新たに約42億円を調達!アジア向けリンゴ輸出などで急拡大「日本農業」とは

長い歴史を通じて、人間社会の礎を形成してきたのが「農業」である。

大陸から稲作が伝わり、日本において農業が本格的に行われるようになったのは弥生時代。江戸時代においては「米」が税制度の根幹をなすなど、経済システム上も重要な存在だったことが知られる。

しかし現代ではどうだろう。人々の生活を支える存在ではあっても、脚光を浴びることは少ない。かつて大半を占めていた第一次産業の就業者数は、現代では5%程度。労働従事者の高齢化も課題とされている。

そんな農業というカテゴリで挑戦を続ける起業家がいる。(株)日本農業の創業者、内藤祥平氏だ。1992年生まれの内藤氏は慶應大法学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て2016年に起業。

売上高は50億円にのぼる見込みで、このたび新たに約42億円の資金調達も発表した。日本農業は、いかにして日本の農業を変えようとしているのか。今回は、代表取締役CEOを務める内藤氏に話を聞いた。

日本の農業が直面する「負のスパイラル」

内藤氏は横浜出身だが、両親の実家が新潟にあった。幼少時から地方を訪れ、農業を身近に感じることが少なくなかったようだ。

農業への思いを強めた背景には、高校時代のユニークな経験がある。

あるとき内藤氏は、ふと思い立って自転車で日本列島を回ることにした。背中に「日本一周」と書いたダンボールを貼り付けると、色んな人から声をかけられる。農家の人たちから良くしてもらい、様々な農地を目にしたことで、大学に入るときには「農業で(やっていこう)」と心に決めていた。

内藤祥平氏=日本農業

大学時代には、鹿児島とブラジルで農業法人での修行も経験。イリノイ大に一年間留学したときには、日本との違いにも気がついた。日本では農業を「生業」として捉える傾向があるが、米国のそれは「ビジネス」なのだ。学生たちは、クロスボーダーでのM&Aや貿易問題が与える影響などを論じていた。

内藤氏の見立てでは、日本の農家が抱える問題は「売り先がない」こと。人口が減少すれば、市場の総量を規定する「胃袋」の数も減る。市場が縮小する中で商売は先細りになり、儲からないから後継者も見つからない。このままでは土地も荒れ果て、競争力も落ちていきかねない。

7年で日本最大規模のリンゴ取扱量に

少子高齢化が進む日本において、農業をビジネスとして成り立たせるにはどうすれば良いか。答えはある意味でシンプルだ。海外に輸出して「売り先」を広げればいい

中でも目をつけたのが「リンゴ」だ。

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