税務システムを提供する「Vertex」がNASDAQに上場申請し、上場申請書類(S-1)を公開しました。
税務関連SaaSではAvalara(2004年創業)が代表的なプレイヤーですが、Vertexは創業40年を超える老舗ベンダーです。
四半期売上は右肩上がりに増加し、2020年第1四半期は前年比+19.6%増の8,924万ドルと、わずかながら成長が加速しています。一方、営業損益は5四半期ぶりの赤字となりました。
創業40年を超えて、新たに上場することとなったVertexとはどんな会社なのでしょうか。上場申請書類の内容を整理していきましょう。
Vertexの創業は、1978年までさかのぼります。
始まりはレイ・ウェストファル(Ray Westphal)氏が立ち上げた売上税(Sales tax)のマニュアルを紙コピーで企業に提供する事業。 日本の消費税のようなものです。
1980年に入ると税制規則の電子配信にも着手し、1982年には取引税務処理ソフトウェアをローンチします。
ウェストファル氏は、インターネットの普及前から税務処理ソフトウェアを扱っていたわけです。しばらくは、妻との二人三脚で切り盛りするファミリービジネスでした。
(Finding the right balance at Vertex)
1996年に息子のジェフ氏がCEOに就任すると、2000年に2人の妹とともに父の会社を買収。家族経営だったVertexに社外取締役を招き、さらなる成長に向けて経営体制を強化しました。
2000年代に入ると税務プロセスの電子化を目指し、中小企業向け税務ソフト「Vertex SMB」を展開。2017年には「Vertex Cloud」をリリースし、SaaS企業へと事業構造を変革しています。
Vertexが提供する税務システムには、大きく4つのコア機能があります。