事業内容
第一稀元素化学工業は、自社および子会社5社、関連会社3社で構成される企業グループです。同社は、酸化ジルコニウムを中心としたジルコニウム化合物の製造・販売を主軸に事業を展開しています。製造方法には、乾式製法(電融法など)と湿式製法の2種類があり、同社はこれらの設備を有し、目的に応じた製造方法の選択が可能です。特に、湿式製法による鉱石から最終製品までの一貫生産システムを持つメーカーとしての強みを持っています。
同社グループは、高純度酸化ジルコニウム及びジルコニウム化合物を湿式製法で製造し、乾式製法による酸化ジルコニウムを関連会社から購入することで、顧客の多様な要望に応える販売体制を整えています。また、生産技術や複合化技術を活かし、希土類化合物やセシウム化合物などのその他元素化合物の製造・販売も手掛けています。
ジルコニウム化合物は、その優れた物理化学特性から、撥水性(防水剤)、高屈折率(光学材料)、高耐熱性(耐火物)、圧電性(着火素子・ブザー・アクチュエーター)、イオン伝導性(酸素センサー)、誘電性(セラミックコンデンサ・電波フィルター)、高強度・高靭性(ファインセラミックス)、強酸性・耐薬品性(工業用触媒)など、多岐にわたる製品の原料として広く利用されています。
事業セグメントは化学工業製品の製造販売事業の単一セグメントであり、用途別には「触媒」「電子材料・酸素センサー」「ファインセラミックス」「耐火物・ブレーキ材」「その他」の5区分で紹介されています。これらの製品は、自動車排ガス浄化触媒、電子材料、酸素センサー、ファインセラミックス、耐火物、ブレーキ材など、幅広い分野での応用が可能です。
経営方針
第一稀元素化学工業は、独自の経営理念とビジョンのもと、持続可能な成長を目指しています。同社は、「世に価値あるものを供給し続ける」ことを軸に、社会課題の解決に貢献する製品の開発・供給に注力しています。特に、ジルコニウム化合物の開発・供給を通じて、環境変化に適応し、体質の強化を図ることを戦略の中心に置いています。
同社は、2023年3月期から2032年3月期を対象とする中期経営計画「DK-One Next」をスタートしました。この計画では、半導体・エレクトロニクス、エネルギー、ヘルスケアを戦略分野と位置付け、これらの分野への製品展開を加速しています。また、新規事業の創出、収益構造の改革、革新的なものづくりの実現、組織づくりの実践、企業文化の醸成、サステナビリティへの取り組みという6つの柱を通じて、大きな環境変化に対応し、100年企業の基盤を確立することを目指しています。
さらに、同社は新規事業の創出や戦略分野の開発活動を強化し、カーボンニュートラルに貢献するエネルギー分野などにリソースを集中投入しています。また、キャッシュ創出力の強化や収益性の改善、ジルコニウム化合物のサプライチェーン強化、温室効果ガスの排出削減、多様な人材の活躍基盤づくり、組織力強化と人材育成にも積極的に取り組んでいます。
これらの戦略を通じて、第一稀元素化学工業は、事業領域と収益の拡大を目指し、持続可能な成長を追求しています。同社の取り組みは、社会課題の解決に貢献するとともに、企業価値の向上にも繋がるでしょう。