事業内容
三井海洋開発は、子会社26社及び関連会社23社を含むグループで構成されており、FPSO(浮体式生産貯蔵積出設備)、FSO(浮体式貯蔵積出設備)、TLP(緊張係留式プラットフォーム)などの浮体式海洋石油・ガス生産設備の設計、建造、据付、販売、リース、オペレーションを主な事業としています。同社の主な得意先は、海外各国の政府系または民間石油開発会社であり、石油開発業界におけるアウトソーシングの流れの中で、トータルサービスを提供しています。
同社グループは、石油開発事業の中でも、探鉱から開発・生産、精製・販売までの過程において、開発・生産の分野に特化しています。特に、商業採算性の評価が得られた後に開始される事業に関わっており、高度な係留技術を利用して、大水深の海域での石油生産に対応可能な設備を提供しています。
サービス内容としては、建造工事、リースサービス、オペレーションサービス、チャーターサービスなどがあり、これらを組み合わせたトータルサービスを提供しています。また、同社グループは、建造したFPSO等のアフターサービスとして、部品供給やエンジニアリングサポート等も行っています。
事業の推進体制としては、プロジェクトごとに関係会社を設立し、運営しています。これは、各プロジェクトの採算管理を明確にするとともに、長期の資金負担を軽減するための方針に基づいています。主に、総合商社を中心とするパートナーと合弁で事業を展開しており、リースを行う場合は、建造したFPSO等は同社グループの関係会社が引渡しを受けて保有し、オペレーションサービスの提供とこれに伴う技術者・操業要員の雇用、安全・環境保全、資機材の調達・輸送及びメンテナンス等のマネジメントも各関係会社において行っています。
経営方針
三井海洋開発は、海洋石油・ガス開発の分野において、浮体式設備の設計、建造、据付、販売、リース、チャーター及びオペレーションを中核事業として位置づけ、世界各国の石油開発会社にトータルサービスを提供しています。同社は、21世紀の資源エネルギーを支えるグローバル企業として、社会に幅広く貢献することを経営目標に掲げています。具体的には、浮体式設備の分野で世界的に信頼される企業を目指し、事業ポートフォリオの最適化、事業領域の拡大、トータルソリューションの提供を通じて、海洋開発事業の担い手としての社会貢献を目指しています。
中期経営計画においては、アセット・インテグリティの改善、デジタライゼーション戦略の推進、研究開発、環境・社会的要請への取り組みを重要テーマとして設定しています。これらの取り組みを通じて、サステナブルな社会の実現に貢献し、事業モデルの進化を目指しています。特に、デジタライゼーション戦略では、FPSO操業の効率化、デジタルソリューション事業の立ち上げを柱としています。また、研究開発では、FPSOのゼロエミッション化と浮体式洋上風力発電設備の事業化に取り組んでいます。
さらに、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に対する取り組みも積極的に進めており、ジェンダー平等、クリーンエネルギーの普及、経済成長と働きがい、気候変動対策、海の豊かさの保護といった目標に貢献しています。これらの活動を通じて、2023年には親会社株主に帰属する当期利益200百万米ドルの達成を目指していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、2023年の通期業績予想は45百万米ドルとしています。
三井海洋開発は、これらの戦略を基に、安定したエネルギー供給の維持と新たな収益源の開拓に向けて、着実な取り組みを進めています。