金融データ会社の統合
Shutterstock
金融情報サービスを提供する米国のS&Pグローバルは、ロンドンの同業IHSマークイットを440億ドルで買収する見通しだ。各メディアが報じた後、11月30日に正式に公表された。
マーケット情報を提供する企業としては今年最大規模の統合であり、ブルームバーグやRefinitivといった競合への対抗策になる。
両社の統合により、主に以下の戦略的合理性が発揮されるという。
- 事業スケールの拡大と多様化
- ESGなど成長領域の強化
- 顧客への訴求力拡大
財務面での合理性も大きい。両社とも収益性は高く、ストック型の売上が合わせて76%を占めることになる。
年間のフリーキャッシュフローは2023年までに50億ドルを超える見込み。S&Pグローバルの時価総額は現在846億ドルほど。フリーCFの拡大は企業価値の増大に直結する。
この領域のプレイヤーは統合が進んでいる。
ニューヨーク証券取引所などの親会社、インターコンチネンタル取引所はモーゲージデータを扱うエリー・メイを110億ドルで買収。Refinitivはロンドン取引所が1年前に買収を発表した。
成立すれば最大規模となる両社の統合だが、競争の観点から当局の厳しいチェックが入りそうだ。Refinitivの買収は、その後も長い承認プロセスが続いている。