事業内容
日進工具は、自社および連結子会社5社を含む6社で構成される企業グループであり、主にマシニングセンタ(工作機械)に取り付けて使用する切削工具「エンドミル」の製造・販売を行っています。同社は特に、超硬素材を用いた小径(刃径6mm以下)のエンドミル製品に注力しており、これらの製品が取扱高(金額ベース)の約70%を占めています。
日進工具グループは、製品の製造様式、市場、顧客を基に製品部門別に戦略を構築し、事業活動を展開しています。事業セグメントは「エンドミル関連」と「その他」の2つで、前者が主力事業であり、超硬小径エンドミルを中心とした切削工具の製造販売を行っています。後者は、工具ケースを中心としたプラスチック成形品の製造販売などを手がけています。「エンドミル関連」セグメントは、製品のサイズに応じてさらに細分化されています。
日進工具自体は、超硬小径エンドミルを中心とした切削工具を生産し、代理店や連結子会社である株式会社ジーテック、日進工具香港有限公司、NS TOOL USA, INC.に販売しています。株式会社ジーテックは製品の販売及び一部再加工を、日進工具香港有限公司は中国地区での販売を、NS TOOL USA, INC.は米国での販売をそれぞれ担当しています。また、株式会社牧野工業は工具ケースなどのプラスチック成形品の製造販売を、株式会社日進エンジニアリングは日進工具の加工委託先として機能しています。これらの事業活動を通じて、日進工具グループは幅広い製品とサービスを提供しています。
経営方針
日進工具は、その経営理念「SOFT(技術)・HARD(機械)・HEART(心)を創ります。人と地球に優しい製品を開発し社会に貢献します」という理念のもと、切削工具の開発、製造、販売に注力しています。同社は、生産性の向上に貢献する高付加価値製品の提供を通じて、モノづくりの可能性を広げることを目指しています。また、サステナビリティ基本方針を策定し、社会との共存と自社の持続可能性を重視しています。これにより、環境負荷の低減を目指しつつ、精密・微細加工用工具分野でのリーダーシップを目指しています。
中長期的な経営戦略として、同社は製品開発、生産、販売の各部門で連携を強化し、高付加価値製品の継続的な創造と提供を目指しています。具体的には、新製品開発においては、既存製品群の品揃えの充実と競争力のある製品の開発に注力。生産部門では、無人化・省力化を推進し、高性能で価格競争力のある製品の安定供給を目指しています。販売部門では、デジタルを活用した営業活動の強化と新規ユーザー開拓、既存ユーザーへの製品拡販を図っています。
これらの戦略は、日進工具が直面する経営環境の変化、特に新型コロナウイルス感染症の影響やグローバルサプライチェーンの分断などの課題に対応するためのものです。同社は、これらの課題を乗り越え、持続的な成長と社会との共存を実現するために、各部門とグループ会社が連携し、KPIを策定してPDCAサイクルを実施しています。
日進工具は、その経営戦略を通じて、厳しい経営環境の中でも利益を優先し、連結売上高経常利益率20%の確保を目標としています。同社は、高付加価値の創造と提供による利益成長機会を確保し、中期的に両指標の達成を目指しています。