自動車のパーツやアクセサリーの小売企業AutoZone
AutoZone, Inc.

今日からなるべく毎日、最低1社ずつ気になった会社の企業価値を考える、という試みを始めようと思います。

とはいえ、自分はファイナンスの専門家ではなく素人なので、厳密なDCF計算などを行うことは今のところできません。学ぶ気はあるけど。


とりあえずはその会社が将来どのくらいのキャッシュフローを生み出すことができるかを考えた上で、リスクの度合いとともに現在価値っぽく割り引いてみるという感じになると思います。

AutoZoneとは

まずは会社の概要について調べます。

AutoZoneは米国の小売企業で、自動車のパーツやアクセサリーに特化する企業です。

1979年に営業をはじめ、2016年には米国(プエルトリコ含む)で5297の店舗、メキシコで483店舗、ブラジルで8店舗を展開。

店舗数と損益の推移

まず、店舗数の推移を見てみます。

1996年から丸々20年間、ずっと右肩上がりで拡大を続けていることがわかります。

次に、損益の推移をみます。

売上高も右肩上がりで成長を続け、100億ドルの大台を超えています。利益率も小売業としては高く、20%近くをキープしています。

フリー・キャッシュフローの計算と推測

次に、今後10年間のフリー・キャッシュフローを予測するにあたり、過去10年間の実績値を計算します。

キャッシュフロー計算書をざっと見た感じだと、営業キャッシュフローから投資キャッシュフロー内にある「Capital expenditures(資本支出)」を引けばいいと考えます。

次に、FCFの成長率の推移、そして年平均成長率を求めます。

平均成長率は7.36%となりました。

若干保守的に、今後5年のフリーキャッシュフロー成長率を5%、永年成長率を3%と仮定して計算してみます。

2018 2019 2020 2021 2022
予測FCF 12億011万3000 12億6011万9000 13億2312万5000 13億8928万1000 14億5874万5000
現在価値 11億2810万6220 11億1344万1148 10億9896万6455 10億8467万9696 10億7057万8823
有利子負債額49億2411万9000 有利子負債コスト0.1 実効税率0.4
株主資本時価150億 株主資本コスト0.06 WACC
0.06
永久成長率0.03 継続価値
500億8357万8333
企業価値
555億7935万675

計算の結果は555億ドルとなりました。お・・・!

現在の時価総額は150億ドル。これはいわゆる割安ってやつじゃないすか。

ここ1年くらい下げているのは何があったのでしょうか。

Shareholder Letterから「Our Future」と書いてある項目を読んでみます。

彼らのプライオリティは

・素晴らしい人たちが素晴らしいサービスを提供する

・商業的成長

・インターネットを活用

・Yes! We've Got It!(はい、喜んで!ってやつかな)

・情報技術を活用

の5つとのことです。

これまで40四半期連続で一株あたり利益は二桁%の成長を残し、ROICは31%に達するとのこと。

中期経営計画てきなものは見つからなかったですが、過去に残した実績としては素晴らしいですね。

ニュースも探してみます。

AutoZone’s stock suffers record price plunge after profit and sales miss

どうやら2017年Q3の業績が振るわなかったようです。それだけでこんな下がるか。。

実際の四半期報告資料をみてみると、売上は3Q累計で73億ドルと、前年同期比でわずか1.9%の成長に止まっています。

これはいわゆる「優等生が悪い点をとったから必要以上にみんながっかりした」というケースではないでしょうか。

ふむ。

試しに、キャッシュフローの直近5年の成長率を3%、永久成長率を1%、株主資本コストを10%と厳しめにとって計算してみます。

2018 2019 2020 2021 2022
予測FCF 11億5483万 11億8947万5000 12億2515万9000 12億6191万4000 12億9977万1000
現在価値 10億5077万9817 9億8478万7775 9億2293万9960 8億6497万6719 8億1065万3324
有利子負債額49億2411万9000 有利子負債コスト0.1 実効税率0.4
株主資本時価150億 株主資本コスト0.1 WACC
0.0901
永久成長率0.01 継続価値
163億8912万2471
企業価値
210億2326万067

それでも210億ドルという結果になり、現在の時価総額は割安ということになります。