事業内容
沿革・会社概要
Anheuser-Busch InBev SA / NV(アンハイザー・ブッシュ・インベブ、AB InBev)は、ベルギーのルーヴェンに拠点を置く世界最大のビール飲料メーカーである。
AB InBevは、世界150カ国以上で販売展開しているグローバルな醸造会社である。500以上のブランドを保持する、販売量で世界最大のビールメーカーである。AB InBevは約50カ国に拠点を置き、17万人以上の従業員を雇用している(2019年12月31日時点)。
AB InBevは、600年以上前のベルギーのルーヴェンにあるDen Hoorn醸造所を起源とする。
1987年、ベルギーの2大醸造所であるBrouwerijen Artois NVとBrasserie Piedboeuf SAが合併し、Interbrew S.A.が誕生した。
2002年、InterbrewはBeck’sを買収した。
2004年、InterbrewはブラジルのAmbevと合併し、InBevが誕生した。
2008年、InBevは、Anheuser-Busch Companiesとの合併により、社名をAnheuser-Busch InBev SA/NVに変更した。
2013年、AB InBevはGrupo Modeloとの合併を完了し、Grupo Modeloは米国事業をConstellation Brandsに売却し、米国におけるCoronaブランドの独占的な永久ライセンスを付与した。
2016年、AB InBevはSABとの合併を完了した。
2019年7月、オーストラリア事業のCarlton & United Breweriesを、アサヒグループホールディングス株式会社に約112億ドルで売却することで合意した。
事業内容
AB InBevは、世界最大の消費財企業の1つであり、Plato Logic Limitedによると、ビールの総市場シェアで、数量ベースで世界第1位の地位を保持している(2019年時点)。世界で最も収益性の高いビール市場である米国、メキシコ、ブラジルでは、ビールの総販売数量シェアで第1位の地位を占めている。また、世界最大のビール市場である中国では、ビールの総販売数量シェア第3位、急成長中のプレミアムビールでは販売数量第1位となっている(AB InBevによる推計)。
AB InBevの地理的に多様なプラットフォームは、発展途上国市場の成長機会と先進国市場の安定性と強さのバランスのある基盤にある。2019年の収益では、先進国市場は約41.4%を占め、発展途上国市場は58.6%を占めている。AB InBevの発展途上市場には、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、中国、コロンビア、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、ホンジュラス、インド、メキシコ、モザンビーク、ナイジェリア、パナマ、パラグアイ、ペルー、南アフリカ、タンザニア、ウガンダ、ベトナム、ザンビアが含まれる。
飲料事業は、中核事業であるビール、ノンアルコールビール、ビール風飲料、ノンアルコール飲料などから構成されている。
ビール
AB InBevの500以上のビールブランドのうち、19ブランドは2019年の推定総売上高が10億ドルを超えている。ビールブランドは、グローバルブランド、多国間ブランド、ローカルブランドの3つのカテゴリーから構成されている。
グローバルブランド
『Budweiser』『Corona』『Stella Artois』の3つのグローバルブランドは、国境を越えて消費者にアピールし、世界の多くの市場で認知されている。
『Budweiser』は、米国で最も売れているビールの1つである。世界的に見ても、『Budweiser』の販売量は2010年から毎年増加しており、2019年は0.5%の成長を記録している。米国外での『Budweiser』販売は、ブラジル、コロンビア、インド、英国での成長に牽引され、2019年の世界の販売量の72.3%以上を占めている。『Budweiser』は、2022年FIFAワールドカップ、イングランドプレミアリーグ、リーガエスパニョーラのスポンサーとして、国際サッカーをサポートしている。
『Corona』は世界で最も売れているメキシコのビールであり、180カ国以上で販売されている。
『Stella Artois』は、Plato Logic Limitedによると世界第1位のベルギービールであり、、世界90カ国以上で販売されている。ベルギーのルーヴェンで1366年にプレミアムラガーとして誕生した。『Stella Artois』の売上高のトップ3市場は米国、英国、ブラジルで、南アフリカやメキシコを含むいくつかの新たな市場で拡大が進んでいる。
多国間ブランド
『Beck’s』『Hoegaarden』『Leffe』『Michelob Ultra』の多国間ブランドは、自国の市場での強力な消費者基盤を基盤に、大陸を越えて消費者とのつながりを持っている。
ドイツビール『Beck’s』は、1873年当時と同じように、厳格な醸造法と4種類の天然素材のみを使用したレシピで現在も醸造されている。
『Hoegaarden』は、ベルギー産小麦を使用した高級ビールである。1445年にさかのぼる醸造の伝統に基づき、上面発酵させた後、瓶や樽の中で再発酵させることで、独特の白濁した外観を実現している。ベルギー産のコクのあるビール『Leffe』は、AB InBevのビールの中で最も長い歴史を持ち、世界90カ国以上で販売されている。
