栄華去りし半導体メーカー「インテル」米国最大のファウンドリとして復活できるか?
NVIDIAをはじめとする半導体メーカーが、市場からの喝采を浴びている。そんな中、なんとも世知辛い状況に陥っているのがインテル・コーポレーションだ。
現代を生きる社会人の中で、その名を知らない人はほとんどいないだろう。20世紀末から21世紀の初めにかけ、コンピュータの飛躍的普及を支えたのが他ならぬインテルという会社だ。
業界を代表する存在である同社が、なぜ凋落してしまったのか。その理由は、テクノロジー業界ではさほど珍しくもないものだ。
インテルはパソコンCPUの設計・製造・販売で強大なシェアを誇った。しかし2010年頃からスマートフォンが急速に普及し、AI技術が劇的な発展を見せた。そこで主要なシェアを握ることができないまま、AppleなどがArmベースで自社チップを作る動きも目立つようになった。
同社は垂直統合モデルを売りにしてきたが、半導体産業の急激な発展についていくことができなかった。NVIDIAやArm、TSMCなど、現在繁栄している半導体企業は全て水平分業に徹している。そうでもしない限り、競争優位を保ち続けるのが難しかったのである。
そんな中で2021年、パット・ゲルシンガーがCEOに就任。1979年から実に30年にわたり、インテルでキャリアを積んだ人物だ。その後はVMwareなどテクノロジー企業の経営職を経て、古巣に呼び戻された。
彼が掲げた目標は、インテルをTSMCにつぐ半導体ファウンドリへと育て上げること。果たしてそんなことが可能なのだろうか。今回の記事では、ゲルシンガーが掲げる戦略の詳細とともに、インテルの打ち手の近況について紹介する。