事業内容
イノテック株式会社とその21の子会社は、高度なエンジニアリング力を駆使して、半導体の設計、検査、電子機器関連の製品開発、販売、サービス提供を行う多岐にわたる事業を展開しています。同社の事業は主に三つのセグメントに分類されます。
まず、「テストソリューション事業」では、半導体テストシステムの開発、販売を手掛け、半導体メモリー市場を中心に高付加価値のソリューションを提供しています。台湾STAr Technologies,Inc.などの子会社を通じて、信頼性試験装置やプローブカードの製造、販売も行い、グローバルなサポート体制を構築しています。
次に、「半導体設計関連事業」では、米国ケイデンス社製の半導体設計用ソフトウェアの販売・保守サービスを提供しており、三栄ハイテックス株式会社やジェイ・エス・シー株式会社などの子会社が、受託設計・開発や専門性の高いソフトウェア開発に従事しています。
最後に、「システム・サービス事業」では、組込み用途向けCPUボードやBOX型コンピューターの開発、販売、モデルベース開発支援、ノイズ解析サービスなどを行っています。アイティアクセス株式会社や株式会社レグラスなどの子会社は、組込みソフトウェアの販売・保守サービスや高い画像処理技術を活かしたシステム開発に注力しています。
また、イノテックグループは経営戦略の立案、経営管理、総務人事、システム等のサポート業務も行っており、米国に設立したFenox Innotech Venture Company VI, L.P.を通じて、AIや組込み、WEBサービス関連企業への投資業務も展開しています。これらの事業活動を通じて、イノテックグループは技術革新を支え、グローバルな市場での競争力を高めています。
経営方針
イノテック株式会社は、エンジニアリングを核としたトータルソリューションプロバイダーとして、顧客企業の多様なニーズに応えることを事業の柱としています。同社は、「未来社会に貢献する」「不可欠な存在になる」「問題を解決する」「パイオニアになる」「誇りの持てる会社を実現する」という目標を掲げ、これらを企業活動の基本方針としています。
中期経営計画(2019年度から2023年度)では、利益成長の追求を図る戦略として、テストソリューション事業の成長、自社製品売上の増加とメーカー機能の強化、顧客ベースの拡大と海外市場開拓、新規分野への積極的な取り組みを挙げています。また、資本効率の向上とESG活動の推進も重要な戦略として位置づけています。
同社は、商社からソリューションプロバイダーへの転換を図り、最先端技術を採用したハードウェア・ソフトウェア・サービスの提供を強みとしています。これにより、利益成長の機会を豊富に持ち、企業価値の向上を目指しています。
経営環境としては、先端エレクトロニクス業界の成長が見込まれる一方で、新型コロナウイルス感染症対策や地政学的リスクの影響など、不透明な状況が続くとしています。このような環境下でも、イノテックはテストソリューション事業や半導体設計関連事業、システム・サービス事業を通じて、安定化と成長を目指しています。
具体的な数値目標としては、自己資本当期純利益率(ROE)8%超、投下資本利益率(ROIC)8%を目指し、資本効率の向上を図ると共に、配当性向30%を下回らないことを目標に掲げています。これらの戦略と目標を達成することで、イノテックは中長期的な持続的成長を実現しようとしています。