『Michelob Ultra』は、2002年に米国で全国展開され、2019年には『Bud Light』に次ぐ米国第2位のビールブランドに成長した。低カロリー・低炭水化物ビールとして、2015年から2018年の間に米国で最も急成長したビールブランドだった。『Michelob Ultra』は、カナダ、メキシコ、中国、ホンジュラス、エルサルバドル、ペルー、イギリスでも販売されている。
ローカルブランド
米国の『Bud Light』、メキシコの『Modelo Especial』『Victoria』などの地元市場に主に流通しているブランドが含まれている。ブラジルでは『Skol』『Brahma』、コロンビアでは『Aguila』、ペルーでは『Cristal』、アルゼンチンでは『Quilmes』、ベルギーとオランダでは『Jupiler』、南アフリカでは『Carling Black Label』『Castle Lager』、中国では『Harbin』『Sedrin』、韓国では『Cass』などのブランドが主にローカル市場で販売されている。
『Bud Light』は、米国で最も売れているビールであり、プレミアムライトカテゴリーのトップブランドでもある。NFLの公式スポンサーであり、スポンサー契約を2022年まで延長している。
『Modelo Especial』は、フルフレーバーのピルスナービールで、1925年にメキシコ全土の「モデル」となるために造られた。『Victoria』はウィーンスタイルのラガーで、メキシコで最も人気のあるビールの1つである。初めて製造されたのは1865年で、メキシコ最古のビールブランドとなっている。
『Skol』はブラジル市場をリードするビールブランドで、カーニバルなどで新しい市場のトレンドを生み出している。『Brahma』はブラジルで2番目に消費量の多いビールで、2018年FIFAワールドカップのブラジル公式スポンサーである。
『Carling Black Label』は、南アフリカ最大のブランドであり、最も多くの賞を受賞しているビールである。『Castle Lager』は、1895年にヨハネスブルグで初めて醸造された南アフリカの国民的ビールで、地元のホップを使用し辛口の味を醸し出している。
『Harbin』は中国東北部にルーツを持つナショナルブランドであり、『Sedrin』は中国の福建省にルーツを持つ強力な地域ブランドである。
ノンアルコールビール
AB InBevは、スマートドリンキング目標の一環として、2025年末までに世界のビール生産量の20%をノンアルコール・低アルコール製品に割り当てる計画で、30以上のブランドを擁している。中国、コロンビア、コスタリカ、パナマ、バルバドス、エクアドルの6つの市場では、すでにノンアルコール・低アルコールビールがビール販売量の20%以上を占めている(2019年時点)。
ニールセンによると、『Brahma 0.0%』はブラジルでナンバーワンのノンアルコールビールであり、同国の2019年のノンアルコールビールカテゴリーのシェアの84.5%以上を占めている。他のノンアルコール飲料ブランドには、カナダと英国の『Bud Prohibition』、米国、カナダ、英国、ドイツの『Beck's NA』、ベルギーの『Jupiler 00』、南アフリカの『Castle Free』などがある。
ビール風飲料
ビール風飲料には、米国では『Rita』シリーズ、『Naturdays』『Natural Light Seltzer』『Bon Viv Spiked Seltzer』、カナダでは『Palm Bay』『Mike’s Hard Lemonade』などを展開している。これらのブランドは、消費者の動向や嗜好の変化に対応することで、ビール風飲料カテゴリーの成長と、ビール以外のアルコール飲料カテゴリーでのシェア向上を目指している。
ノンアルコール飲料
AB InBevは、中南米とアフリカでノンアルコール飲料(NAB)事業を展開しており、子会社のAmbevは南米とカリブ海地域でNAB事業を展開している。NAB市場には、炭酸飲料と非炭酸飲料が含まれる。
NAB事業には、自社ブランドとPepsiCoとのボトリングとPepsiCoブランドの販売に関する契約が含まれている。AB InBevは、『Pepsi-Cola』『Gatorade』『H2OH!』『Lipton Ice Tea』などのPepsiCoブランドをブラジルでボトリング、販売する独占的な権利を与えられている。中南米事業を通じて、アルゼンチン、ウルグアイ、ボリビア、ドミニカ共和国、パナマでもPepsiCoのボトラーを務めている。
AB InBevは、自社の炭酸清涼飲料ブランド『Guaraná Antarctica』の製造・販売・流通も行っている。また、アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、エクアドル、エルサルバドル、ホンジュラス、メキシコ、パナマ、ペルー、およびアフリカ全域において、水のボトリングおよび流通事業の権益を保有しており、さらにRed Bullとの間で、同社の製品をいくつかの市場で流通させる契約を結んでいる。
米国では、Starbucksと提携した『Teavana』や『Hiball』と呼ばれるエナジードリンクを販売している。
Ambevのカナダの子会社Labattは、大麻の生産と流通の世界的プレイヤーであるTilrayと合弁事業を行い、大麻の研究を行っている。THCとCBDを含むノンアルコール飲料を、カナダのみで商品化することも視野に入れている。