マネーフォワードの有価証券報告書が提出されていたようです。
資金調達面に関しては上のエントリに詳しく書いてあるので、本エントリでは事業面のKPIをチェックしてみたいと思います。
事業KPIをチェックする前に、同社がこれまでどんな経緯をたどってきたのかを軽くまとめてみます。
(会社ホームページより)
マネーフォワードは2012年5月に「マネーブック株式会社」として設立されました。
同年の12月、自動家計簿・資産管理サービス『マネーフォワード』を公開したのに合わせる形で社名も変更。
その後も、お金に関わる製品を数多くリリースしています。
2013年11月 | 『マネーフォワード For BUSINESS』(現『MFクラウド会計・確定申告』) |
2013年12月 | お金のウェブメディア『マネトク』(現くらしの経済メディア『MONEY PLUS』) |
2014年5月 | 『MFクラウド請求書』 |
2015年3月 | 『MFクラウド給与』 |
2015年4月 | 『MFクラウド請求書』に新機能「自動入金消込機能」(現『MFクラウド消込』) |
2015年8月 | 『MFクラウドマイナンバー』 |
2015年11月 | 金融機関利用者向け『マネーフォワード』 |
2016年1月 | 『MFクラウド経費』 |
2016年6月 |
「MFクラウド地方創生プロジェクト」 |
大きく分類すると、個人向けの自動家計簿アプリ「マネーフォワード」と、事業者向けのサービスである「MFクラウド」シリーズを展開しています。
MFクラウドでは会計、確定申告、請求書、給与、消込、マイナンバー、経費、ファイナンスに関わるサービスを提供。
自動家計簿サービスの方はいわゆる「PFM(Personal Finance Management)」と呼ばれる分野で、銀行、クレジットカードをはじめとする個人のお金に関する情報を一元管理できるのが特徴。
フリーミアムモデルで展開しており、月額500円の有料課金を行うと、詳細分析機能や1年以上前のデータの閲覧、将来シミュレーションなどの高機能が追加で利用できるという形です。
また、「BtoBtoC」モデルとして、マネーフォワードを個別金融機関の利用者向けに提供する「マネーフォワード for ○○」も展開しており、累計9つの金融機関と共同でサービスを提供しています。
次に、年次業績をチェックします。
売上高は創業の2012年から4年ちょっとで15億円を超えています。
経常損失は9億円近くありますが、2015年の経常損失11億円と比べると赤字が縮小していることがわかります。
売上高の内訳は次の通りです。
前年との比較でも見てみましょう。
二つの事業が仲良く200%以上伸びています。
消費者向け事業と法人向け事業がこれだけ足並みを揃えて大きく成長する事例はあまりない気がします。
マネーフォワードの利用者数は2017年1月時点で450万人を超えているそうです。
また、MFクラウドシリーズではサービス利用を顧問先に推薦するMFクラウド公認メンバーが2000を超えるまでに成長。
EDINETには四半期報告書も二件掲載されているので、直近の四半期業績も見ることができます。
第一四半期の売上は5.1億円、第二四半期の累計売上は12億円となっています。
このまま毎四半期7億円ずつの売上を上げると、年間売上は26億円となり、2016年11月きを10億円以上、上回ることになります。
もう一つ特筆すべきは、第一四半期と第二四半期の間で経常損失が1億1565万円しか積み上がっていないことです。
ということは、もし第三四半期の売上高が2億円以上増えたら、四半期で黒字化する可能性もある、ということだと思います。
そうなるとなかなか楽しいですね。
最後に、セグメント四半期売上の推移です。
EDINETに決算資料が置いてあるものの、マネーフォワード自身は上場を発表しているわけではありません(参考:本日の一部報道について)。
同社がいつ上場するかについては、個人的にはあまりどうでもいいというか、それよりもマネーフォワードが今期20億円以上の売上をあげる見込みであり、四半期黒字化も時間の問題っぽい、ということの方が重要な事実のように思います。
追記:上場が正式に承認されたようですね。改めておめでとうございます!