事業内容
東北特殊鋼は、特殊鋼メーカーとしての地位を確立しており、その事業セグメントは主に特殊鋼事業と不動産賃貸事業の二つに大別されます。特殊鋼事業では、多品種の特殊鋼鋼材の製造に加え、機械部品や工具の加工製品、熱処理加工サービスを提供しています。このセグメントは、小ロット生産や短納期対応といった柔軟なサービスを特色としています。また、主要原材料は大同特殊鋼株式会社およびその子会社である大同興業株式会社からの調達が中心であり、これらの関係会社を通じて製品の一部販売も行っています。
さらに、東北特殊鋼は、子会社を通じて事業のサポート体制も整えています。東特エステートサービス株式会社からは、工場用地の賃借や清掃・警備業務の支援を受けており、東特興業株式会社を通じて原材料の一部購入や製品の一部販売を行っています。また、海外展開として、タイとインドにおいて特殊鋼事業を展開する子会社も持っています。
不動産賃貸事業においては、旧長町工場用地を再開発し、その土地を子会社の東特エステートサービス株式会社に賃貸しています。この子会社は、ショッピングセンターを建設し、株式会社西友に賃貸するとともに、施設のメンテナンス業務も手掛けています。
このように、東北特殊鋼は、特殊鋼事業を核としつつ、不動産賃貸事業を通じて多角的なビジネス展開を行っており、製造からサポート、さらには海外事業に至るまで、幅広い事業活動を展開しています。
経営方針
東北特殊鋼は、特殊鋼素材の開発、製造、精密部品加工、熱処理、表面処理を含むバリューチェーンを活用し、独自性の高い製品を提供しています。同社は、創立の精神「高級特殊鋼を製造し、産業界に貢献する」に基づき、技術開発に積極的に取り組んでおり、特に海外での生産活動にも力を入れています。2023年度は、「激流乗り越え チームで成長」をスローガンに、原価低減、環境対応、新商品開発に全社一体で取り組んでいます。
経営環境の変化に対応するため、同社は2021年5月に策定した中期経営計画に沿って活動を進めており、特殊鋼事業では原材料やエネルギー等のコスト上昇に対応するための原価低減活動を継続しています。また、自動車の電動化や半導体産業の需要変動に対応し、新たな成長市場の開拓にも注力しています。特に、機能材料の生産能力増強や新規設備の設置を進め、高付加価値な商品の供給能力を最適化しています。
新事業・新商品開発においては、カーボンニュートラル実現に向けた新事業の創出と新商品の開発に積極的に取り組んでいます。次世代蓄電池やモーター用素材の開発、磁歪クラッド材を活用した商品開発など、研究開発機能の強化に努めています。
海外事業では、タイの加工事業やインドの鋼材事業の収益基盤の安定化を目指し、事業基盤の整備に取り組んでいます。また、企業風土改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)による事業基盤の強化も進めており、全社でのコミュニケーション活性化や基幹システムの最大限活用を図っています。
このように、東北特殊鋼は、技術開発と海外展開を軸に、新事業・新商品開発や事業基盤の強化を通じて、持続的な成長を目指しています。