これがのちに出会う共同創業者のスコットの友人の娘だった。

Scot Lakeとは?

元々はソフトウェアメーカーに勤務。陸軍やユネスコなどをクライアントにオンラインコミュニティ開発に従事。2004年頃は友人のスタートアップを手伝っていた。自分でもビジネスを始めたいと思っていた最中、Fionaと付き合っているトビアスというプログラマーをしり、ここぞとばかりに起業の話をもちかける。

スノボ用品サイト→EC開設支援プラットフォーム

初めはトビアスにもスコットにも特別なアイデアはない。趣味がスノーボードだったことから、「スノーデビル」というスノボ用品のネットショップで勝負しようとしていた。

サイト構築は既存のサービスを利用しようとしたが、当時のソフトウェアパッケージサービス(Miva、 OsCommerce、Yahoo storesなど)は問題が散見された。Yahoo Storesは「サイトの背景色を変えるのがやっと」の状態。そんな中、トビアスはリリースされたばかりの「Ruby on Rails」というものの存在を知る。これを使い、開発期間2ヶ月ほどでスノーデビルを作り上げた。

ここでRailsの哲学がShopifyのに重要な影響。Railsは元々、開発者がプロジェクトマネジメントツールを使いたくて作ったものだが、その枠組みを一般に公開することで様々な利用者が便益を得た。スノボ用品サイトを作るためにEC開発ツールを作ったShopifyも、そのECサイト開発ツールをオープンにするようにした。

その手始めとして、Railsのコミュニティの同僚たちにそのEC開発ツールを見せていったところ、サイト開設方法について大量の質問を受けるようになった。ここで「ECサイト支援の需要」を目の当たりした。

この段階で、「アプローチが間違っていた」と気づき始める。スノーボードを売るよりも、ECサイトの開発支援などを提供する方が価値があるのでは?と思うように。これが2005年ごろの話。ここでプログラマーがもう1人加入し、スノーデビルをやめて、正式にEC開発支援サービスへ舵を切る。

一年半の開発期間を経て、Ruby on RailsのみでShopifyのサービスを構築した。

ちなみにトビアスは創業の一年前ほど前まで、スコットは半年ほど前まで本業が別にあり、Shopifyは副業だった。Shopify事業へ専念し始めてからは貯金を切り崩す生活。妻の両親の家に居候してコストダウンしていた。

ローンチ〜ビジネスモデルの転機

2006年にサービスを正式ローンチ。一度もネットでモノを売ったことがない人向けのサイトを目指し、機能は至ってシンプルにした。ストアデザインのテンプレート、画像のアップロードやタグ付け、カテゴリー化の機能など。決済手段はPayPalかクレジットカードのみ。

2007年。この頃には月8000ドルほどを稼げるようになっていた。小さくはあるがRailsコミュニティに顧客基盤もできつつあった。

エンジェル投資家のJohn H. Phillipsから25万ドルの投資を受ける。Canadian Wireless Telecommunications Associationの会長、Business Propulsion Systemsの会長などを務めた人。Shopifyのプロダクトに惚れ込んで投資を持ちかけ。外部者だったが、この時投資を受けたことはあ「最善の選択」と振り返る。給与だけでなく、事業運営についてのノウハウをたくさん知った。シードの調達でやっと事業拡大へ投資できるように

2008年。ビジネスモデルの転機はここ。「ターニングポイントだった」とリュトケはのちに振り返る。これまでは取引手数料モデルで、パーセンテージを固定して顧客の売上からトランザクションフィートとっていた。これは顧客がShopifyで売上を伸ばすインセンティブを削ぐことも意味していた。

それをサブスクリプションベースの課金モデルに変更。その中でもいくつかプランを用意。サブスクフィーが高ければトランザクションフィーのパーセンテージを下げ、低ければ上げる方式に。これでカスタマーサクセスとShopifyビジネスの成功が同じ場所で合致。

ただ、事業拡大フェーズでスコットが会社を離れる。「会社を立ち上げるのが好きで、十分に楽しんだ」ため。更なる投資を得て厳しい「Growth Campany」の道を行くか、小さくとどまる「Lifestyle Campany」にとどまるかで葛藤。

創業メンバー

創業当時、コアメンバーはトビアスとスコットのほかに2人。

1人はリュトケの知り合いのプログラマー、Daniel Weiland。ドイツ出身。音楽の才能豊かで作曲を学ぶはずだったが、結局ドルトムントでコンピュータサイエンスを学ぶ。ハーゲン大学で研究助手として3年間Javaを経験後にRubyと出会う。2015年にShopifyに参画した。

もう1人はJustin Palmer。デザイナー兼ソフトウェア開発者。shopifyの全てのユーザーインターフェース、ブランディング、ウェブデザインを手がける。

当初の問題はメンバーが物理的に離れていること。デザイナーのJustinは他にも仕事があってオタワには来れない。Danielもドイツへ戻っていた。

参考資料

https://signalvnoise.com/posts/2378-qa-with-tobias-ltke-of-shopify https://mixergy.com/interviews/tobias-lutke-shopify-interview/ https://producthabits.com/shopify-grew-snowboard-shop-10b-commerce-ecosystem/ https://www.fool.com/investing/2019/08/15/interview-with-shopify-ceo-tobias-lutke.aspx