2021年12月11日 10:32
京都大学発の素材ベンチャーが25億円調達
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京都大学発のITベンチャー企業・Atomisが6日、シリーズBラウンドで総額12億円を調達。事業会社4社と業務提携に向けて準備を始めると発表した。気候変動対策の一手となる新素材開発をより加速させる。

注目される理由: 京大発の新素材「多孔性配位高分子」を開発。トヨタなどが出資する「未来創生2号ファンド」がリード投資家となった。「気体を操る新素材」は実用化に向けて動き出した。

多孔性配位高分子(PCP/MOF)は、その名の通り無数の穴がある新素材で、細孔空間を自由に設計できる。活性炭が臭いの元になる物質を吸収するように、多孔性配位高分子はナノレベルの物質を吸収・管理できる。

同技術は、京都大学高等研究院の北川進特別教授が世界に先駆けて開発。それを活用するベンチャー企業として2015年に設立されたのがAtomisだ。北川氏はノーベル化学賞の有力候補でもある。

環境保全をはじめ用途は幅広い。軽量・小型の次世代スマート高圧ガス容器「CubiTan®(キュビタン)」では、汚泥処理場などからメタンガスを回収し、新たなエネルギーとして使うこともできるという。

今回の業務提携先には、三井金属鉱業とクボタ、三井金属鉱業、商船三井グループが名を連ねる。PCP/MOF素材の量産化や利活用について、大企業の後押しが期待できる。

資金と提携先の協力を得て、多孔性配位高分子を量産するための研究開発新拠点を建設予定。多孔性配位高分子を活用したプロダクトを生み出し、社会実装へ動き出すことになる。