中国の大手Eコマース企業の一つ、JD.comがヘルスケア部門『JD Health』をスピンオフ、別会社として香港会社で上場させる。
調達額は約34.8億ドルで、グリーンシューオプションが行使されれば最大40億ドルにのぼる。この金額は、2020年の香港市場でのIPOの中で最大。
香港市場における今年の調達額は250億ドルを超え、10年ぶりの高水準となる。重複上場した企業も入れると391億ドル。
アリババグループもヘルスケアに注力
中国の巨大なヘルスケア市場を狙っているのはJD.comだけではない。トップのアリババも同様である。
Alibaba Healthは、アリババグループのヘルスケア系ポートフォリオとして始まり、香港市場に上場している。
直近上半期の売上はAlibaba Healthが70億元(≒10.7億ドル)、JD Healthが88億元(≒13.5億ドル)である。JD Healthの方がわずかに規模が大きく、両者とも2020年、急成長している。
どちらも売上の大半は「医薬品の販売」。処方されたものも市販薬(OTC)、サプリメントまで扱っている。
どちらも直販だけでなく、マーケットプレイス型の事業も展開する。割合は小さいが、サービス収益を育てている点も同じだ。
損益ではJDに軍配
収益性では一見、Alibaba Healthが勝っている。決算書によると、上半期の税引前利益は3.24億元(≒51.7億円)。
一方のJD Healthは52.6億元(≒838億円)の赤字だ。もっとも、この損失は事業によるものではなく、転換優先株の価値変動。この影響を除くと、4.5億元(≒71.4億円)の黒字でアリババを上回る。
ユーザー数はアリババの方が大きい。マーケットプレイスでの年間購入者数は実に2.5億人。店舗での直販購入者も6,500万人を超えたそうだ。一方のJD Healthは7,250万人以上にものぼる。