年間12万名超が新規契約!生命保険の代理販売で成長続ける「FPパートナー」
FPパートナー

2022年に新規上場を果たしたFPパートナーが、事業の拡大を続けている。

10月11日に発表された第3四半期決算で、9か月間の売上高は229億円(前年比22%増)、営業利益は45.8億円(同40%増)。今期の売上予想は300億円に迫り、営業利益は55億円を超える予想だ。

FPパートナーの時価総額は目下820億円で、予想純利益(37.8億円)の約22倍。手元の現預金は108億円を超え、借入金は6億円強。100億円ほどのネットキャッシュを有するキャッシュリッチ企業でもある。

20〜40代を主な顧客層として成長するFPパートナーとは一体どんな会社なのか。今回の記事では、その来歴と事業モデルを改めて紹介し、近況や今後の展望についてまとめる。

全国145拠点に2,000名超の営業社員

FPパートナーを創業したのは、今も代表を務める黒木勉氏。1992年に朝日信用金庫に入社した後、現メットライフ生命保険を経て(株)FPコンサルティングを設立した。

FPコンサルティングは「独立系FPのパイオニア」を標榜。関東エリアに10名、関西エリアに5名を擁する「ファイナンシャルプランナーのプロ集団」で、2002年に設立された。

2009年にはFPコンサルティングの関係会社として「FPパートナー」(当時は「あんしんFP」)を設立。翌年4月には、生命保険会社8社を取り扱う保険代理店として事業を開始した。

2018年には来店型ショップ1号店「保険のビュッフェ」を吉祥寺にオープンした(現在は閉店)。2019年には「保険のビュッフェ」を「マネードクター」へと名称変更した。

2021年にはコンセプトショップ『マネードクタープレミア』をコレド日本橋に開店。すでに計14店舗を展開している。

8月末時点の営業社員数は2,215名にのぼり、支社や店舗145か所を全国的に展開。さらに今期は既存の拠点内にIFAオフィスを6拠点開設し、投資信託など金融商品販売網の更なる拡大に向け準備を進めている。

「FP技能士」は国家資格

オンライン上でも展開する「マネードクター」は、無料のFP相談サイトとして運営。トップには亀梨和也さんなどタレントの顔が並び、サイト右上のボタンから相談を予約できる。

独特の世界観によるユニークなテレビCMも放映されている。

意外に感じる方も少なくないと思うのだが、ファイナンシャルプランナー(FP技能士)は国家資格だ。厚生労働大臣より指定を受けて、日本FP協会が実施する「国家検定」である。

子育てを始めるとき、貯蓄の効率をあげたいとき、老後の備えをしたいとき。資産運用や固定費の見直しに至るまで、「お金」について何でも相談できるのがファイナンシャルプランナーであるとされる。

FPパートナーは全国的な店舗網を張り巡らせているものの、自宅やカフェ、勤務先に訪問して相談を行う「訪問販売型」がメイン。全国的に拠点を展開しているのは、「地域密着型」での採用を行う狙いもある。主要な顧客層は20〜40代のファミリー層であるという。

2020年5月からはオンラインでのFP相談にも対応、引き合いが増えている。2022年11月期においては、自社集客案件14,292件のうち5,647件が「オンラインFP相談」だった。

生命保険の紹介で売上246億円

FPパートナーにとって主な収益源となるのが、生命保険や損害保険の販売手数料だ。2022年11月期の実績では、売上のうち246億円が生命保険、9.7億円が損害保険の販売代理業によるものだった。

同社の保険募集活動によって保険契約が成立した後、保険会社との契約に則って報酬が支払われる。今年5月時点で生命保険会社30社と損害保険会社11社(2023年5月時点)を取り扱う。

売上の三割近くを占めるのが「アクサ生命」、同じく二割近いのが「東京海上日動あんしん生命保険」だ。「メットライフ生命保険」は11.8%を占めた。この三社で売上全体の58%を占めた計算になる。

2022年11月期において、提携企業からの集客件数は125,703名。これに自社での集客(14,292件)が加わり、そのうち125,080件が新規契約に至った。契約した年換算保険料は255億円にのぼり、一人当たりの平均額は20万円となる。

保険会社からの販売手数料は、さらに三種類に分けられる。契約初年度に支払われるもの、翌年以降の保険料に応じて都度支払われる継続手数料、各保険会社からの「支援金」である。

生命保険において、初年度手数料による売上高は2022年11月期に149億円。年換算保険料(ANP)の約70%を手数料として得られる。継続手数料はANPの約5%で、2022年11月期の売上高は約48億円。支援金は同じく約20%で59億円を売り上げた。

実際の料率は場合によって変わるが、これほど金額と料率が高い手数料ビジネスも珍しい。契約期間が原則一年(+都度更新)である損害保険とは異なり、生命保険では5〜10年間手数料を受け取れる。代理店にとっても、生命保険がいかに儲かる商売であるかが窺える。

直近では「資産形成性の高い商品」が人気

現代において、保険を意識する大きな理由は「社会の不透明さ」にある。生命保険文化センターの調査では、想定される将来のライフイベントとして「老後生活の充実」を重視する割合がもっとも高かった。

FPパートナーにおいても、変額保険のように資産形成性の高い商品の契約が大きく伸びているという。2024年に始まる新NISA制度などを背景に、今後も「将来のお金に関する自助努力」の流れは持続するというのが同社の考えだ。

販売網拡大においては提携企業の存在も大きい。直近では9社との新規提携、13社との提携解消を進めて96社と提携関係にある。一方では自社の営業社員を3か月で133名採用し、期初からの合計は434名にのぼった。

契約譲受ビジネスも成長ドライバー

FPパートナーの商売は、保険を売った分だけ手数料をもらえて、契約獲得にかかったコストを上回った分だけ儲かる。提携会社を厳選しつつ自社社員を増やせば、自社集客案件が増えただけ利益率も上がっていく。

改めて2022年11月期のコスト構造を見てみよう。256億円の売上高に対して、売上原価は168億円(売上原価率66%)。このうち153億円が労務費であり、大半を占めている。販管費のうち給与手当は12.6億円で、広告宣伝費は約11億円だった。

直近では「変動費の外交員(営業社員)人件費」が増加しており、営業社員への成果報酬が大きな変動要因であることが窺える。今後も営業社員数の増大と「高位平準化」を目指すほか、業界随一の「MDRT有資格者比率」を強みの一つとしてアピールする。

MDRT(Million Dollar Round Table)は1927年に発足した組織で、世界中の生命保険および金融サービスの専門家が所属する。一年間の販売手数料が一定の基準を超えなくては登録できず、FPパートナーでは888名が登録されている。

2021年から始めた「契約譲受ビジネス」も、成長ドライバーの一つだ。廃業予定代理店が増えており、6〜8月の問い合わせ数は20社(年初累計は60社)。そのうち直近で11社(年初累計25社)を実際に譲受した。

損害保険の構成比は2025年11月末までに10%まで引き上げることが目標。『マネードクタープレミア』は2024年11月末までに30店舗の出店を見込む。以上三つ(契約譲受、損保、プレミア店舗)を成長の柱とし、今後も業績を拡大する計画である。

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