「ビオレで蚊よけ」をグローバルに
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花王は13日、「蚊から未来の命を守るプロジェクト」を開始した。蚊による感染症・デング熱被害削減の取り組みを本格的に進める。まずは、2022年2月からタイにて「ビオレガード モスブロックセラム」8万個を先行配布する。
注目する理由: 2021年度からスタートした中期経営計画「K25」では、「命を守る」を花王の新たな軸とした。その取り組みの一つで、蚊から子供たちを守る研究を進めている。国内消費財の雄がグローバルな公衆衛生の分野へと一歩踏み出した。
ヤブ蚊に刺されることで感染するデング熱には、世界中で毎年9000万人が感染していると推定されている。2020年12月に、花王は蚊の吸血を阻害できる「蚊よけ」技術を発表した。
この技術は海面での濡れ現象を利用。肌上に低粘度のシリコーンオイルを塗布することで、蚊が肌にとどまらないようにする。これは従来の忌避剤とは作用機序が異なる。
「蚊から未来の命を守るプロジェクト」は2月に発足した。まずは、デング熱が社会問題化しているタイで取り組みを始める。タイ保健省に製品含め650万タイバーツを寄付。花王のタイ工場では、デング熱の啓発活動や廃棄物処理システムの整備など、さまざまな取り組みを展開する予定だ。
防蚊剤市場は2021年の69億ドルからCAGR5.6%で成長し、2026年には90億ドルに達するという予測もある。花王執行役員の塗谷弘太郎氏は、「ブランドを通して、特に困っている人々を助ける新たなビジネスモデルを構築していきます」とコメントしている。