リクルートと「政策保有株」
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上場企業同士が互いの株を「持ち合う」のが株式の持ち合いだ。
日本における株式持ち合いは、戦後の財閥解体後から始まった。政府は個人の株式投資を奨励したが、敗戦で疲弊して余力はない。多くは株価の下落時に売却してしまい、それを支える「持ち合い」文化が誕生する。
高度成長期には資本自由化もあり、外資の買収から逃れる手段として強化される。
1980年代後半のバブル期には、大量のエクイティ・ファイナンスの受け皿としても機能。多くの銀行が株式を購入し、銀行の持ち株比率が上昇した。
近年、株式持ち合いへの風当たりは強まっている。2018年には英国のファンドがTBS HDに対して東京エレクトロン株の売却を求める提案を行った。
株主側からの要求はもっともな話だ。上場企業が活用するあてもない他社の株式を握る。そんなものは売却して株主に還元しろ、というわけだ。
印刷会社などがリクルート株を保有
株式持ち合いに関し、市場から厳しい目を向けられてきたのがリクルートHDだ。 2014年に上場、凸版印刷や大日本印刷、電通など関係の深い会社から株式を保有されてきた。
2019年にはリクルートHDも、株主13社が一斉に持ち株を売り出すことを発表。
リクルートHDは政策保有株を「もたれている」割合が高い。2019年8月時点では時価総額5.6兆円のうち実に1.8兆円近くが政策保有株だった。
今年も先日、政策保有株の解消に向けて3,000億円超の売却が決まった。それでも、リクルートHDに対する政策保有株は1兆円超。今後、同社の時価総額が上がるほど金額は膨らむことになる。