クラウドワークスが8月14日に発表した2019年10月〜2020年6月期決算(9か月間)は最終損益が1億7,222万円の赤字だった。
2020年4〜6月期の実績では売上高21億8,379万円(前年比4.3%減)、営業損益は8,337万円の赤字(前年は2,500万円)となった。上場して以来、はじめて前年比で減収に転じたことになる。
前回の通期業績予想と比較すると、9か月経過時点での売上高の進捗率は78.5%となった。
3Q累計では前年比8.6%の増収が続いているものの、中核のマッチング事業以外は事業縮小や事業継続の検討を進めており、四半期ベースでは減収という結果になっている。
クラウドワークスが展開する事業は「マッチング事業」「受託事業」の大きく2つのセグメントに分かれている。
フリーランス人材をオンラインでマッチングする「マッチング事業」は前年比19.3%増の売上高15.6億円と増収が続く。システム開発や開発コンサルティングなどを手がける「受託事業」は売上5.9億円で前年比31.3%もの減収に落ち込んだ。
クラウドワークスの屋台骨であるマッチング事業は堅調で、クライアントがワーカーに支払う契約額についても成長が続いている。
今四半期のマッチング契約額は31.9億円(前年比17.2%増)だった。前年比では拡大しているが、前四半期と比べると1.1%減少に転じた。
クラウドソーシング領域ではコロナ禍に伴い既存クライアントの契約停止等が発生している。
8月13日に決算発表があった競合のランサーズでも同様に「流通総額」が前四半期より減少した。景気悪化のリスクを懸念して、企業側が発注に及び腰になっている状況が垣間見える。
同様の背景で新規クライアントからの受注獲得にも影響が発生した。新型コロナの感染拡大前の1月は新規クライアントの総契約額は前年比115.0%の成長をみせていたが、5月には100.4%まで成長率が低下した。
その後は6月に113.9%、7月には115.6%まで回復した。クラウドワークスにおいて今後の成長戦略に影響はなく、引き続きマッチング事業の成長を目指す方針だ。
メインのマッチング事業は堅調に拡大しているが、受託事業が大きく減収している。前期に策定した事業方針の時点で事業の縮小を表明していた。