中国の不動産テクノロジー企業「貝殻找房(Beike、KE Holdings)」が8月13日、ニューヨーク証券取引所への上場を果たした。
上場初日に株価は公開価格から87%も上昇、9月には時価総額6兆円を突破するなど注目度の高い企業だ。
2019年の売上は前年比60.6%増の460億元(≒6,900億円)、2020年上期には前年比39.0%増の273億元(≒4,090億円)となった。
売上成長は大きく減速した一方で、税引前損益が22億4,028万元(≒336億円)に倍増。利益率は8.2%に上昇している。
中国最大の不動産テック企業となったBeikeはどのような企業なのか、上場申請書類(F-1)を中心に整理していこう。
貝殻找房(Beike)はもともと中国で不動産仲介を展開する「鏈家(Lianjia)」の一部門として設立された事業体だ。
Lianjiaは2001年の創業で、「Homelink」としてオフライン店舗の不動産仲介業を開始した。市場価格と売買価格の差をなくすというコンセプトが消費者から支持を集め、店舗網を拡大した。
数年後、Lianjiaは一定期間内に売却を完了するという条件でオーナーから不動産を仕入れる「Exclusive Listing(独占販売権)」ビジネスモデルを採用。エージェントがより高い価格で迅速に買い手を見つけ出すインセンティブが働き、多数の物件を確保できた。
2010年にはオンラインサービス「Chain Home Online」を立ち上げる。オフライン店舗で集めた160都市・1億1,000万件以上の物件情報を武器に、Lianjiaは市場シェア50%(2018年時点)を握る中国最大規模の不動産ブローカーになった。
そのLianjiaが2017年、子会社として設立したのがBeikeだ。2018年4月にオンライン不動産取引サービス「Beike Platform」をローンチした。
不動産エージェントと物件を探したいユーザーのマッチングプラットフォームとして急成長を遂げ、2018年、2019年にテンセントから巨額の出資を受けた。2020年3月にはソフトバンク・ビジョンファンドも投資家に加わった。
現在はBeikeが傘下にLianjiaを組み込む体制に変更、設立から約3年という短期間でユニコーン企業として米国市場への上場を果たすことになった。
オンライン不動産領域にはクラシファイド「58同城」など多くの企業が参入してきたが、単なる物件掲載だけでは利用が進まなかった。