米国でオンライン診療を提供する「American Well(Amwell)」が提出した上場申請書類(S-1)が8月24日に公開され、コロナ禍での利用状況などが明らかとなった。
新型コロナウィルス感染拡大により、米国ではオンライン診療のニーズが急速に拡大した。
Amwellの利用も急増しており、第2四半期の売上は前年比93.6%増の6,857万ドルとなった。営業損益は8,783万ドルの赤字に拡大している。
現在、社会的に最も注目度の高い分野であるオンライン診療サービスで上場するAmwelがどのような企業なのか、S-1から事業内容やKPIなどを整理していく。
Amwellの創業者はイスラエル出身のシェーンベルク兄弟だ。
兄のイド、弟のロイはエルサレムの外れにある村で育ち、ともにイスラエルの医大へ進学。ロイは卒業後に従軍医師として勤務した。医大を卒業し兵役を終えた後、2人はそれぞれ医療関連のスタートアップを立ち上げる。
イドは1996年に病院のデータ収集と分析を自動化する「iMDSoft」を設立。その数年後にロイは患者向けヘルスケアデータ管理ポータル「CareKey」を開発し、2001年に兄・イドをCEOに迎え入れた。
CareKeyは2005年に米国企業TriZetto(2014年にCognizantが27億ドルで買収)に6,000万ドル(+インセンティブ4,000万ドル)で買収された。
翌年、「全ての医療関係者をテクノロジーで繋げる」という目標を掲げてボストンで創業したのがAmerican Wellだ。Webサイトを介したオンライン診療を考案し、2007年にサービスを開始した。
Crunchbaseのデータでは、2007年に3,180万ドル(シリーズA)、翌2008年2,310万ドル(シリーズB)、2014年にも8,100万ドル(シリーズC)の資金調達を実施。同年にモバイルアプリが100万ダウンロードを突破した。
2018年にはグローバル企業「アリアンツ」と「フィリップス」から2.9億ドルを調達し、救急医療向けオンライン診療「Avizia」を買収するなど事業拡大を加速させた。
AppleやCiscoとも協業するなど、医療×テクノロジー領域の先駆的企業として業界を牽引してきた企業だ。
Amwellの遠隔医療サービス「Amwell Platform」はオープンアーキテクチャを特徴としている。