事業内容
近畿車輛は、鉄道車両関連事業と不動産賃貸事業の二つの主要なセグメントで事業活動を展開しています。同社とその子会社4社、およびその他の関係会社から成るグループ体制をとっています。
鉄道車両関連事業では、近畿車輛自身が鉄道車両の製造を行い、その補助業務を子会社の㈱ケーエステクノスに委託しています。また、海外市場、特に米国とカナダでの案件獲得を目指し、KINKISHARYO International, L.L.C.及びKINKISHARYO INTERNATIONAL CANADA INC.という子会社を通じて受注車両の構体などを納入しています。さらに、RAIL TRANSIT CONSULTANTS, INC.は技術エンジニアリング業務を担当しており、グループ全体の技術力向上に貢献しています。
不動産賃貸事業は、近畿車輛が直接手がけており、事業用不動産の賃貸を行っています。このセグメントは、同社の収益源の一つとして位置づけられています。
加えて、近畿車輛は、関係会社である近畿日本鉄道㈱に対して鉄道車両及びその部品を販売しており、同社の製品が広く鉄道業界に供給されていることがわかります。
これらの事業活動を通じて、近畿車輛は鉄道車両の製造から技術サービス提供、不動産管理まで幅広いビジネスを展開しており、多角的な事業構造を持つ企業であることが明らかになります。
経営方針
近畿車輛は、その長年にわたる技術と経験を基に、省エネルギーでCO2排出量の少ない鉄道車両の提供を通じて、地球環境の保護と社会貢献を目指しています。同社は、誠意と熱意を持って、優れた技術と創造力を発揮し、豊かで快適な人間環境の実現に貢献することを企業理念として掲げています。
経営環境においては、ウィズコロナの段階への移行による旅行需要の回復やインバウンドの増加が期待される一方で、材料費やエネルギー価格の高騰、半導体不足の影響などに直面しています。国内市場では、安全性の向上やバリアフリー化、省エネルギー化のための鉄道車両の置き換え需要が見込まれるものの、テレワークの定着や人口減少による鉄道車両の需要減少が懸念されています。海外市場では、米国や東南アジア、中東での新規受注が期待されるものの、受注競争の激化や現地生産の要請、金融引き締めによる景気の下振れリスクなど不安定要因を抱えています。
これらの課題に対処するため、近畿車輛は、環境面を考慮した持続可能な社会を実現するための最適仕様の車両を提案し、合理的な生産体制を追求することで収益を確保しようとしています。また、従来からの顧客の信頼に応えるとともに、新規顧客の案件獲得にも注力しています。さらに、内部統制の整備と運用を強化し、財務報告の信頼性を確保することにも取り組んでいます。
これらの成長戦略を通じて、近畿車輛は、鉄道車両の製造から技術サービス提供、不動産管理まで幅広いビジネスを展開し、多角的な事業構造を持つ企業として、持続可能な成長を目指しています。